ユーザーの帯域幅利用状況を変える簡単な方法はない
IT部門が実践すべき仮想デスクトップ(VDI)導入のベストプラクティス
IT部門が仮想デスクトップインフラ(VDI)を計画する際、パフォーマンスの問題を引き起こさないために取れる対策が幾つかある。従業員のPC使用環境から考える、VDI導入計画のポイントを紹介する。
仮想デスクトップインフラ(VDI)には、IT管理の一元化など多くのメリットがある。こうしたメリットを余すところなく利用するには、IT部門はユーザーのニーズを考慮しなければならない。こうしたニーズは企業によって大きく異なり、IT部門のVDIの構築、保守、変更方法に影響する。IT部門がVDIの導入計画を立てるときには、さまざまなベストプラクティスがある
ユーザーの場所を考慮する
ユーザーの場所を考慮することは、VDI導入に不可欠なベストプラクティスの1つだ。ユーザーとデータセンターの距離が長くなるほど、そのユーザーのワークステーションが正しく機能するために必要な帯域幅が増える。企業のデータセンターとユーザーがWAN経由で接続している場合、IT部門がユーザーに快適なパフォーマンスを提供するには多くの計画が必要になる。
ユーザーが働く場所に基づいて、IT部門はユーザーを3つのカテゴリーに分けられる。
1つはローカルユーザーだ。これは主にLANに直接アクセスできる社内で働くユーザーを指す。このタイプのユーザーは、常に社内のITインフラに直接アクセスして働くため、考慮事項は最も簡単になる。
次はリモートユーザーだ。これは社外の決まった場所で働くユーザーや、社内勤務とリモート勤務を交互に繰り返すローミングユーザーを指す。IT部門は、こうしたユーザーがデスクトップに確実に接続できるよう、社外の決まった場所にデスクトップを提供することを計画する必要がある。
デスクトップを社外に提供する場合、IT部門はWANリンクコントローラーなど、ボトルネックの問題に直面するネットワークハードウェアコンポーネントをアップグレードしなければならないことがある。リモートユーザーへのデスクトップの提供は、ユーザーがデータセンターから遠く離れるほど、コストが高くなる可能性がある。
3つ目はモバイルユーザーだ。これは働く場所を予測できないユーザーを指す。このタイプのユーザーを考慮するのは非常に難しい。多くのモバイルユーザーを抱えている場合は、VDIは適切なオプションではないかもしれない。モバイルユーザーを考慮するしか選択肢がない場合は、エッジコンピューティングの調査を検討すべきだ。エッジコンピューティングとは、ネットワーク外で可能な限りエンドポイントに近いところに処理を再分配する手法だ。
勤務形態を考慮する
ユーザーが日常勤務を開始する時間や使用するアプリケーションなど、ユーザーの行動もVDIのニーズに影響する可能性がある。
IT部門が考慮しなければならないVDI導入のもう1つのベストプラクティスは、ユーザーが自身のデバイスを起動するタイミングだ。多くのユーザーが同じ時間帯にデバイスを起動する場合、VDIは全てのデータ要求を処理できない可能性がある。このように起動タイミングが集中すると、デバイスの起動時間が長くなることもある。
起動時間帯が集中する場合のIT部門の対処方法にはあまり選択肢がない。IOPS(1秒当たりI/O処理数)を追加すると、ピーク使用時のVDIパフォーマンスを改善できる可能性がある。IOPSとはストレージの測定単位の1つで、異なる場所のストレージ間でのデータ転送を行うことができる読み取りと書き込みの最大数を指す。IT部門はユーザーの起動ラッシュが始まる前にデスクトップを起動する方法も取れる。そうすれば起動の集中を全体的に避けることができる。
VDI導入の最も重要なベストプラクティスの1つは、従業員のさまざまなタイプを考慮することだ。IT部門が考慮する従業員の一般的なタイプには、タスクワーカー、キオスクワーカー、ナレッジワーカー、パワーワーカーがある。タスクワーカーは、一般的に、毎日の繰り返しのタスクに少数のシンプルなアプリケーションしか使わない。キオスクワーカーは、パブリックデバイスを共有して勤務する。こうしたタイプの従業員は非永続型デスクトップを簡単に使用できる。
パワーワーカーは、リソースを集中的に使用するアプリケーションを仕事に使う。ナレッジワーカーは、オフィスの生産性向上アプリケーションなど、仕事に多くのアプリケーションを必要とする。こうした従業員はセッション間で特定の設定を保持することが必要になる可能性があるため、永続型デスクトップが適している。
VDIが他のシステムに影響する仕組みを理解する
IT部門では、VDI導入後に他のシステムでの問題に遭遇することがある。こうした問題を突き詰めると、原因がIPアドレスと帯域幅にあることが多い。
従来型のファットクライアントを備えた物理デスクトップを使用する企業は、デスクトップとデバイスにIPアドレスを1つしか必要としない。ファットクライアントとは、大半または全ての仮想リソースをそのPCでホストするデバイスを指す。
シンクライアントは、実際には2つのIPアドレスを利用する。シンクライアントとは、ほとんどの仮想リソースをネットワーク経由で提供する低コストのエンドポイントを指す。シンクライアント自体が1つのIPアドレスを必要とし、仮想デスクトップがもう1つIPアドレスを使用する。ユーザーが複数のデバイスで仕事をすると、仮想デスクトップにアクセスするとき、デバイスごとに独自のIPアドレスが必要になる。そのため各ユーザーが必要とするIPアドレスは、最低でも2つか3つになる可能性がある。
VDI導入のベストプラクティスは、IPアドレスの管理ツールを使用してアドレスの使用状況を監視し、必要になるアドレスの合計数をユーザーごとに予測し、仮想デスクトップが企業のIPアドレスプールを使い果たさないよう事前に計画することだ。
ユーザーが企業のファイアウォール外からデスクトップにアクセスする場合、VDIはインターネットの帯域幅を大量に使用する。IT部門が帯域幅の利用増加を想定していないと、他の企業ネットワークの速度が低下し、ユーザーエクスペリエンス全体が損なわれる可能性がある。
帯域幅の利用状況は、ユーザーが自身のデスクトップでする仕事の内容にも左右される。例えば動画のストリーミングは、Microsoftの「Microsoft Outlook」を使用するよりも多くの帯域幅を使用する。
ユーザーの帯域幅利用状況を変える簡単な方法はない。そのため、IT部門はこうした帯域幅変動の可能性を予測し、それに応じてバックエンドのハードウェアを構築しなければならない。
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