Column
プロジェクトマネジャーは現場を経験せよ
技術系の雑誌や書籍ばかり読んでいるプロジェクトマネジャーが多過ぎる。ビジネスを理解するために、プロジェクトマネジャーはビジネス書を読み、現場を実地に経験するべきだ。
あるCIOの依頼で筆者は彼の会社のERP実装を調査した。そのプロジェクトのうち、最も問題が多かった導入は、販売、サービス業務、および顧客サポートに関するものであることが判明した。
PMO(プロジェクトマネジメント・オフィス)と方法論はきちんと用意されていたし、7つのプロジェクトの開発計画には、何ら大きな欠点は見当たらなかった。
ところが、エンドユーザーにインタビューを行うと、問題が生じた理由が明らかになってきた。プロジェクトマネジャーが顧客のビジネスプロセスをきちんと理解していなかったのだ。そのため、完成したシステムは理論的には有効だが、人間対マシンの直観的な相互対話に欠けていた。最終調査の結果、これらのプロジェクトは何らビジネスの問題点を解決していないことが明らかとなった。
私はこの会社のCIOに対し、次の点に重点的に取り組むよう提言した……。
私は最近、あるCIOから、彼の会社のERP(統合業務システム)の実装が非常に難しい作業となってしまった原因を調べるよう頼まれた。全部で7つのプロジェクトのうち、最も問題が多かった導入は、販売、サービス業務、および顧客サポートに関するものだった。
この会社のプロジェクト管理ガバナンスプロセスをレビューしたところ、PMOと方法論はきちんと用意されていたことが確認できた。一連の取り組みを進める18人のプロジェクトマネジャーのうち、6人は専門家としての認定も受けている人物だった。7つのプロジェクトの開発計画には、何ら大きな欠点は見当たらなかった。
私は次に、プロジェクトの実装計画を調べ、エンドユーザーにインタビューを行った。すると、実装の問題が生じた理由が明らかになってきた。プロジェクトマネジャーは顧客のビジネスプロセスをきちんと理解していなかったのだ。そのため、完成したシステムは理論的には有効だが、人間対マシンの直観的な相互対話に欠けていた。使い勝手が悪く、各種の次善策を必要とした。スクリーンナビゲーションのクオリティも、無難なものもあったが、かなりひどいものもあった。最終調査の結果、これらのプロジェクトは何らビジネスの問題点を解決していないことが明らかとなった。
私はその後、これらのプロジェクトの責任者である5人のプロジェクトマネジャーにインタビューを行ったが、自社のビジネスをしっかり理解しているのはそのうち1人だけだった。他人事のような態度で、会社の方針を気に入らないと語るマネジャーも2人いた。私が「あなたのプロジェクトによって、エンドユーザーのビジネスプロセスはどのように変わったか」と尋ねると、「分からない。私はこっちでしか働いていないから」と返事をしたプロジェクトマネジャーもいた。こうしたインタビュー結果を踏まえ、私はこの会社のCIOに対し、次の点に重点的に取り組むよう提言した。
プロジェクトマネジャーに自社のビジネスを理解させる
プロジェクトマネジャーは、自分たちの会社がどのようにビジネスを行っているかを理解するために時間を割く必要がある。複雑なプロジェクトの責任を負うプロジェクトマネジャーにはそれぞれ、キーとなるビジネス分野から助言者をあてがい、ビジネスについて教えてもらう必要がある。そうした助言は、プロジェクトマネジャーがビジネスの内情を学び、自らが置かれた政治的環境でどのように立ち回るべきかといったことを理解するうえで助けになる。さらに私は、3カ月ごとにオープンフォーラムを開き、ビジネスバリューを生み出すためには技術をどのように活用すればいいかについて、プロジェクトマネジャーや関係者らが話し合いを持てる場とすることを奨励する。
プロジェクトマネジャー向けの推薦図書
ビジネス書を読まないプロジェクトマネジャーが多過ぎる。プロジェクトマネジャーは技術系の書籍や雑誌を読む傾向にある。ビジネスの問題について知識を共有するための簡単な方法は、プロジェクトマネジャーとビジネスユーザーが雑誌などの情報を交換し合える機会を設けることだ。
現場を経験させる
書籍から得られる知識は重要だが、プロジェクトマネジャーにビジネスの現場を理解させるという点では不十分だ。プロジェクトマネジャーにとって、「現場勤務」を経験し、顧客の事情をよく把握することが絶対に不可欠だ。実際に配送トラックに同乗したり、ヘルプデスクの問い合わせに応じたり、ユーザーの緊急事態に対応したりなど、実地の経験を積むことで、プロジェクトマネジャーは自分が構築するシステムがどのように使われ、そうしたシステムがエンドユーザーをどのような形で支援し、ときには困らせているのかを理解できる。プロジェクトマネジャーが現場経験を積むためのもう1つのチャンスは、エンドユーザーが出席する会議やカンファレンスに参加することだ。そうすることで、プロジェクトマネジャーはビジネスに関する知識を高められる。
こうした活動には二重の効果がある。プロジェクトマネジャーはこうした活動を通じて、ビジネスに関する必要な知識を身に付けられるだけでなく、ビジネスバリューを最大限まで引き出すためにIT部門がいかに貢献しているかを顧客やエンドユーザーにアピールできる。
要するに、私からプロジェクトマネジャーへのアドバイスは、「外に出て、いろいろな人と話をせよ」ということだ。
本稿筆者のゴパール・K・カプール氏はカリフォルニア州サンラモンを拠点とするプロジェクト・マネジメント・センターの所長。著書に「Project Management for Information, Technology, Business and Certification」がある。
(この記事は雑誌「CIO DECISIONS」2月号に掲載されたものを翻訳しました。)
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