目が届かないと心配?
モバイル従業員に適した管理スタイルとは
スタッフが勤務時間中にオフィスにいないといらいらするようなマネジャーに向けて、モバイルワーカーを効果的に管理する方法を紹介しよう。
わたしは広範な業界の企業や組織、団体のさまざまなレベルのマネジャーにモバイルとワイヤレスの福音を説き、活用の手助けをしている。その中で1つの質問が繰り返し投げ掛けられる。モバイルワーカーをどうやって管理すればいいのかという質問だ。ほとんどいつも「外出中」の主要スタッフが増える中、これはもっともな──というよりは極めて重要な──問題だ。多くの従業員、特に販売やサービスを担当する従業員は、オフィス内で決まった場所を必ずしも必要としない(あるいは欲しがらない)。技術者やコールセンターのスタッフであれば、自宅や(場合によっては)コーヒーショップでも生産的に仕事をすることができる。それでも経営陣は、必要な業務が遂行され、効率的、効果的、生産的に仕事が行われるよう監督する責任がある。
マネジャーの中には、特にメリットを説明しなくてもモバイル化を自然に受け入れる人もいる。彼らは携帯電話、無線LAN、iPodなどで育った比較的若い世代だ。その一方で、説得するのに苦労するマネジャーもいる。
多くのマネジャーは「モーゼ・コンプレックス」とでもいうべき問題で悩んでいる。スタッフを「わたしの部下」と呼ぶのが彼らの特徴だ。彼らは組織内における自分の立場と役割を「上司と部下」というスタッフとの関係でとらえており、スタッフが勤務時間中にオフィスにいないといらいらする傾向にある。どのような形態のモビリティにも抵抗するのは、こういったモーゼ・コンプレックスに悩むマネジャーだ。彼らは部下がデスクにいるのを望む。自分の目の届く範囲にいれば管理できると思っているからだ。
管理に対するこの旧態依然とした考え方は、モビリティと根本的に相いれない。企業の今日のテーマとしては、従業員のエンパワーメントや意思決定の分散化などがあるが、最も重要なのは、どこで仕事をするかではなく、どのような仕事をするかが問題だという考え方だ。わたしが最初にこの考え方の利点を主張したのは何年も前のことだが、技術の進歩、とりわけ無線ブロードバンドネットワークとパワフルなサブスクライバーユニットのおかげでこの主張が認められるようになったのは、つい最近のことだ。今日では、ほとんどあらゆる場所からブロードバンドの速度でWebサイトや社内ネットワークにモバイルアクセスできるため、ナレッジワーカーがオフィスにいる必要性がほとんどなくなってきた。
モーゼ・コンプレックスで悩んでいるマネジャーに1つの考え方を紹介しよう。従来の管理理論の多くは、アメとムチによる賞罰システムを用いた目標による管理(MBO)が中心だった。目標を設定し、課題を割り当て、従業員にハッパを掛けるというやり方だ。しかし今日の従業員、特に30歳以下の従業員には、こういった方式は通用しない。わたしの考えは、今日ではコミットメントによる管理(MBC)と呼ばれる手法の方がはるかに適切だということだ。実際、わたしは17年前にFarpoint Groupを設立して以来、この手法を用いてきたが、高度に(グローバルに)分散したスタッフを管理する上で問題が起きたことはない。
この手法について説明しよう。スタッフには成果物を作成する機会が与えられる。スタッフがこの任務を受け入れれば、成果物に関するスケジュール、予算および品質レベルを約束したことになる。進行状況とマイルストーンを監視するために週次ミーティング(通常は電話会議かWeb会議)が行われる。約束を果たしたスタッフはポイントを獲得し、果たせなかったスタッフはポイントを失う。その意味は極めて単純だ──高いポイントは組織にとって高い価値があることを意味し、低いポイントはそのスタッフがこの仕事に向いていない可能性があることを意味するということだ。しかし最も重要なのは、いつどこでどのように働くかに関して高い自由度がワーカーに与えられるということだ。今日のナレッジワーカーたちは自分の仕事生活の中で、(主としてモバイル情報技術によって可能になった)この自由を何よりも重視するのだ。
本稿筆者のクレイグ・マシアス氏は、無線ネットワーキングとモバイルコンピューティングを専門とするコンサルティング会社Farpoint Groupの代表。同社は無線およびモバイル全般の支援サービスをメーカー、企業、キャリア、政府機関、金融サービス会社に提供している。
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