Computer Weekly製品導入ガイド
ビジネスプロセス自動化を成功させる組織変革
ビジネスプロセス自動化をフルに活用するためには、組織やIT部門のやり方を変える必要がある。
これまで、会社が何らかのプロセスを自動化しようと考えたらIT部門に相談し、IT部門は公式な仕様に従って作業していた。仕様が承認されると数カ月かけて何らかのソフトウェアを開発し、会社に提供した。
だが、それで仕事が終わるとは限らない。このような形で仕上げたプロジェクトは会社の期待に添えないこともある。IT部門が開発している間も会社は動き続ける。仕様変更のリスクも浮上する。きっちりした公式仕様に沿ったプロジェクトは、始動段階で不用意に余分な機能を追加すると、初日から混乱状態に陥りかねない。
IT部門が出した答えがアジャイルの採用だ。アジャイルでは会社とIT部門の連携を強化し、ソフトウェア開発サイクルは短い工程の繰り返しで構成される。これで成功したプロジェクトは多数ある。
ただし、アジャイルの手法は大部分がIT部門の管轄になる。ビジネスプロセス自動化(BPA)は、事前の作業の多くをIT部門ではなくビジネス部門が担うソフトウェア開発とはアプローチが異なる。
調査会社MDWの調査ディレクター、ニール・ウォードダットン氏によると、BPAは一般的に、ITシステムが会社の仕事のやり方に合っていないという判断を理由に採用される。
従来型のエンタープライズシステムには、作業を調整して一貫したやり方でできるようにする手段がないと同氏は語り、「(従来型のエンタープライズITに)は知識の共有が欠けている」と指摘した。
BPAは作業を調整し、知識の共有を可能にする。例えば小売業界やサービス業界では、仕事をこなすために必要なサポートを確実に提供するためBPAが利用できるという。
Carphone Warehouseは2005年からTibcoを利用して、携帯電話を新規契約する顧客を登録するためのビジネスプロセスをサポートしている。同社のデービッド・バーン最高情報責任者(CIO)は「ビジネスプロセスを理解すれば、真のビジネスバリューを引き出せる」と話す。同社はインストルメンテーションを使って、顧客が販売サイクルのどこで離れるかをチェックできているという。「店内スタッフの仕事ぶりを把握し、プロセスが守られているか、そのプロセスは改善できるかどうかを見極めるため、顧客がたどったルートをチェックすることは非常に大切だ」(同氏)
Carphone Warehouseが開発したアーキテクチャは現在、子会社のConnected Worldに使われている。バーン氏は言う。「われわれのビジネスの中の多くのサービスが他のビジネスに転用できることは認識している。だがそのノウハウの多くは、他のビジネスが身に付けるのは難しい」。例えば小売りでは、モバイル接続端末の販売は習得しやすい。Connected Worldが提供するSaaSでは、システム・ツー・システムのビジネスプロセス自動化を提供し、小売業者がモバイル端末用のネットワーク接続を契約できるようにしている。
Carphone Warehouseでは大々的な導入は行わず、バックエンドインテグレーションにTibcoを使って、ビジネスニーズがあるときに、それに応じてエンタープライズアプリケーションを近代化できるようにした。「ビジネスが(レガシーアプリケーションから)膨大な量のコードを生成する必要があるときにビジネス機能を引き出して、それを他のアプリケーションで利用できるようにした」とバーン氏は説明する。
Carphone Warehouseが使うサービス指向アーキテクチャ(SOA)は、サービスレジストリであり、SOAのためのライフサイクルガバナンスでもある。新しいアプリケーションはコンポーネント化されたアーキテクチャを使って構築され、開発者はサービスレジストリに公開されたサービスを再利用する。
バーン氏によれば、ITの観点から見るとこのアーキテクチャはライセンスのシンプル化とコード品質の向上につながり、Carphone WarehouseはTibcoが業界で定評のあるプラットフォームに置く研究開発の恩恵を受けることができた。また、オフショアのソフトウェア開発も比較的容易に他のサプライヤーに移すことができたという。「われわれのアプリケーションの機能を伝えることがずっと簡単になった。新しく入ってくる(アウトソーシング)組織もすぐに参加できるようになった」
このアーキテクチャのおかげで、Carphone Warehouseはビジネスニーズに基づいて世界各地で同社のITシステムのコンポーネントを配置できているという。「高いレベルのセキュリティを要する共通サービスは当社のデータセンターで運用し、他のコンポーネントはクラウドで運用できる」(バーン氏)
Gartnerのアナリスト、テレサ・ジョーンズ氏は「かつてビジネスプロセス自動化ツールは、銀行口座の開設といった手作業の仕事を自動化するために導入された」と話す。しかし今やこうしたツールは差別化のために使われる。例えばモバイル端末を使ってビジネスプロセスを変更し、効率を高められる可能性もある。
Gartnerはこれを「ビジネスモーメント」と形容する。「何かうまいこと、違ったことをやるためには、動きが非常に速く、自分たちが管理の行き届いた状態で持っているものを再利用できるプラットフォームが必要だ」とジョーンズ氏。IT部門にとっての課題は、BPAが従来の意味のソフトウェア開発とは異なる点だという。「経営側の意向を取り入れる必要がある。そのためにはビジネス側にも発想の転換が求められる」と同氏は言い添えた。
アイデアのクラウドソーシング
これはビジネスプロセスのアイデアをクラウドソース化することであり、多くの組織でIT機能が開発されてきたやり方とは異なる。最も一般的なやり方では、必要条件を入手して従来型の環境でコーディングし、テストを経て本番に至る。だがBPAでは全員が同じツールを使う。ビジネス側はビジネスプロセスを参照するために視覚的比喩を扱う必要があり、開発者はサプライヤーのプラットフォームのレイヤーを取って開発作業を行わなければならない。
Computer Weeklyが話を聞いた専門家は、BPAのためには発想の転換が必要だとの意見で一致した。「プロセス自動化ツールは何にでも使えるわけではない。しかしワークフローのような領域では得るものはとてつもなく大きい。従って.NETやJavaを使うのに比べて作業量は大幅に減る。恐らく30~40%減少するだろう」。ウォードダットン氏はそう解説する。
ただし全ての組織がBPAを利用できるわけではないとも同氏はくぎを刺す。
全て自動化することは困難だが、Carphone Warehouseのバーン氏が示したように、大掛かりなアプローチは不要だ。プロセスは時間を追って自動化することが可能で、新しいサービスはその機能のアップデートが必要になった時点でそれに応じてレガシーコードに入れ替えられる。
ビジネスプロセス自動化を機能させる
ビジネスプロセス自動化(BPA)はアプリケーションを開発するだけでなく、プロセスを改善することでもある。従って、自分がやろうとしている作業のことを理解しておく必要がある。
- BPAとはアプリケーション開発の方法におけるパラダイムシフトともいえる
- ビジネス横断的な連携が必要になるため、ビジネス部門はそれに伴うコストを受け入れなければならない
- ビジネス部門とIT部門は仕事の仕方を変える用意が必要だ
- 全ての企業がBPAを活用できるとは限らない。古い手法のアプリケーション開発から抜け出せないところもあるだろう
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー