航空会社のビッグデータ活用法
「航空会社というより小売業者的になっている」British Airwaysのビッグデータ戦略
英British AirwaysでITアーキテクチャの統括責任者を務めるマイク・クラウチャー氏に、他航空会社との合併やオンラインサイトによる小売業的なセールスアプローチについて話を聞いた。
英British Airways(BA)は2年前の大きなIT役員人事を経て、厳しい経済情勢を生き抜くべく、インフラの近代化と顧客データの活用による収益増を軸にIT戦略を展開している。
BAで10年以上にわたり最高情報責任者(CIO)を務めたポール・コビー氏は、BAとイベリア航空との経営統合後、2011年にBAを後にした。現在BAは、ITの統括責任者を2人置いている。ITアーキテクチャとデリバリーを指揮するマイク・クラウチャー氏と、IT運用とインフラを指揮するスティーブ・ハーディング氏だ。両氏とも、ビジネスサービス担当ディレクターのフィリップ・オズモンド氏の配下になる。
「コビーの代わりはいなかった。そこでIT組織を2領域に分けた」とクラウチャー氏は説明する。「ハーディングの役割はデータセンターを効率よく運営することで、私の役割は、変化を通じて部門を率いることだ」
Computer Weekly日本語版 2013年8月7日号無料ダウンロード
本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 2013年8月7日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。
なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。
BAでは、この新しい組織構成でIT部門の能率が向上していることから、CIO職を復活させる計画はないという。
データという金塊
BAは、サービスの向上と売り上げの増加につなげるため、購買行動から収集した顧客データを最大限活用しようとしている。その鍵になるのが「Know Me」プログラムで、ターゲットマーケティングと、BAの旅客データおよび顧客のソーシャルメディア情報の最適化を図っている。
これはBAの副次的なセールスに生かされ、アドオン商品(ホテルやレンタカーなど)の販売またはアップグレードにより、1フライト当たりの利益を増やすための工夫につながっている。「顧客との関わり方に関して、より幅広い情報を基に意思決定ができるようになった」とクラウチャー氏は話す。
「BA自身とBA以外の情報源に対してビッグデータ(手法)を使っている。(BAのロイヤルティープログラムである)『アビオス』など、弊社のデータ以外も活用している。利用客がヒルトンHオナーズプログラムのメンバーで、そのポイントをためている場合は、マリオットではなくヒルトンホテルを提供できる」
「BA.comを始めBAのセールスの方法は変わった。現在は、航空会社というよりは小売業者的になっている。日を変えてさまざまなフライトオプションを提供するのではなく、旅行当日の宿泊施設を複数から選べるようにして、アップグレードした場合の価格を顧客が分かるようにしている」
BAの1000人強のIT部門はある程度の分析に対応しているが、詳細なビッグデータ処理は社内では行っておらず、米Opera Solutionsなどに外注している。外注先では、先進科学を使ってデータから予測パターンを抽出し、それを基に成果物を開発。BAに“~aaS”(サービスとしての~)の形で提供している。
「弊社はトランザクションデータの収集のみで、処理には関与しない。弊社で本当に求めているのはイベント駆動型の成果物で、これは外注している」とクラウチャー氏は言う。
今後数カ月をかけて、BAは社内で生成されたデータをより効率的に活用する方法について、重要な決定を下す予定だ。BAでは、メールとコラボレーションプラットフォームに「大規模な投資」を行う予定であり、現在、取引先候補と交渉をしている。
「BAは、ソーシャルメディア、コラボレーションツール、メールの社内利用に関しては遅れている。これについての戦略をまとめる予定だ」
今後の展開
BAの今後18カ月のITロードマップは確定している。それによると、ITチームが多忙を極めることは必至だ。「今後1年半以内に、SOA(サービス指向アーキテクチャ)フロントエンドが大きく変わる予定だ。これは、(受け身の)デリバリーではなく、(能動的に)“探索”するためのフロントエンドになるだろう。また、モバイルフロントエンドについてもさまざまなニュースを提供する見込みだ」
「テスト環境をクラウドに移行し、クラウドから社内にサービスを提供できるようにすることも予定している。妥当な分野については、積極的にデータセンターからクラウドに移行していく。多数のプロジェクトが進行しているが、われわれの仕事はそういうものだ」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
7
AI時代のITインフラ戦略とは? 販売代理店が知っておきたい最新トレンド
-
8
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
9
人間のせいでAIエージェントの生産性が上がらない
-
10
「IBM i(AS/400)はクローズドなシステム」という誤解 DXに寄与する一歩
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー