「競争においては、小さなことが違いを生む」
英鉄道会社EurostarのIT基盤刷新を指揮したCIO、ルメール氏の次の一手
2年を費やしてWebサイトをリニューアルした英Eurostar。新サイトは強化されたチケット予約機能にとどまらない、IT基盤としての側面を持つ。同社CIOが語る今後のIT戦略とは?
2013年3月、英Eurostar(訳注)はCIOのクリストフ・ルメール氏の指揮の下、新しいWebサイトをローンチした。これは、この10年で最大のIT展開プロジェクトの1つで、Eurostarの新しいITアーキテクチャの礎になる。
訳注:英国、フランス、ベルギー間で運行される国際鉄道会社。
ルメール氏にとって、この新しいEurostar.comは、サイトの再ローンチ以上の意味を持つ。「これは重要な投資で、ここ数年間で最大の情報システムプロジェクトの1つだ」
Computer Weekly日本語版 2013年7月24日号無料ダウンロード
本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2013年7月24日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。
なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。
以前のWebサイトは2002年に設計されたもので、ルメール氏によると、eコマース界では極めて古いシステムだという。「従って、お客さまには十分なエクスペリエンスを提供できていなかった。以前のサイトは、チケットを予約するために12回もクリックする必要があった。また、Webサイトにアクセスするたびに入力しなければならない情報が山ほどあった。10年前はこれが最先端のエクスペリエンスだったのだが」
「新しいサイトでは、5、6回のクリックで予約できる。また、たとえロイヤルティープログラムのメンバーでなくても、Webサイトのエクスペリエンスは格段にパーソナライズされる予定だ。例えば、最新のWebサイトにはクレジットカード情報を保存するオプションがあり、次回予約をするときに“エクスプレスチェックアウト”を利用できるようになる」
このプロジェクトには2年が費やされた。このサイトのローンチは、数々の変化の始まりにすぎない。
「夏には、リアルタイムの列車運行情報機能を追加する。これは、鉄道の利用者やターミナル駅に出迎えに来た人々に期待されている機能だ。現時点では、駅の情報ボード以外に運行状況を確認できる手段はない」
Eurostarの商品は無形であり、チケットを購入できるかどうかはさまざまな条件に左右される。そのため、チケット販売の基盤システムは、標準的なeコマースプラットフォームに比べて複雑だ。「システムは非常に複雑で、購入する商品はリアルタイムで顧客に合わせて生成される」
つまり、旧システムは刷新する必要があった。Eurostarでは、Capgemini UKをWeb層に採用してシステムを再構築することになった。
Eurostarの全従業員数は1700人だが、情報システムチームのスタッフは50人にも満たない。そこで、システムアーキテクチャやビジネスアナリシス、サービス管理は社内で対応しながらも、ITサービスと保守は外注せざるを得ない。
「社内の開発者は多くないので、新しいプロジェクトでは基本的に、既に完成しているシステムを購入している。その他の開発は、外注している」とルメール氏は話す。
「Eurostar.comプロジェクトでは多くのことを学んだ。新しいサイトというだけでなく、新しい流通システムの基盤になるものを構築したかった。Eurostarのチケットを購入する方法はコンタクトセンターやモバイルなどさまざまで、それぞれが異なるシステムを基盤にしている。新しいWebサイトでは、ユーザーインタフェースの裏にあるロジックの大半を再利用可能にするツールボックスを導入したかった。“カスタムメイド”の部分は、このインタフェースだけだ」
「購入および導入済みのソフトウェアは、モバイル、コンタクトセンター、そしてターミナル駅のチケット予約システムにも使う予定だ」。このように、Eurostarでは、サイトの基盤のITシステムや決済システムをその他のオペレーションに再利用する予定だ。「われわれの計画は、“再利用すること”だ。レゴブロックのセットを買ったようなものといえるだろう」
「従ってこのWebサイトを皮切りに、流通システム、決算システム、運用システムのアーキテクチャを拡張するのが、今後4年間の情報システムのロードマップになる」
「前のサイトが古すぎたので、サイトの再構築は避けられないことだったが、それ以外にさまざまなことを考える機会にもなった」
顧客を知る
ルメール氏は、さらに長期的には、ビジネスインテリジェンス(BI)を使って顧客情報関連で不足している機能を補強したいと考えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー