被害の極小化と迅速な事業再開を実現
「うまい棒」のやおきんが挑むランサムウェア対策 約2カ月で導入し、少人数運用を実現
「うまい棒」の企画・販売を手掛けるやおきんは、ランサムウェア攻撃からの迅速な復旧を見据えた対策システムを約2カ月で導入した。少人数のIT部門が抱える不安を解消し、業務継続を可能にする仕組みに迫る。
昨今、企業規模を問わず猛威を振るうランサムウェア(身代金要求型マルウェア)は、事業の存続を脅かす重大な経営課題になっている。「うまい棒」をはじめとするスナック菓子を企画・販売するやおきんも例外ではなく、安全な食品作りと安定した事業運営を守るための対策が急務だった。
従来のやおきんでは、製造現場以外の業務システムが停止した際の影響範囲や、復旧までの手順が十分に整理できていなかった。特に、少人数の体制でシステム運用を担う中、万が一のインシデント発生時に誰がどのように対処するのか、役割分担が不明確な点に大きな不安を抱えていた。
そこでやおきんは、攻撃の侵入を完全に防ぐことは難しいという前提に立ち、「暗号化されてしまった場合でも迅速に復旧できる」体制の構築へとかじを切る。検討の結果、高千穂交易の支援を受け、ランサムウェア対策に特化したセキュリティシステム「Halcyon」の採用を決定した。導入作業は約2カ月という短期間で完了し、システム運用担当者やPCを利用する従業員に大きな負担をかけることなく、新たなセキュリティシステムを展開している。
限られた人員でいかにして「止められない業務」を守るのか。既存の対策と競合しない製品選定の決め手や、運用負荷を最小限に抑える具体的な仕組みを明らかにする。
「暗号化を前提とする」という逆転の発想
やおきんは、ランサムウェア攻撃を受けた際の迅速な復旧と事業継続を目的に、ランサムウェア対策システム「Halcyon」を採用した。2026年4月9日、導入を支援した高千穂交易が発表した。暗号化による被害を前提とした対策を講じることで、基幹システムや社内システムの継続性を高め、限られた人員での安定した運用体制を構築した。
やおきんは、うまい棒などのスナック菓子を企画・販売し、安全な食品作りと安定した事業運営を重視している。しかし、近年深刻化するランサムウェア被害が事業継続に影響を及ぼす重要な経営課題となっていた。従来、製造現場以外のシステムが停止した場合の影響や、復旧に向けた手順が十分に整理されていない点が課題だった。特に、少人数でのシステム運用において、緊急時の役割分担が不明確なことが不安要素となっていた。
Halcyonは、Halcyon Techが提供するランサムウェア攻撃に特化したサイバーレジリエンスシステムだ。攻撃の事前阻止から被害の局所化、自動復号技術による迅速な復旧までを一元的に管理し、既存のEDR(Endpoint Detection and Response)/EPP(Endpoint Protection Platform)を補完する。
Halcyonの採用に当たっては、「侵入を防ぐ」だけではなく「暗号化された場合でも迅速に復旧できる」という設計思想が、やおきんの事業継続方針に合致した。既存のEDRと競合せずに追加導入できる点や、サブスクリプション型で初期投資を抑えられる点も採用の決め手となった。検討開始から導入までは約2カ月と短期間で完了し、各端末への展開も大きな負担なく進んだ。
導入後は、分かりやすい管理画面や異常時のアラート通知に加え、専門チームによるモニタリング体制を確保した。これによって、日常的な運用負荷を最小限に抑えつつ、「万が一の際には任せられる」という安心感を得ている。
今回の導入によって、やおきんは「暗号化されても事業を止めない」セキュリティシステムを確立した。経営と現場の双方が安心して業務に集中できる環境を整え、子どもに製品を届け続ける体制をさらに強固にする。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「やおきん、ランサムウェア対策基盤で事業継続を強化 『うまい棒』など安定供給へ」(2026年4月10日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ファインディ株式会社] AI利用率だけでは説明できない成果 開発組織の競争力を生む「開発資本」とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI活用を成功へ導く、シンプルで費用対効果に優れたクラウド基盤とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] マネージドKubernetesには限界も――メリットをフル活用する新たな選択肢とは? -
技術文書・技術解説
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 決断の日が迫る「vSphere 8」サポート終了問題 考慮すべきリスクと選択肢は? -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] メール誤送信対策のルールが肥大化 苦しむ情シスはどうすれば救われるのか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
「恥を知るべきだ」 AIデータセンター反対運動を招いた事業者の秘密主義
-
4
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
5
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
6
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
7
私も“AIエージェント開発者”に? 裾野を広げる「Agent Bricks」とは
-
8
パスワードはなぜ死んだか 情シスが今すぐ始めるパスキー移行の現実解
-
9
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
10
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
4
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
10
マンガで学ぶXDR/MDRのメリット、中小企業のセキュリティ強化になぜ有効か?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー