Ask The Expert
【Q&A】ソフトウェア開発チームの意思決定をスムーズにするには
質問:わたしは、非常に活気のある技術チームのプロジェクトを管理しています。残念ながら意見が分かれることがしばしばで、議論に多くの時間を取られています。まったく異なる選択肢がある大きな問題については、大抵すぐに合意に達します。しかし、選択肢間の違いが小さく、どれを選んでも結果があまり変わらないとなると、議論が延々と続いてしまうようです。これはどうしてですか。どうしたらいいでしょうか。
6歳のころ、わたしにとって一番難しい選択は、1週間分の小遣いの50セントでどのお菓子を買うかだった。今では取るに足りないことに思えるが、幼い子供たちがハロウィーンのトリックオアトリートに行くのを見て、昔この選択に散々悩んだのを思い出した。
当時、それは重要な選択だった。大抵の場合、毎週自分で買うお菓子だけが、わたしが食べられるお菓子のすべてだったからだ。お菓子を選ぶために考えるべきファクターはたくさんあった。1袋にお菓子が何個入っているか。安い個別包装のお菓子(風船ガムや一口サイズのチョコバーなど)を何種類か買うことにするか、それとも1種類のお菓子の特大袋を買うか――。また、そのころ発売されたばかりの「ビッグブロック」という特大のチョコバーがあった。これは50セントで、当時のお菓子1個の値段としては高額だ。わたしはこの大きなチョコの塊が食べたくてたまらなくなることがよくあった。だが、普通サイズのチョコバー(35セント)にすれば、ほかにも小さなものを幾つか選ぶことができた。
結論を出すのはわたしにとって大変なことだった。何を買うか決めるのに毎週30分もかかった。選択肢がたくさんあり、どれも同じように魅力的だった。では、なぜ無作為にどれかをつかむことにして、時間を浪費するのをやめなかったのだろうか。それは今も不思議だ。そのころのわたしはお菓子売り場にあるものなら全部好きだった。だから適当にお菓子をひとつかみして家に帰るようにしていれば、もっと簡単だったはずなのだが。
わたしは最近、同レベルの良い選択肢の中から何かを選択するのに苦労するのは、6歳の子供だけではないと知った。ビュリダンのロバとITプロフェッショナルも、同じ問題を抱えている。
ビュリダンのロバというのは、14世紀のフランスの哲学者ジャン・ビュリダンにちなんで名付けられたパラドックスだ。これは、「完全に合理的なロバから等距離のところに同じ量の同じようにおいしい干し草を置くと、ロバは餓死する」というものだ。それはなぜか。2つの選択肢の間に実質的な違いがないため、ロバはどちらを先に食べるか迷い続けるからだ。
ビュリダンのロバのパラドックスはばかげていると思われるかもしれないが、この種の行動例はどの年齢層の人々にもよく見られる。特に目立つのが専門家だ。こんな状況を考えてみよう。ある問題を解決する必要があり、3つの解決策がある。それぞれの解決策は同じ結果をもたらすが、各解決策の中身はかなり違っている。どの解決策にも明確な優位点はないが、それぞれチーム内の別のメンバーに支持されている。しかし、チームは1つの解決策を選択しなければならない。この場合、チームはどんな行動を取るだろうか。
チームは文字通りコインを投げて、表か裏かによって解決策を決めることになるかもしれない。しかも、部外者が介入しなければ、そうしてプロセスが進むこともまずないだろう。理由は単純だ。往々にして当事者には、物事の「差異」と「優劣」の間の区別がつかないからだ。各解決策がもたらす結果が非常に近いことから、当事者は解決策を選びあぐねる。そして選択の手掛かりとして、解決策のさまつな部分の中に目立つ特徴を探し始める。
差異と優劣を区別する
こうした問題を避けるには、意思決定のスピードを常に意識するとよい。問題を議論するために進捗が落ちたら、選択肢間の違いが本当にそれほど重要なのかどうか自問してみるべきだ。どの解決策でも目的の結果を実現できる場合は、自分の解決策に固執することなく、ほかの解決策のどれかを後押しするのが賢明だ。あるいは、どの解決策も同じように有効だと指摘した上で、どの解決策が「最も人に説明しやすいか」「最も上司の受けがいいか」など、別の観点から解決策を選ぶ方法を提案するという手もある。
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