Column
ビジネスパフォーマンス指標の作成と活用には細心の注意を
経営者は組織に変化をもたらすためにパフォーマンス評価指標を利用する。ここでは、効果的な指標を作成して活用する秘けつを紹介する。
「評価なくては達成はなし」という格言は正しい。パフォーマンス評価指標には、経営者がビジネスの成功という観点から最も重要視する業務やプロセスに、従業員の意識を集中させる効果がある。パフォーマンスダッシュボードで使われる評価指標は、一般にKPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)と呼ばれる。
この指標は変化の強力な触媒であり、目ぼしい前進を促す場合もあれば、組織を混沌と混乱に陥れる場合もある。企業の戦略と目標を正確に反映した指標によって、具体的な日常業務の評価が行われなければ、組織は迷走してしまい、効率的なのに成果が上がらない会社になってしまう恐れがある。このため、経営者は細心の注意を払ってパフォーマンス評価指標を利用しなければならない。
パフォーマンスダッシュボードに関する最もよくある質問の1つに、「効果的な評価指標をどのように定義するか」というものがある。その答えは重要だ。パフォーマンス評価指標は従業員の働き方を規定するからだ。
「評価なくては達成はなし」という格言は正しい。パフォーマンス評価指標には、経営者がビジネスの成功という観点から最も重要視する業務やプロセスに、従業員の意識を集中させる効果がある。経営者は、組織を新たな方向に動かすためのテコとして、この指標を利用できる。実際、経営者が組織を変革し、新たな方向に導くための手段の中でも、指標による業績評価は最も強力なものだろう。
このため、経営者は細心の注意を払ってパフォーマンス評価指標を利用しなければならない。この指標は変化の強力な触媒であり、目ぼしい前進を促す場合もあれば、組織を混沌と混乱に陥れる場合もある。企業の戦略と目標を正確に反映した指標によって、具体的な日常業務の評価が行われなければ、組織は迷走してしまう。従業員間で行動が食い違って足を引っ張り合うことになり、努力の結果がほとんど出ないことに、誰もが疲れて不満を抱くようになる。つまり、効率的なのに成果が上がらない会社になってしまう。
パフォーマンス評価指標の作成術
適切なパフォーマンス評価指標を作成する普遍的な方法は存在しない。パフォーマンス評価指標の担当チームが何カ月も費やして要件を収集し、定義とルールを標準化し、指標に優先順位を付け、フィードバックを求めても、つまり、適切な指標を開発するためのすべての原則を守っても、うまくいかないかもしれない。実のところ、指標の担当チームが完璧を目指すあまり、情報を集め過ぎて分析しきれなくなる恐れもある。指標の担当チームは、効果的な指標作りのプロセスの80%しかカバーできないのが実情だ。残りの20%は、指標を導入し、従業員の行動や成果への影響を調べ、それに応じて指標を調整することで達成される。
KPI(重要業績評価指標)
パフォーマンスダッシュボードで使われる評価指標は、一般にKPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)と呼ばれる。こうした指標は、あらかじめ定義された重要な目標を組織や個人がどれだけ達成しているかを示すからだ。KPIには大きな分類として先行指標と遅行指標などがある。先行指標では、今後の業績に重要な影響を与える活動が評価され、遅行指標(ほとんどの財務指標などが含まれる)では、過去の活動の成果が評価される。
先行指標
先行指標は、パフォーマンスダッシュボードに含めるべき有効な評価指標だが、定義しにくい面もある。先行指標は、ビジネス価値を高める主要な要因の動きを示すものであり、将来の結果の前触れだからだ。そうしたものとして、先行指標は特定の活動の現状(例えば、1日の商談件数など)か、今後の見通し(例えば、向こう2週間に予定されている商談件数など)を表すが、後者の場合の方が有用だ。個々の従業員やその上司にとって、より良い結果を出すために手を打つ時間があるからだ。
先行指標の作成に役立つブレーンストーミング
ほとんどの人は、要因ではなく結果を評価することに慣れているため、視点を切り替えて効果的なKPIの作成に精通するには、しばらく時間がかかる。セナロサグループのコンサルタント、ポール・ニーブン氏は、司会付きのブレーンストーミングを行って視点の転換に役立てることを勧めている。このブレーンストーミングでは、参加者が評価指標を提案すると、司会者が必ず、「なるほど。ではその指標を向上させるものは何ですか」と問い掛け、それを受けてブレーンストーミングによって個人やグループが新しい指標を考え出すと、司会者がまた同じ質問を繰り返す。参加者グループはこの過程を通じて、最初に提案された指標の原因分析を行い、効果的な先行指標を1つ以上生み出すことになる。
診断指標
先行指標や遅行指標のカテゴリーに必ずしもきちんと当てはまらない指標もある。だが、こうした指標を把握することも重要だ。大抵の場合、これらはさまざまな業務やプロセスの健全性を示す指標であり、部門やワークグループのダッシュボードで利用するのに適している。ニーブン氏は、この種のKPIを“診断指標”と呼んでいる。その例としては、主要製品ラインの利益率や、販売チャネルの上位10%との取引の採算性などが挙げられるだろう。
まとめ
KPIは組織変革の強力な触媒だが、効果的なKPIを作成するのは容易なことではなく、そのための普遍的な方法は存在しない。KPI担当チームはユーザーの要件を収集し、指標間の相関関係を分析することはできるが、最終的には、KPIを実際に導入して、従業員の行動への影響を調べなければならない。その上で、従業員のさまざまな行動や成果の間にマイナスではなくプラスの相乗効果が生まれるように、指標に改良を加える必要がある。
本稿筆者のウェイン・エッカーソン氏はデータウェアハウジングインスティテュートの研究・サービス担当ディレクターで、『Performance Dashboards: Measuring, Monitoring, and Managing Your Business』の著者。
(この記事は2006年1月10日に掲載されたものを翻訳しました。)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー