Case Study
測定なくして改善なし──IT部門に効果的な評価指標とは?
成果の上がらないIT部門の業務改善には、的確な評価指標の導入が効果的だ。
筆者が初めてIT業務を統括する立場に就いた勤務先のIT部門は、組織としての信頼性が欠けており、きちんとした成果を上げたためしがなかった。「測定なくして改善なし」という格言を思い出した筆者は、自らのパフォーマンスを評価し、業務改善につなげるための評価指標を定義しようと考えた。
最初は業務を事細かにチェックする指標を作り、それがかえって責任の遂行に悪影響を及ぼしてしまったり、あまりにも多くの指標を定義しすぎるなどの失敗を重ねた。
そうした失敗を経て、業務の中で肝心なものは何か、顧客はどのような分野での向上を求めているのかといった基本を踏まえ、指標によって評価する3つの分野を決めた。
わたしがIT業務を統括する立場に初めて就いたのは、やむを得ない事情からだったが(そのいきさつについては別のコラムが1本書けるくらいだ)、そのときの勤務先のIT部門は組織としての信頼性が欠けていた。サイレント喜劇映画『キーストンコップス』に出てくる警官隊のように、彼らはきちんとした成果を上げたためしがなかった。わたしは「測定なくして改善なし」という的を射た格言を思い出し、この言葉を肝に銘じた。そして、自らのパフォーマンスを評価し、業務改善につなげるための指標を定義しようと考えた。
ガチガチの管理は禁物
だが、わたしはすぐに難問にぶつかった。IT業務のパフォーマンスをどのように評価すべきなのか――。
最初はそこで失敗した。わたしが定義した一連の指標は、業務を事細かにチェックするもので(例えば、開発者が1日に完成すべきコードの行数、といったような)、それがかえって責任の遂行に悪影響を及ぼしてしまったのだ。また、あまりにも多くの指標を定義してしまった。例えば、社内顧客とのわれわれの主な接点となるヘルプデスクについては、因果分析に使える指標情報を収集し、IT部門がより積極的に業務を展開するのに役立てるべきだと判断した。
収集した情報から、例えばヘルプデスクへの電話の30%が、「15分前に使っていたドキュメントが見つからない」といったユーザーの作業上の問題にかかわっていることが分かった場合には、WindowsとOfficeのトレーニングを実施すべきだと解釈した。さらに、積極的な業務展開を促進するため、ヘルプデスクのパフォーマンス指標の1つとして、ヘルプデスクへの電話件数を採用した。ヘルプデスクがこの情報を目安にして、問い合わせの削減に取り組んでくれればという狙いだった。実際、ヘルプデスクは電話件数を50%減と著しく削減したが、それは単に電話回線の半分を外したからにすぎなかった。
基本に戻る
幾つかの同じような失敗を経て、力を入れるべき重要なIT業務を見極めることが必要になった。また、わたしはパフォーマンス指標を明確で測定しやすいものにしたいと考えた。そこで、改めて基本の徹底を目指した。業務の中で肝心なものは何か。顧客はどのような分野での向上を求めているのか。これらを踏まえ、わたしは指標によって評価する3つの分野を決めた。
- アプリケーション提供:われわれは社内外の顧客にアプリケーションを提供しており、これらのアプリケーションは適切に機能させる必要がある。アプリケーション提供に関する指標としては、信頼性を評価するもの(アップタイムなど)とパフォーマンスを評価するもの(レスポンスタイムなど)とを選定した。
- プロジェクト実行:新しいアプリケーションの導入からパッチの適用まで、IT業務のほとんどはプロジェクトとして行われる。このため、スケジュール遵守、予算遵守、目標達成など、プロジェクト実行のさまざまな側面を網羅した指標を設けた。
- 顧客サービス:好むと好まざるとにかかわらず、IT部門の仕事は対人的なものだ。このため、われわれは顧客サービスの基本を常に念頭に置く必要がある。ITについて何がどんな理由で起きているかを十分に説明し、選択肢を提供し、顧客が最良の選択を行えるようにしなければならない。顧客サービスについて指標に基づいて評価を行うため、われわれは頻繁に顧客満足度調査を実施し、われわれのサービス状況を調査した。
この3つの分野のパフォーマンスを評価することは、IT部門を実力のある信頼できる組織に改革するのに役立った。アプリケーションパフォーマンスを調べることで、われわれは責任追及に時間を浪費することなく、レスポンスタイムの遅さなどの問題を解決できた。顧客満足に配慮することを通じて、IT部門は、顧客が一緒に仕事をしたいと思う組織に生まれ変わった。プロジェクト成果物を追跡する中で、すべての担当者が厳しいプロジェクトマネジャーとなった。われわれはプロジェクトスポンサーとより密接に連携し、プロジェクトが迷走することが決してないようにした。
今では、わたしはIT業務の評価指標として、さまざまな状況に応用して常に優れた成果に結び付けることができるものを、定義できていると自負している。
本稿筆者のニール・ニコライセン氏はCIO経験者で、現在はエネルギー関連製品や建材を提供するヘッドウォーターズの戦略企画担当副社長を務めている。
(この記事は雑誌「CIO DECISIONS」4月号に掲載されたものを翻訳しました。)
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