技術に頼らずにできることから
グリーン技術を待たずにデータセンターの効率を上げる方法
データセンターの消費電力は、新技術の登場を待たなくても単純な方法で削減できると専門家は指摘する。
データセンターの電力・冷却問題で苦労しているCIOは、グリーンコンピューティングの新技術を待っていては手遅れになってしまう――。AFCOM Data Center Worldカンファレンスの講演で、専門家がこう指摘した。CIOやデータセンター管理者は、シンプルだが実際的な措置を取ることで、データセンターを解放できるという。
容量の解放には、一部の古いサーバの電源を落とすという最も単純な方法があると指摘したのは、Sun Microsystemsの持続可能コンピューティング担当ディレクター、マーク・A・モンロー氏。
データセンターは時間がたつにつれ「吹きだまり」状態になってしまうと同氏は言う。例えば特定のアプリケーション実行の目的でデータセンターに接続されたサーバが、何年もたつうちに運営者が変わり、そのサーバで実行されていたアプリケーションも使われなくなる。ところがこのサーバ(モンロー氏の言葉を借りれば「ミステリーサーバ」)は稼働し続け、データセンターの貴重な電力と冷却機能を食いつぶす。
「大型データセンターを幾つか調べたところ、何に使われているのか分からないサーバが8~10%あることが判明した。OS以外には何のプログラムも実行されていなかった」(モンロー氏)
例えば大企業2社を調べた結果、使われていないコンピュータが多数見つかったという。「資産データベースを調べたが、こうしたサーバは誰のものでもなかった。そこでこうしたコンピュータを停止させて、誰かが文句を言ってくるかどうか様子を見ることにし、スイッチを切って電話が鳴るのを待った。これらのサーバは60%以上の成功率で停止させることができた。これは90日あれば実施できる」とモンロー氏は話す。
この2社で合計するとサーバ4300台のうち504台を停止させ、業務に支障は出なかったという。
こうした単純な解決法により、CIOは市販の新技術に頼ることなくデータセンターのグリーン化を推進できる。グリーンコンピューティング戦略は通常、データセンターの電力や冷却装置、スペース削減および、電力料金と消費を抑えたい経営陣によって促進される。使われていないサーバの電源を落とすのは、エネルギー効率の高いサーバの追加に比べると地味なやり方だが、第一段階としては優れている。
米環境保護庁の役割
実際、専門家によれば、新しい基準や技術が登場するのは、特に米政府の場合ずっと先になると見られるため、こうした一見小さな手段が重要になってくる。米環境保護庁(EPA)で「Energy Star」製品仕様開発の責任者を務めるアンドリュー・フェナラ氏は17日の基調講演で、米政府はIT業界のエネルギー効率に規制をかけることは考えていないと語った。
「米政府が果たすべき役割はあると思うが、それは働き掛けであって、米政府が指揮統制をしている時間はない。エネルギー効率の推進を支援していくことができればと思っている」(同氏)
同氏によると、米政府は効率基準の策定支援を通じ、ベンダー間のエネルギー効率競争の促進に努める方針だ。最初の段階として、ハードウェアのエネルギー効率をランク付けするEPAのEnergy Starプログラムで、データセンターサーバのベンチマーク作成に当たる。同プログラムはこれまで大部分がコンシューマープログラムに限定されていたが、同氏の話では、EPAではこれを商業分野にも拡大したい意向だという。EPAは現在、米政府のベンチマーク候補として、Standard Performance Evaluation Corporationが2006年に設定したサーバパフォーマンスのベンチマークに目を向けている。
CIOへのプレッシャー
CIOは、電力料金削減の圧力を(上層部から)かけられているだけでなく、データセンターに物理的なスペースはあるのに電力容量が残っていない理由が理解できないIT担当者からも、プレッシャーがかかっているという。
このようなケースでは、データセンターの効率を高める方法として「テクノロジーの刷新」が重要になるとモンロー氏は言う。
「(サーバの)1対1の入れ替えでさえも、大幅な削減になる」と同氏は言い、新しい製品ほど効率がよいと指摘した。
「われわれは(データセンターの1つで)シンクライアントサーバを導入した。Sunは世界各国で約2万9000台のシンクライアントを導入している。ある地点ではそのうち22台を入れ替えた。純粋な技術刷新だ。ソフトや機能、ユーザーにとってのパフォーマンスに変化はない」
Sunが入れ替えた22台のサーバは11のラックに置かれていたが、これを1つのラックに11台を置くものに切り替えた。シンクライアントサーバによって電力消費は、年間61万7000kW/hから、わずか3万9000kW/hにまで減った。サーバ効率ではサーバの統合と仮想化が注目されているが、仮想化するアプリケーションは慎重に選ぶ必要があるとモンロー氏は言う。こうしたプロジェクトは大掛かりになり、何年もかかる可能性がある。
「データセンターの再編は基本的に、データセンターにめの細かいくしを通すようなものだ。そこで発生する小さな問題はすべて修正する。場違いのタイル、ケーブルに開いた穴からの空気漏れ、暖房と冷房用のCRAC(コンピュータ室の空調設備)が2台並んで互いに競合しているなどだ。これによって建物の消費電力を15%節減できることが、研究で示されている」(モンロー氏)
データセンターの温度自動調節器にも調整が必要かもしれない。
「当社の設定は華氏72度(摂氏22度)だが、データセンターを調べたところ、半分以上が68度(摂氏20度)になっていた。温度を1度上げれば冷房のための電力を4%削減できる」
データセンターの設定温度を上げることも可能だ。温度を華氏72度から華氏78度(摂氏27度)に上げ、温度が高くなる場所を管理するという手段もある。設定温度を上げても温度が高くなる場所が設定範囲に収まるようにすることで、管理は可能だという。
システムインテグレーターのCustom Computer Specialistsのシニアマネジャー、マイケル・インゼリロ氏は、データセンターの設定温度を上げるのは不安だと話す。設定温度の上限でサーバを運営すれば、技術的寿命が縮まらないか心配だという。
しかしインゼリロ氏は、自社だけでなく、予算をやり繰りしようとしている顧客のデータセンターでも、現代のデータセンターにグリーンコンピューティングを導入するためのモンロー氏の提案の大部分を実行してみるつもりだと話している。
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