高額の制裁金をどう避けるか
GDPRはコラボツールにも大きな影響、気を付けるべき9つのポイントは
EU一般データ保護規則(GDPR)は、企業とその企業による顧客の個人情報の扱いを厳しく統制する。それはUCアプリケーションも例外ではない。
欧州連合(EU)の「一般データ保護規則」(GDPR)が2018年5月25日に施行された。GDPRには、EU加盟国在住の個人を特定できる情報(個人情報)の扱いを規制するさまざまな条項が含まれている。GDPRに違反すると、最大2000万ユーロまたは全世界での年間売上高の4%のどちらか高い方という高額な制裁金が科される恐れがある。
GDPRは個人が自身のデータにアクセスする権利を与える。GDPRの下では、個人はある情報格納先(リポジトリ)から別のリポジトリへのデータを移動できる。さらに、リポジトリ内に含まれる自身のデータの完全な削除を要求できる。
また、データ収集に制限を設け、個人データを処理する企業にはデータが漏えいした際に通知することを義務付けている。さらに、年間5000人以上の個人データを処理する企業は、GDPRを確実に履行することを目的にデータ保護責任者を任命する必要がある。
GDPRのメリットとは?
企業にとってのGDPRの主なメリットは、EU全体のデータプライバシー規則が統一されることだ。企業はさまざまな規則に別々に対処する必要がなくなる。
デメリットは、EUで事業を展開する企業は、EU市民から集めた情報をEU域外で保管、処理する場合でもこの規則に従わなければならないことだ。
大量のデータを集めるコラボレーションアプリケーション
GDPRへのコンプライアンス対策の第一歩が、データ保護責任者の任命だ。5000人を超えるEU市民のデータを所持している場合、データ保護責任者が必要になる。だが、保有するデータが少なくても、責任者を任命しておいた方がよいかもしれない。
ユニファイドコミュニケーションおよびコラボレーション(UCC)アプリケーションに注目すると、以下の点で影響を評価しておくべきだろう。
- 個人から取得している情報の種類を認識する。例えば、UCC基盤のメッセージングアプリケーションや通話データ履歴が顧客データを取得するかどうかを把握する。
- データの格納先を把握する。例えば、格納先が自社のサーバかクラウドベンダーのサーバか確かめる。
- 個人情報を格納するアプリケーションを特定する。ユニファイドコミュニケーション(UC)分野では、参加者の情報を取得する会議アプリケーション、ボイスメール、電子メール、チャット、通話データ記録、位置情報、顧客データ記録を保持するコールセンター基盤やCRM(顧客関係管理)基盤などが該当する。
- 商品販売業者(サプライヤー)がコンプライアンスを確保する方法を理解する。CRM、顧客エンゲージメント、顧客コラボレーションなどのクラウドベースのアプリケーションを利用することもある。このような場合、そのアプリケーションを提供するクラウドベンダーがコンプライアンスを守っていることと、ベンダーが自社のコンプライアンス対策について説明できることを確認しておきたい。GDPRコンプライアンスの取り組みを公開し始めているベンダーも既に登場している。
- 規則違反やデータ漏えいのリスクを評価する。セキュリティのシステム構成が最高でも、「Spectre」と「Meltdown」と呼ばれるCPUの脆弱(ぜいじゃく)性が出現したときのように、未知の脅威にさらされることがある。法務部門やリスク管理チームと連携して、漏えいが起こりやすいところを把握し、違反に対する保険に加入する必要があるかを判断する。
- 顧客とのやりとりを正確に記録する。収集するデータの種類、格納先、処理する場所を確認し、顧客がデータの保持を望まない可能性を把握する。
- 報告の仕組みを考える。GDPRでは、データ侵害を検出してから72時間以内の報告が義務付けられる。
- 侵害の可能性をテストし、計画を立てる。GDPRの履行戦略を成功に導く上で重要になるのが、定期監査、データ侵害に備えたテストと対応計画など、必要な対策を事前に講じることだ。
- 顧客とコミュニケーションをとる。GDPRへのコンプライアンスを確保するために実施した対策を顧客に周知する。
コンプライアンスの取り組みでは、UCアプリケーションの管理者は法務部門やリスク管理部門と連携し、何が必要かを理解しなければならない。GDPRの保存要件、報告要件、顧客のアクセス要件を満たすような統制を履行する必要があるためだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
“攻撃者優位”なサイバーセキュリティ、全ての「穴」をふさぐ方法とは? -
製品資料
実際に悪用される脆弱性は4%前後 優先的に対処すべき脆弱性を把握するには? -
製品資料
HubSpotの機能を拡張する法人データ活用法 -
製品資料
面倒で非生産的な「名寄せ」作業 高精度&高効率に実施するには? -
製品資料
名刺管理には「その先」がある 成果のでない営業活動から脱却する秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
2
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
4
「WSUS」終了の時限爆弾 “本命”移行先ツールとMicrosoft提唱の新管理手法
-
5
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
6
ベッドでの使用が「PC騒音」を悪化させる? Dellが推奨する冷却ファンの鎮め方
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
9
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
10
アラート47%削減 オープンハウスが捨てた「全部メール通知」の監視体制
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
財務・会計はAI活用でどう変わる? 調査で見えた変革の道筋
-
3
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
7
コスト分析で見る「デバイス復旧」の代償 損失額から導きだされた投資戦略とは
-
8
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
9
ゼロトラストにおける「IDaaSの課題」と補完すべき重要機能とは?
-
10
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー