Column
アウトソーシング市場の大変動――ベストオブブリード時代を生き抜くCIOの戦略は?
アウトソーシング市場の大変動に備え、CIOは何をすべきだろうか。この変化はチャンスでもあるが、アウトソーシングによって管理業務は増加するということも忘れてはならない。
専門家らは、アウトソーシング市場で大きな変動が起きると予測している。今後2年間で、総額にして何百億ドルものアウトソーシング契約が更新時期を迎えるからだ。
専門家らは、市場の変化に備えて幾つかの対策を講じるようCIOにアドバイスしている。例えば、共通の技術アーキテクチャを構築する、すべてのサービスプロバイダーが従わなければならないルール群を策定する、といったことである。またCIOは、アウトソーシングによって管理業務は増加する(減少するのではない)ということも忘れてはならない――AMRリサーチやフォレスターの専門家らのアドバイスを紹介する。
専門家らは、アウトソーシング市場で大きな変動が起きると予測している。今後2年間で、総額にして何百億ドルものアウトソーシング契約が更新時期を迎えるからだ。これは、企業のCIOにとって何を意味するのだろうか。
まず、米国の大手コンサルティング企業や世界各国の新興企業が契約獲得競争を繰り広げることで、契約金額が低下する可能性がある。
また、アウトソーシング業務を複数のサービスプロバイダーに分散するという「ベストオブブリード」方式を採用するというトレンドが企業の間で広がるのに伴い、アウトソーシング市場の状況がさらに複雑化することが予想される。
専門家らは、市場の変化に備えて幾つかの対策を講じるようCIOにアドバイスしている。例えば、共通の技術アーキテクチャを構築する、すべてのプロバイダーが従わなければならないルール群を策定する、といったことである。またCIOは、アウトソーシングによって管理業務は増加する(減少するのではない)ということも忘れてはならない。
調査会社AMRリサーチのアナリスト、ランス・トラビス氏は、「CIOは最初に、包括的な視点でとらえる必要がある。なぜアウトソースするのか、何をアウトソースするのか、低価格プロバイダーに任せてよいのはどの業務か、戦略的コンサルティング支援を必要とするのはどの業務かといった問題からスタートすべきなのだ」と話す。
さらにトラビス氏によると、「アウトソーシングは管理負担を軽減させる」という主張は誤りであることを、CIOはそろそろ認識すべきだという。
アウトソーシングコンサルティング企業のテクノロジーパートナーズ・インターナショナル(TPI)では、2008年までに更新時期を迎える大規模アウトソーシング契約は総額で1000億ドル近くに上ると推定しており、これはグローバル規模での市場の大変動の引き金になる可能性があるという。TPIによると、現在、これらの契約の大多数(72%)は、アウトソーシングの「ビッグ6」――アクセンチュア、アフィリエーテッド・コンピュータサービシズ、コンピュータサイエンシズ、エレクトロニックデータシステムズ(EDS)、ヒューレット・パッカード、IBM――との契約である。
これらの契約うち、EDSとIBMの2社で500億ドルを占める。しかしゼネラルモーターズやオランダの銀行、ABNアンブロなどの企業がベストオブブリード方式に移行し、大規模な一括契約を複数のプロバイダーに分散する一方で、インドのアウトソーシング企業が実力をつけるという状況の中、アウトソーシング分野の王者たちは、その地位から追い落とされる危機に直面している。
「IBMやEDSはかつて、市場の50%を占める数億ドル規模の案件で圧倒的な強みを発揮し、残りの50%でもそこそこの競争力だった。しかし今後は、彼らが得意としてきた50%でも、そこそこの競争力というレベルにとどまるだろう」とAMRのトラビス氏は分析する。
こういったプレッシャーを受けているビッグ6は、ほかの大手企業との統合やインドのプロバイダーの買収といった手段を通じて、自社のサービスを「よりバランスの取れたグローバルなデリバリーモデル」にシフトすることを検討せざるを得ない状況に追い込まれている、とトラビス氏は付け加える。(IBMがインドのサトヤム・コンピュータ・サービシズに関心を持っているという噂も飛び交っている。ただし、両社はこれを否定している。)
トラビス氏は、変化するアウトソーシング市場をうまく利用するために、プログラムマネジメントオフィスを立ち上げ、複数のベンダーを組み合わせるというポートフォリオ方式を採用するようCIOに勧めている。このポートフォリオには、ビッグ6企業のうち2~3社、インドのトップクラスの企業、その他の契約に対応するニッチ企業などを含めるのがいいという。さらに同氏は、インド以外の国のサービスプロバイダーにも目を向けるようアドバイスしている。
フォレスターリサーチのアナリスト、ジュリー・ギーラ氏も、アウトソーシング市場は大きな変化を迎えようとしているという。しかし、その影響はビッグ6だけにとどまらず、また、大規模案件が複数のプロバイダーの間で小規模な案件に分割されるだけでは終わらないと同氏はみている。
「問題は、インドのオフショア企業を含むほとんどのアウトソーサーが、万能サイズ的なアウトソーシングモデルを顧客に売り込もうとしていることだ」とギーラ氏は指摘する。
「『サービスはこれで、サービスレベルはこのくらいで、価格はこちらです』といった具合だ。このようなビジネスモデルは崩壊した。IBMやEDSといった古典的なアウトソーサーは、あまりにも長期にわたる契約に高い利益率を織り込んできた」とギーラ氏は話す。彼らは顧客のニーズの変化に適合しなかったために、インドの企業にチャンスを与えることになったのだという。
同氏によると、今日、フォレスターの言う「アダプティブ(適合型)ソーシング」が求められているという。これは、顧客のニーズが時とともに変化するのに伴って進化/変化するITおよびBPO(Business Process Outsourcing)に対応したアウトソーシング製品を意味する。アウトソーサーのビジネスモデルが変わらなければ、インドのオフショアアウトソーシングを「当座しのぎ」のソリューションとして利用すればいい。だがグローバルネットワーク、サービス指向アーキテクチャ、リモート管理ツールなどの成熟化に伴い、アウトソーサー各社はいずれ、サービスのパッケージング/デリバリー/価格設定方法を変更する可能性がある、とギーラ氏は語る。
同氏はCIOに対して次のようにアドバイスする。
まず、あなたが指揮を執ること。「アウトソーシング戦略は共通のフレームワークを基盤として構築し、プロバイダー各社をそれに適合させるべきであり、その逆であってはならない」と同氏は語る。すべてのサービスプロバイダーが準拠すべき技術アーキテクチャとルール群の作成を、今すぐ開始する必要があるという。
デリバリーモデルの変化に対応できる柔軟な契約方式を要求し、必要に応じてオフショアとオンショアを使い分けるようにすること。最後に、「マルチソーシングも度を越すと良くない」とギーラ氏はアドバイスする。アウトソーシング契約1件につき、契約金額の3~6%の管理コストが掛かるからである。
(この記事は2006年1月31日に掲載されたものを翻訳しました。)
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