Column
IT部門はもっと社内にアピールすべきだ
IT部門が何をしているのか自らアピールしないと「IT部門は何もしていない」という認識が広がってしまう――社内でのマーケティングが必要だ。
声を大にして主張しないと、IT部門はプロバイダーではなく、コストセンターと見られてしまう。ビジネス部門はIT部門の評判をさらに悪くするような「悲惨なプロジェクト」を押し付けてくるだろうし、導入したアプリケーションは利用されず、だれも手順を守らず、導入サイクルは延々と長引くことになるだろう。
大手企業のIT部門では、ITマーケティングを担当する副社長を雇うことを検討すべきだし、中小規模企業のCIOは、自社のマーケティング責任者の協力を求めたり、場合によってはマーケティング面でベンダーの手助けを求める必要がある。
こうした取り組みの実践例として、ウォルマート、インテル、セブンイレブン、ヒルトンホテルの事例を紹介する。
IT幹部は、広告業界特有の手法を駆使すべきなのだろうか。ITサービスをビジネス部門に売り込む必要があるという主張は、あなたも耳にしたことがあるはずだ。しかしIT部門が、広告キャンペーンやロゴ、マーケティングの4P――Product(製品戦略)、Price(価格戦略)、Place(流通戦略)、Promotion(プロモーション戦略)などを活用した本格的な売り込みを行うなど、考えられないという人もいるかもしれない。
「社内で静かにしていてはだめだ。ニュースを発信しないのも良くない」と話すのは、米フォレスターリサーチでIT管理業務の責任者を務めるローリー・オーロフ氏だ。「IT部門が何をしているのかをアピールしないと、IT部門は何もしていないという認識が広がってしまう」と同氏は話す。
オーロフ氏によると、IT部門が自らを定義しなければ、他部門によって定義されるという状況がこれからも続くという。IT部門はプロバイダーではなく、コストセンターと見られるのである。ビジネス部門は今後も、IT部門の評判をさらに悪くするような「悲惨なプロジェクト」を押し付けてくることだろう。声を大にして主張しないと、あなたが導入したアプリケーションは利用されず、だれも手順を守らず、導入サイクルは延々と長引くことになるだろう。先ごろ米マサチューセッツ州ボストンで開催されたフォレスター主催のイベントでITリーダーたちを前にスピーチを行ったオーロフ氏は、「ビジネスがあなたにラベルを張る前に、自分自身でラベルを張らなければならない」と語った。
オーロフ氏によると、大手企業のIT部門では、ITマーケティングを担当する副社長を雇うことを検討すべきだという。一方、中小規模企業のCIOは、自社のマーケティング責任者の協力を求めたり、場合によってはマーケティング面でベンダーの手助けを求める必要があるとしている。
こういった取り組みを既に実践している人もいるようだ。米ウォルマートのリンダ・ディルマンCIOもそのひとりだ。同社のIT部門は、「IT Works」(ITは役に立つ)というスローガンを打ち出し、このフレーズをあしらったそろいのTシャツまで作った。また、ウォルマートの経営幹部が強力なIT部門のメリットについて説明するという内容のビデオも製作した。同部門では、社内向けコマーシャルを全社で放映することも計画している。
インテルのIT部門は、同社の9万5000人の従業員向けに同部門の機能を宣伝するために、自社のマーケティング部門から10人のスタッフをリクルートした。インテルの技術グループでマーケティングとコミュニケーションの責任者を務めるジョン・ホーツェ氏によると、膨大な数の従業員の業務慣行を変革し、彼らが本当にIT製品を活用するようにするのが狙いだという。
会社の壁の外側でも、つまり直接、顧客に対して効果的なITキャンペーンを展開している企業もある。例えば、米セブンイレブンのIT部門は、コンピュータサイエンスを志望するテキサス州ダラスの学生に技術奨学金とパートタイムの仕事を提供することによって、同部門の知名度を高めた。一方、米ヒルトンホテルでは、ティム・ハービーCIOの下、IT部門への信頼構築に向けた社内的取り組みが、高度なブランド構築キャンペーンへと変貌を遂げた。ヒルトンホテルのITは現在、「OnQ」という独自のブランド名とロゴを持っている、と同社のOnQマーケティング担当副社長、ローレル・ベイリー氏は話す。3人のスタッフで構成される同氏のチームは、フランチャイズ加盟ホテル、潜在的なホテル開発業者、会議プランナーといったビジネスパートナーならびにゲスト向けに、戦略的アドバンテージとしてOnQの宣伝を定期的に行っている。具体的には、社内向けITニュースレターの発行のほか、旅行業界トレードショウでの展示、パンフレットの作成、「Wall Street Journal」や「USA Today」、各種業界出版物などのメディア向けの宣伝といった活動を行っている。
オーロフ氏は、商品や知識の宣伝をITプロフェッショナルに求めるのは無理があることを認めている。ITのマーケティングをどう考えるかについて技術リーダーらにアンケートを取ったところ、予想された答えが返ってきたという。「忙しくてそこまで手が回らない」「そういうことをするのは好きではない」「中古車のセールスみたいだ」「自分に向いていない」というのである。あるCIOは、「魚に自転車をこがせるようなものだ」と感想を漏らしている。
257人の企業幹部を対象に行われたフォレスターの調査によると、IT部門のスタッフは往々にして口下手であるようだ。調査の結果、ITマネジャーらは「声が掛かるのを待っている」ことが分かった。彼らは、コミュニケーションに主として電子メールを利用しているだけでなく、重要な新プロジェクトのプレゼンテーションにも電子メールを使っている。このような態度は高いものにつく。調査では、ビジネス幹部から意思疎通が上手だと見られているIT部門は、口下手なIT部門よりも高い評価を得ていることも明らかになった。「マーケティング不足は、あなたの将来を惨めなものにするだろう」というオーロフ氏の言葉を肝に銘じたい。
(この記事は2005年11月22日に掲載されたものを翻訳しました。)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー