「うちのバックアップは完璧です」という企業がはまるワナ【第3回】
戻せないバックアップ 問題ないはずの「リストア」で起きた悲劇(2/2 ページ)
「セルフリストア」で常にリストアの訓練を実施
運用担当者のリストア経験不足解消については、やはり「経験させる」しかない。最近はリストアの手順についても“避難訓練”のような形で平常時に試せるシステムも出てきているが、こうした備えが全てのシステムに組み込まれているわけではないからだ。では、どうすればよいのか。
本番環境にリストアするとなればシステム停止が前提になるため、おいそれと試せるものではないだろう。最近では仮想化技術の活用が進んでいるため、リストアできるかどうか試すためなら本番環境ではなく仮想化環境を使う選択肢がある。もし本番と同じ環境を仮想化環境に用意できればリストアの練習ができるだけでなく、DR(災害復旧)対策としての利用も可能となる。優先的に取り組む価値があるだろう。
これに対し、例えばNetAppは、運用管理者の関与なしでエンドユーザーが自分のデータを任意のタイミングで復元できる「セルフリストア」など、かつての大規模なバックアップソフトウェアが実装していた機能をストレージ側に取り込む動きを見せている。
ストレージ自体を高速化することでリストア時間を短縮
バックアップ時間の短縮には、重複排除の採用と合わせて、ストレージのハードウェアを見直すことも有力な手段となり得る。リストアに数十時間かかった前述の事例では、被害にあったSaaS事業者は、その後バックアップデバイスとして、本来はバックアップ用途ではないオールフラッシュNAS製品を導入した。「バックアップストレージからデータを戻す(移動する)ことに時間がかかるなら、ストレージを高速にすればいい」という考えだ。
今後は「サイバー攻撃被害を回避するために積極的にバックアップを活用する」ことを想定する必要がある。もしリストアの手間が過大だと、せっかくバックアップを取っていても被害が出てから対処する、という結果に陥ってしまいかねない。NetAppのセルフリストアのように必要なときにはためらわずに実施できるような、負荷の軽いシステム作りを意識する必要があるだろう。
HDDからフラッシュストレージへのシフトもあり、バックアップを取り巻く環境は激変しつつある。これからはバックアップを「データを保護する」という観点だけでなく「いかにビジネスに影響を与えない体制を整えるか」といった視点で考えるべきだ。
取材協力:渡邉利和
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「うちのバックアップは完璧です」という企業がはまるワナ
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