建設業界のCIOが語る
迫り来るデジタルディスラプター 企業が「最も取り組むべき施策」とは何か?(2/2 ページ)
この業界では、どこでデジタルディスラプションが起きると考えられるか
ライト氏:インパクトの強い例はある。例えば拡張現実(AR)だ。当社が現在取り組んでいることの多くはARが軸になっている。ARを中心としてイノベーションを起こしている業界は多い。現場で非常に複雑な問題が発生し、専門家が必要になったときでも、国内の別の場所にいる専門家にARを通じて支援を受けられる。現場にいる担当者がカメラ付きのヘッドセットを装着すれば、ライブ動画をその専門家に送信できる。専門家は、それを見て指示を送ったり、現場の担当者が見えるように画面上に描画したりすることも可能だ。そうすれば、専門家の移動に伴う時間を減らせる。
また、ドローン、センサー、カメラを使って建設現場を監視できる。これらを目として使うことで、従来ならデータを得ることが難しい領域でも確認ができるようになる。これまでもそうした情報を得られなかったわけではないが、重要なのはコスト効率よく、迅速に情報の取得が可能になることだ。
利用が増え始めているもう1つの要素に、機械学習と人工知能(AI)がある。
最近の企業が生み出せる価値の多くはデータに基づく。これはデータの取得方法だけではなく、その分析方法もよりどころになっている。プロジェクトで起こり得ることを予測するときに、そうしたデータが大いに役立つ可能性がある。
他の業界でディスラプションが起きたのは、優れた顧客体験を生み出す企業が登場してきたためだ。これらのテクノロジーは実際、より優れた体験を生み出すことを目的としている。そのため当社ではそこに注目している。それは顧客のためでもあるし、自社のためでもある。
デジタル化の点から見て、建設業界はどのような位置にあるか
ライト氏:この業界はデジタル変革のプロセスとしてはかなり初期段階だ。膨大な額の投資が行われているが、デジタル変革への投資に関連するのはそのごく一部にすぎない。建設の計画や手順では相変わらず非常に伝統的な手法が用いられている。
だが、デジタルによって提供される成果が増えるに伴い、今後10年間でデジタル変革が急速に進むことになるだろう。
10年以上前からBIM(ビルディングインフォメーションモデリング)が活用されるようになってきている。BIMが利用されているのは他の種類のプロジェクトだ。だが、BIMの考え方は、情報をデジタルにすることで、建築のための設計、計画、建築方法を紙の上で表現するのではなく、デジタル化するというものだ。そうすれば、さまざまなグループ全ての関係者がそうした情報にアクセスし、より賢く利用できるようになる。
プロジェクトが完了するまでの進行を簡略化、高速化、効率化する新しいツールやテクノロジーが市場に数多く登場している。今後、プロジェクトはデジタル設計から始めるようになり、企業はさまざまなパートナーにそうした情報を提供することになるだろう。その設計は、ドローン、センサー、カメラで集めるデータと連携される。そして、AIを使用してそうしたデータを評価することになる。計画が最善であることを確認するためだ。
また、エンジニアリングや設計の単純な側面をより多く切り出し、それを自動化する方法も検討するようになっている。それにより、エンジニアや設計者はより複雑な分野に専念できるようになる。その結果、エンジニアリングと設計の全体的なプロセスが速まる。
デジタル化の点から見て、Arcadisはどの位置にいるか
ライト氏:当社の場合、デジタル変革の点では他よりもやや先に進んでいる。だが、実現への道のりはまだ遠い。目標は全てをBIMにすることだ。それによって当社がビジネスをする方法全体がデジタル化される。デジタルリーダーになるにはそれが出発点になると考えている。情報のアクセスと共有が可能になる方法で全ての情報を用意しなければならない。当社は、ドローン、センサー、カメラを使って情報を取得する創造的な方法を作り出しているところだ。そうやって得たデータをクラウドに置いてアクセスできるようにし、データを適切な方法で利用できるようにする。うまくいく可能性があることと、そうでないことを予測するために、そうしたデータの処理方法を検討している。
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