修正を繰り返すほどずれていく
生成AIでむしろ業務が進まない? 6割を絶望させる“終わらない修正”
業務効率化を期待して生成AIを導入したものの、意図した結果を得るための修正作業で数時間のロスが生じている。なぜ現場の負担は増大するのか。実務者を消耗させる「隠れコスト」の実態に迫る。
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や人手不足解消の手段として生成AI(AI:人工知能)の導入が進む中、現場では課題が浮上している。出力結果を実務レベルに引き上げるための微調整に、担当者が多大な時間を奪われているという事実だ。
本来は業務を効率化するための仕組みであるにもかかわらず、生成された成果物が一発で現場の要求を満たすことはまれだ。PRサービス企業PRIZMAの調査では、利用者の過半数となる約6割が4回以上の修正を余儀なくされており、中には10回以上のやり直しを経て最終的にAIツールでの修正を諦めるケースも発生している。手軽に導入できるようになった半面、実運用においては「修正作業と事実確認」という新たな業務負担が生じている状態だ。実務者がAIツールとのやりとりで直面している具体的な壁とは何か。
効率化の裏で増える“手戻り”
本調査は、2026年3月6日から3月8日にかけてPRIZMAが実施した。業務で日常的に生成AIを利用し、かつ画像や動画制作の経験がある20代から50代の男女1003人を対象としている。
調査で明らかになった深刻な問題の一つが、修正にかかる膨大な時間だ。AIによる生成処理自体は数秒で完了する一方で、その後のプロンプト(指示文)調整や再生成のループによって、1案件当たり30分から3時間ものタイムロスが生じている。
現場担当者が最も不満を感じているのは、意図した通りのピンポイント修正が困難な点にある。調査対象者の44.2%が「一部だけ直したいのに、指示を出すと他の良い部分まで消える」というジレンマに直面していると回答した。対話を繰り返すうちに当初の方向性や意図から徐々にずれていく現象も41.5%が経験しており、心理的なストレスを増大させる要因になっている。
企業のIT部門や企画部門において、社内資料やプレゼンテーション用の図解作成といったビジュアル制作の手段としてAIツールは定着しつつある。しかし、ビジネスの現場では正確な表現や情報の整合性が厳しく問われるため、曖昧な出力は許されない。事実とは異なる情報がもっともらしく出力される現象(ハルシネーション)の確認作業にも手間がかかるため、最終的には人間による入念な介入が不可欠だ。
画像生成特有の修正難易度の高さ
生成するコンテンツの性質によって、修正の難易度は異なる。テキストであれば、AIツールが出力した文章の不自然な箇所を人間が書き換えて修正することは比較的容易だ。しかし画像の場合、人間が手作業で加筆やレタッチを行って不自然な箇所を修正するには専門スキルを要するため、テキストのように部分的に手動で修正することは簡単ではない。結局はプロンプトを打ち直してAIツールに再生成させるしかないが、そうすると全体が再生成されてしまい、構図や背景まで全く別の画像に変わってしまうリスクが付きまとう。
調査でも、69.3%の利用者がテキストよりも画像生成の修正を難しいと捉えている。調査では、大半のビジネスパーソンが普段から使い慣れている対話型のマルチモーダル(テキストや画像など複数のデータ形式を扱うことができる)AIツールで画像生成機能を利用していた。しかし、特定のポーズを正確に描写させたり、特定箇所だけをミリ単位で書き直したりする細かな制御には限界がある。ビジネス用途で不可欠な商品ロゴの正確な配置などにおいても、AIツールの出力が安定しない点は実用化への大きな障壁として立ちはだかっている。
スピードアップに向けた鍵
現場での利用は、AIが生成したものをそのまま使用する段階から、人間が意図した通りに細部を調整し、最終的なビジネス成果物へと仕上げる段階へ移行しつつある。企業が真の業務効率化を実現するためには、AIの圧倒的な生成スピードを生かしつつ、修正の手間をいかに最小限に抑えるかが重要となる。
今後は、単なるテキストや画像の生成能力の高さだけを評価するのではなく、生成後の成果物を細部まで自由度高くコントロールできるかどうかがツール選定の基準として求められる可能性がある。一貫性を保ちながら特定箇所だけを直感的に書き換えられる、実務担当者の運用プロセスに寄り添う拡張性のある機能の有無が、ビジネス現場におけるAI活用の成否を左右すると言える。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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