「EMM」の時代でも重要性は不変
「モバイルデバイス管理」(MDM)とは何か――いまさら聞けない基礎を再確認(2/2 ページ)
MDM製品のライセンスオプション
本稿執筆時点では、MDM製品の購入には主に2種類のライセンス方式がある。デバイスごとにライセンスが1つ必要になる「デバイスライセンス」と、エンドユーザーごとにライセンスが1つ必要になる「ユーザーライセンス」の2つだ。
より一般的なのはデバイスライセンスであり、エンドユーザー数が多くない比較的小規模な企業に適している。1台のモバイルデバイスを各エンドユーザーにひも付けている企業にも向いている。企業がMDM製品を1種類のスマートフォンにしか適用せず、エンドユーザーに別のモバイルデバイスを使用させる可能性がないのであれば、この方式を選ぶのが賢明だ。
企業内で柔軟なデバイス使用のニーズが高まっていたり、使用するモバイルデバイスの種類が増えていたりする場合もあるだろう。BYOD(私物端末の業務利用)を許可すると、その傾向がより強くなる。こうした場合には、1つのユーザーライセンスで複数台(一般的には3台)のモバイルデバイスを保護できるユーザーライセンスが適する。特に役立つのは、エンドユーザーが複数のデバイスを所持する傾向があり、デバイスライセンスだとコストや手間が掛かる場合だ。
ユーザーライセンスは、一般的にデバイスライセンスよりも初期コストが高くなる。ただし従業員1人当たりのモバイルデバイス数が増えると、長期的には大幅なコスト削減になる可能性がある。
モバイル管理の導入オプション
MDM製品を導入する最も一般的な方法は、仮想アプライアンスを使用することだ。仮想アプライアンスは通常、OVA形式またはOVF形式のいずれかのファイル形式で提供される。仮想アプライアンスはOSを含めてMDM製品の稼働に必要な全ての要素を内包しており、「Hyper-V」や「VMware vSphere」など既存の仮想環境で稼働する。仮想アプライアンスを使うと、ユーザー企業が所有するリソース管理を使って、MDM製品を短時間でインストールできる。
オンプレミスでMDMシステムを運用するのは、ユーザー企業にとって負担となる。そのため多くの大手MDMベンダーは、MDM製品の機能をSaaS(Software as a Service)として提供している。SaaS形式の人気は高まっており、特にリソースが限られている企業の間で評判が高い。
MDM製品の導入
IT管理者はMDM製品のインストール後、管理対象の全デバイスに対して導入計画を策定する必要がある。これは仮想アプライアンス形式でもSaaS形式でも同様だ。企業全体で徐々に導入するのが賢明な選択だろう。エンドユーザーやIT管理者が新しい製品を学習するには、時間がかかるからだ。
MDM製品では一般的に、エンドユーザーがGoogleの「Google Play」やAppleの「App Store」といったアプリケーションストアから、クライアントアプリケーションをダウンロードする。MDM製品は登録済みのエンドユーザーに向けて、インストール手順を記載したメールやテキストメッセージを送信する。エンドユーザーはクライアントアプリケーションをダウンロードし、認証を受ける。認証には通常、ディレクトリサービスを利用する「LDAP認証」か、使い捨てのパスワードである「ワンタイムパスワード」による認証を使用する。認証を通ると、MDM製品はモバイルデバイスに対して、IT管理者が事前構成したMDMポリシーをインストールする。この時点でモバイルデバイスはMDM製品の管理下に入り、IT管理者が適切に管理できるようになる。
モバイルセキュリティの管理者
企業規模によっては、複数のチームがモバイルセキュリティの管理を支援することがある。大手企業はモバイルセキュリティ専用の人的リソースを用意しているところもある。中小企業では、責任が増え続けるIT管理者に、さらにモバイルセキュリティの責任を上乗せしている場合もある。
例えば別々の部門がMDM製品の特定のセクションを管理することは、中堅企業ではよくある。例えば
- 情報セキュリティ部門:モバイルデバイスのセキュリティポリシーの策定を担当
- 技術サポート部門:モバイルデバイス導入後の問題解決や運用の支援を担当
- 通信部門:作成済みセキュリティポリシーの導入や削除を担当
といった具合だ。
MDM導入のコスト
あらゆるセキュリティ製品と同様、MDM製品を利用してモバイルセキュリティを導入する際には、ハードウェアコストとソフトウェアコストを検討することになる。
初めてMDM製品を導入する際のコストには、製品自体のコストに加え、製品を運用するために導入する可能性のある新しいハードウェア、初期サポート、テストなどのコストがある。専門家による運用管理サービスのコストが必要になる場合もある。
MDM製品の運用に関するコストには、MDM製品のインストールやトラブルシューティング、メンテナンスに必要なサポートコストなどが含まれる。導入環境によってはMDM製品のサポートに加えて、追加トレーニングや従業員の増員まで必要になる場合もある。
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