Column
モバイル対応を進めるSaaS型CRMベンダー各社
センディアを買収したセールスフォース・ドットコムほか、CRMベンダーがモバイルCRMに本腰を入れ始めた。
モバイルCRM技術は、外回りの販売スタッフやフィールドサービススタッフが接続された状態を維持し、彼らに最新の情報を提供するためのソリューションであると久しく喧伝されながらも、これまで期待された成果を実現できないでいた。しかしここにきて、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)ベンダーの注目を集めている。
セールスフォース・ドットコムは7月、元パートナーであるモバイルアプリケーションデベロッパーのセンディアの買収に伴い、新しいモバイル機能をリリースした。一方、エンテリアムは6月、「eMobile」をリリースした。同社はシアトルを本拠とする新興企業で、セールスフォース・ドットコムやネットスイートといった大手SaaS型CRMベンダーに対抗している。エンテリアムの製品は、アップルの人気製品であるiPodのように、親指だけでシステムを操作することができるスライド式メニューを備えるのが特徴だ。
直感的なユーザーインタフェースを提供し、広範に普及しているSaaS(あるいはオンデマンド)型CRMは、新技術の利用に関しては気まぐれなモバイル販売担当者に比較的受け入れられやすいようだ。
ヤンキーグループでシニアプログラムマネジャーを務めるシェリル・キングストン氏は、「セールスフォースはセンディアを買収したことにより、モバイルアーキテクチャにCRM技術を組み込む能力を高めた」と話す。
キングストン氏は、モバイルCRMで重要なのはシンプルさだと言う。エンテリアムは比較的新しい企業であるため、「従来のCRMベンダーのように、自社のCRM技術をデバイスに組み込み、うまく機能するかどうか確認するというやり方ではなく、ゼロからフレッシュなスタートを切ることができる」と同氏は語る。
ワシントン州ベルビューにある住宅ローン会社、ファーストレートフィナンシャルでは、5カ月前に新しいCRMシステムを導入するにあたり、エンテリアムとセールスフォース・ドットコムの両社を検討した。ファーストレートフィナンシャルのマイク・コラグロッシ社長兼CEOは、24時間サポート、価格、優れた適合能力が魅力だったエンテリアムを選んだと言う。同社ではエンテリアムの製品を、従来の融資手続きに基づく販売プロセスに適合させた。
ファーストレートフィナンシャルは現在、eMobileを利用して、同社の住宅ローン営業チームが公開住宅や会計事務所、不動産事務所などに出向いているときでも接続を維持できるようにしている。
「マネジャーの観点から言えば、ノートPCを現場に持ち込みたくはない。非常にみっともないからだ」とコラグロッシ氏は話す。
「エンテリアムとセールスフォースを検討したとき、われわれは価格、汎用性、カスタマイズ性を重視した。われわれが立ち上げたモバイルアプリケーションには、さまざまな修正を施してある」(同氏)
調査会社ヤンキーグループの調査によると、モバイルCRMのユーザーは、ホステッドアプリケーションを受け入れ始めている。最近の調査では、モバイルCRMユーザーの40%以上が「サービスプロバイダがアプリケーションを管理する方式に興味がある」としており、70%以上のユーザーが「少し興味がある」と答えている。
販売/サービス業務を専門とするモバイル技術プロバイダのアンテナソフトウェアのように、より多くの付加価値を提供しているベンダーもある。
「シーベルやSAPのシステム、および各種のデータベースに社外からアクセスできるようにしたいと考えているユーザー企業には、アンテナのソリューションが魅力的だ」とキングストン氏は話す。
「顧客に関する情報さえあればいいというユーザーもいるが、データベースにもアクセスしたいというユーザーは多い。一方、顧客管理や問い合わせ記録だけが必要だというユーザーの場合には、セールスフォースとエンテリアムにアドバンテージがある」(同氏)
ヤンキーグループでは、CRM機能のモバイル展開を検討している企業に対し、ベストプラクティスを実現するビジネスプロセスフレームワークを軸としてプロジェクトを推進すること、複数のシステムに対応したツールを採用すること、そして総合的なアプリケーションロードマップ(CRM、SFA、サービスの導入など)の一環としてモバイル配備を行い、運用コスト、フォームファクタ、接続性なども考慮に入れることが重要だとアドバイスしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発特有の課題も解消できる「AI活用」の秘訣とは? -
事例
[株式会社ビザスク] 「新規事業」事例集:大手企業はどのように想定顧客ヒアリングを行っているのか -
市場調査・トレンド
[株式会社ビザスク] 質の高い「仮説検証インタビュー」を実施するためのポイント -
事例
[株式会社ビザスク] 富士フイルムの新領域参入に学ぶ事業創出 「畑違い」でもビジネス化できる方法 -
事例
[株式会社ビザスク] 三菱電機 上席執行役員に学ぶ、未来を切り開く「新事業創出」の実践方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
3
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
4
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
5
「IBM i(AS/400)はクローズドなシステム」という誤解 DXに寄与する一歩
-
6
長年の蓄積は利点にも弱点にもなる 「脱レガシー」実行前に解決すべき課題とは
-
7
AI時代のITインフラ戦略とは? 販売代理店が知っておきたい最新トレンド
-
8
「GitHub Copilot」3000人に配布も基本機能しか使われない 保険大手が得た教訓
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
NANKAIグループはPC処分の情報漏えい不安とコスト課題をどう解消したのか
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
3
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
8
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー