Column
パスワードはもう十分な役割を果たしていない PART2
PART1での調査結果から、多くのIT関係者が「パスワードは時代遅れ」と考えていることが明らかになった。次を担う技術は何か、また導入に当たって気をつけるべきことは何だろうか。
パスワードからPINとトークンへ
ジャンモハメッド氏は、エドモントン市警察の現行のパスワードシステムに代えて、2要素認証とエンタープライズシングルサインオンを利用したシステムを導入する計画だ。
「マイクロソフトのActive DirectoryをPKIと組み合わせ、シングルサインオンプロセスを構築したいと考えている」と同氏。これによって、各ユーザーがネットワークにログインするには、完全なユーザー名とパスワードではなく、PIN(個人識別番号)とトークンが必要になり、トークンは、ユーザーが使うマシン内に存在しなければならないという。
エドモントン市警察では、セキュリティベンダーのエントラストのPKIサーバを認証に利用することになっている。
新システムに移行するまで現行システムでは、パスワード関連のセキュリティ問題が起こる可能性を減らすための対策が取られる。例えば、ユーザーのコンピュータで15分間操作が行われなかった場合には、ユーザーはログインし直さなければならないようになっている。通りかかった人が勝手にマシンを使うことができないようにするためだ。
組織の垣根を越える連携型ID管理
フィナンシャルエンジンズは、連携型ID管理によってアプリケーションをビジネスパートナーと共有することを計画しており、そのためには強力な認証が必要になると、トッド氏は語る。
TechTargetの調査では回答者の40%強が、自組織のシステムにパートナーやサプライヤーがアクセスできるようにすれば、サプライチェーンプロセスの効率が上がるだろうと答えている。だが、その前提は、パートナー同士がお互いに、相手が厳重な認証方法を使っていると全面的に信じていることだ。ところがほとんどの組織では、20年以上にわたって使われてきたパスワードシステムをもう信頼していない。
このことなどから、連携型ID管理の普及のペースは緩やかだ。
「企業間連携は実に大変だ」とトッド氏。「われわれは何百万もの人々の機密データを持っている。取引先の中には、われわれのような小規模な企業との付き合いに慣れていない大企業もある。小企業にとって、こうした大企業を動かして連携を築くのはちょっとした戦いだ。タグボートが航空母艦を引っ張って針路を変えようとするようなものだ」
文化的抵抗を超える
トッド氏は、連携型ID管理は長期的な目標だが、フィナンシャルエンジンズは、既に認証の強化策に取り組んでいると語った。その1つがRSAセキュリティのSecureIDの導入だ。これが決め手となり、従来のパスワードが将来は不要になるかもしれない。ただし、当初はそのプロセスが足踏みする場面もありそうだ。
「Windowsのパスワードの代わりにSecureIDのPINコードを採用すると、文化的な問題が絡んでくるだろう」と同氏。「SecureIDのPINコードはパスワードよりはるかに強力だが、当然のことながら、変化には抵抗がつきものだ」
認証方法が変わるとなると、抵抗する人も出てくるかもしれないが、最終的には、パスワードを使わないやり方に誰もが適応するだろうとトッド氏は語る。しかしそのためには、すべてのビジネス部門のトップから支持を得ておかなければならないという。
「どんなアクセス制御対策も、ビジネスのリスクを軽減することに主眼がある。このため、わたしは抜本的な変更を加えるときには、各部門の責任者のバックアップを取り付けるようにしている」とトッド氏。「そうすれば、初めは不満が出たとしても、いずれは全員が新しいやり方になじむようになる」
認証の強化はもはや必須
従来のパスワードよりも優れた認証手段への移行は、もはや企業にとって必須となっている。オンラインでビジネスを行う企業の場合は特にそうだ。実際、金融会社は連邦金融機関検査協議会(FFIEC)により、2要素認証の実施を義務付けられている。
そのため、ビデフォードセービングス銀行のIT責任者、キース・ゴスリン氏にとっては、シングルサインオン機能とともに2要素認証を導入することが、目下の最優先課題だ。同氏はそうすることに何の異存もない。
「パスワードはもう十分な役割を果たしていないのだから」(同氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー