Column
CRMからCDIへ――急成長が見込まれる顧客データ統合ソフト市場
個人情報に関するコンプライアンスやCRMの代替策に対するニーズの高まりにより、顧客データ統合ソフト市場が大きく成長する見込みだ。
米調査会社ガートナーが最近公表したリポートによると、顧客データ統合(CDI)ハブソフトウェアの市場は、企業ユーザーの大きな需要とベンダー各社の製品の急速な成熟化が追い風となって、2010年までに4億1000万ドルという規模に成長する見込みだ。
コンプライアンス(法令遵守)問題が大きなけん引力となっているほか、自社開発のソフトでは時代遅れになったり、SOA構想と連携できなくなってきていること、CRMのオルタナティブ代替策に対するニーズの高まりも、CDI市場の拡大を促進している。
企業はこれまで、分かりにくい単一の顧客ビューを提供するCRMソフトウェアを利用してきた。これらは業務機能全般の改善をもたらしたが、データが異なるインフラの間で分割されたままであるため、孤立したデータが増える結果になったという。このため、ベンダー各社は自社製品の機能を見直すことを余儀なくされた。
米調査会社ガートナーが最近公表したリポートによると、顧客データ統合(CDI)ハブソフトウェアの市場は、企業ユーザーの大きな需要とベンダー各社の製品の急速な成熟化が追い風となって、2010年までに4億1000万ドルという規模に成長する見込みだ。
「Market Share and Forecast: CDI Hub Software, Worldwide, 2004-2010」(市場シェアと予測:2004~2010年の全世界のCDIハブソフトウェア市場)と題されたリポートを作成したガートナーのアナリスト、ジョン・ラドクリフ氏は、「コンプライアンス(法令遵守)問題が大きなけん引力となっているのは間違いない」と指摘する。
「サーベンス・オクスリー法(SOX法)の基本要件の1つとして、株式公開企業の場合は顧客数をウォール街に報告しなければならないことがある。顧客ベースの拡大/縮小が人々の投資判断の材料となるからだ。さまざまな企業を買収したために自社の顧客数を把握していないとすれば、潜在的なコンプライアンス問題を抱えていると言える」(ラドクリフ氏)
そのほかにも、CDIソフトウェアへの投資を促進している要因として、CAN-SPAM法(迷惑メール防止法)やDo-Not-Callレジストリ(セールス電話拒否リスト)などのプライバシー関連の法規制が挙げられる。
「この分野でも企業に義務がある。これは、CFO(最高財務責任者)がSOX法に違反すれば、刑務所に入らなければならないというレベルの義務ではない。しかし最近では、データプライバシー関連の法律に違反すると、罰金を科せられる可能性もある。これは企業イメージにとって大きなマイナスになるだろう」とラドクリフ氏は述べている。
また企業ユーザーは、自社開発のCDIアプリケーションから市販製品へと移行しつつある。融通が利かない、時代遅れ、あるいはサービス指向アーキテクチャ(SOA)構想と連携できないといったことが理由だ。
「これまで社内でCDIアプリケーションを開発してきた企業でも、『われわれは銀行(あるいは保険会社)なのだから、こういったインフラを自社で開発するのは適当ではない。この種のインフラはベンダーから購入すべきだ』と考えるようになってきた」(ラドクリフ氏)
CRMの代替策に対するニーズの高まりも、CDI市場の拡大を促進するものとなるだろう。企業は、既存のCRMシステムでは物足りなく感じているのだ。企業はこれまで、分かりにくい単一の顧客ビューを提供するCRMソフトウェアを利用してきた。「Demand-Side Factors That Will Drive the Adoption of CDI Hubs in 2006」(2006年にCDIハブの普及を促進するとみられる需要側要因)と題されたガートナーのリポートによると、CRMの販売/顧客サービスシステムは業務機能全般の改善をもたらしたが、データが異なるインフラの間で分割されたままであるため、データのサイロ(孤立)がかえって増える結果になったという。
このため、ベンダー各社は自社製品の機能を見直すことを余儀なくされた。
「2003年末ごろには、シーベル、オラクル、SAPといった大手ベンダーはいずれも、自社のスイートだけですべてのソリューションを提供するという従来の方針が行き詰まり、追加的なアプローチが必要であるとの判断に至った。それは、e-セントラル型CDIシステムを提案することだった」とラドクリフ氏は語る。
ラドクリフ氏によると、「e-セントラル」はデータモデル、連携機能およびデータ品質の3本柱からなるアプローチになったという。「どれか1本でも柱が欠けると、全部倒れてしまうのだ」と同氏は話す。
ガートナーによると、CDI市場はまだ比較的規模が小さく、未成熟であるが、高度成長期に入っているという。2004年のCDIソフトウェア新規ライセンスの売上高は7000万ドルで、前年と比べて100%の増加となった。2005年には1億ドルを超える見込みだとしている。
ラドクリフ氏によると、こういった状況の中、ベンダー各社は絶えず製品の改良を目指しているという。「導入リスクを最小化するという点に関しては、ベンダー各社に残された課題は多い。彼らはまだ勉強中であり、CDI製品の限界と範囲について研究しているところだ」(同氏)
ガートナーによると、CDI市場の主要ベンダーはDWL、イニシエートシステムズ、オラクル、シーベルの4社で、これらの企業は2004年に市場の50%を占めた。「ニッチプレーヤーにも、参入の余地はまだ十分ある」とラドクリフ氏は話す。
「イニシエートシステムズやサイペリアンといった小規模企業は、2005年から2006年にかけて非常に順調に業績を伸ばしている。データフラックスなどの新規参入組も何社か登場しつつある。また、MDM(マスターデータ管理)製品ベンダー各社も、この市場に参入しようとしている。
(この記事は2006年2月8日に掲載されたものを翻訳しました。)
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