VMwareにはホットアドメモリ機能がある
Microsoft「Dynamic Memory」のライバルはVMwareではなくCitrix Systems(後編)
MicrosoftとCitrix Systemsの動的メモリ管理に対する考え方は、VMwareのようにホストメモリの統合率を高めることではなく、管理の容易性を重視することにある。
比較すべきはMicrosoftとCitrix Systems
動的メモリ管理に対するMicrosoftとCitrix Systemsのアプローチの根底には、ホストの統合率を高めることよりも、管理の容易性を重視するという考え方がある。それは詰まるところ、「VMにどれだけのメモリを割り当てるべきか」という難問にどう対処するかということだ。
VMwareの世界では、適切な量のメモリを割り当てることができなかった場合でも、ホットアドメモリ機能を利用すれば問題を解決できる。一方、Hyper-VもXenServerも現時点ではこの機能を備えていないが、どちらも動的メモリを利用することによってこの問題に対処しようとしている。
VMにメモリを追加するには、VMを停止してメモリ割り当て量を増やした上で、VMを再起動するという方法がある。メモリのホットアド機能を備えたVMware vSphere 4が登場するまで、VMware管理者はこの方法を用いなければならなかった。しかしVMware ESXがメモリオンデマンド機能を提供していたため、VMにメモリを追加することが大きな問題とならなかった企業もある。このオンデマンド機能により、(多少の危険は伴うが)メモリを余分に割り当て、メンテナンスウィンドウ(メンテナンスのためのシステム停止時間)を確保しなくて済む。
動的メモリに関して言えば、Citrix Systemsに勤務する私の友人が、この手法のメリットを分かりやすく説明したXen.orgの記事を読むよう勧めてくれた。VMware ESX 4.1が登場する前に書かれたと思われるこの記事は、VMを停止して割り当てメモリを追加する方法について述べている。私が説明するよりも分かりやすいと思われるので、その記事の一部を以下に引用させていただく(強調は筆者によるもの)。
こういった視点から「動的メモリ」を捉えた上で、Hyper-V R2 SP1のβ版に見られるMicrosoftの現在のDynamic Memoryダイアログボックス(図1)をチェックすると、両社のアプローチの違いがより一層明確になるだろう。
デフォルトでは、Hyper-V R2 SP1は標準の512Mバイトを割り当てる。これは、大抵のOSを読み込むのに十分なメモリだ。デフォルトの最大メモリは64Gバイトだが、信頼性が低いアプリケーションで、メモリ要求が次第に増加するメモリリークを引き起こす恐れがある場合には、この数字を低く設定することが望ましい。
メモリバッファ用のスライダーバーでは、ある程度の作業メモリを確保できる。VMに10Gバイトのメモリと5%のバッファを設定した場合、512Mバイトのメモリがバッファとして割り当てられることになる。言い換えれば、VMが10Gバイト全てを使い切ったとしても、メモリ利用の予期せぬ急増に備えて512Mバイトの追加メモリがバッファ内に残されているということだ。
メモリ優先度の設定は、VMwareのシェア値の設定に近い。しかしVMwareのシェア値がリソースプール上あるいはテーブルから設定できるのに対し、Microsoftの優先度設定は個々のVMごとに指定する。これは管理者にとって面倒な作業になる可能性があり、場合によってはWindows PowerShellを使った作業が必要になるかもしれない。ベン・アームストロング氏のデモ(記事下の囲み記事参照)では、多数のVMを動的メモリモードに切り替えるのにPowerShellスクリプトが使われていた。
図1のダイアログボックスでは、メモリの最小値/最大値を設定できる。最小値は起動時にVMに保証されるメモリを指定し、最大値はVMに割り当てるメモリの上限を指定する。一見すると、これはVMwareで設定できるReservation(予約)とLimit(制限)パラメータによく似ているように思える。サーバに物理的に存在するよりも多くのメモリを1つあるいは複数のVMに対して許可できるからだ。しかしこの機能の真の目的は、(VMwareのメモリオーバーコミットのように)統合率を高めることではなく、Hyper-VとXenカーネルがホットアドメモリ機能を備えていないことに対処することにあるのだ。
Citrix SystemsのXenインプリメンテーションにも、これと酷似したユーザーインタフェースが見られる(図2)。Citrix XenServerには、管理者が独自にラッパーを作成できるSDK(ソフトウェア開発キット)APIも付属する(そのためのスキルを持っていることが前提だが)。このAPIについては、Citrix Knowledge Centerの記事「CTX12544」に説明がある。
Dynamic Memory機能がHyper-Vに追加されるのは歓迎すべきことだが、私に言わせれば、VMwareのメモリオーバーコミットとMicrosoftのDynamic Memoryを比較するのは、チョークとチーズを比較するようなものだ。Microsoftには、Dynamic Memory機能はメモリオーバーコミットと対抗する技術だと宣伝してもらいたくないものだ。そんなことをすれば、同社の製品から逆戻りするユーザーが続出することになるだろう。
Hyper-VのDynamic Memoryに関するMicrosoftの説明
もし読者がHyper-Vのユーザーで、Dynamic Memoryについてもっと詳しく知りたいのであれば、Microsoftのベン・アームストロング氏によるこのビデオは一見の価値がある。開始から47分目当たりのところでアームストロング氏は、メモリ管理に関するMicrosoftのアプローチをVMwareのそれと比較しているが、VMwareの技術に対する同氏の解釈には納得できない部分もある。競合製品との比較について当事者のベンダーの見方が偏るのは仕方がないのだろう。
本稿筆者のマイク・ラベリック氏はVCP(VMware Certified Professional)の資格を持つエキスパートで、受賞経験も有する。2003年からVMwareコミュニティーにかかわっている。VMwareフォーラムの管理者ならびにロンドンのVMwareユーザーグループの運営委員を務める。仮想化をテーマとするWebサイト/ブログ「RTFM Education」を運営する。同サイトでは、VMware ESX/VirtualCenterユーザー向けに無償のガイドとユーティリティを提供している。
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