AIエージェントが不足データを補完

見えない文字は推論する SAP Concurが「Gemini」で挑む“手入力ゼロ”への道

経費精算における「読めない領収書の手入力」は依然として面倒な作業だ。従来の読み取り技術が抱えるこの限界を、SAP Concurは「Gemini」を活用して突破したという。不足する情報をどのように補っているのか。

 経費精算業務において、不鮮明な領収書の処理は依然として手作業が生じる課題だ。ポケットの中で丸まった領収書、汚れや日焼けによって印字がかすれた領収書などは、従来の光学式文字認識(OCR)技術では店舗の住所や明確な日付といった必須データが読み取れず、システムの処理が中断していた。その結果、従業員は手作業で不足情報を入力する手間が残り、完全な自動化の障壁となっていた。

 こうした課題を解決するため、出張・経費管理システムを手掛けるSAP Concurのエンジニアリングチームは、スキャン精度の向上ではなく、AI(人工知能)モデルの推論によるデータの補完という手法を取り入れた。具体的には、経費管理システム「Concur Expense」の領収書読み取り機能である「ExpenseIt」に、GoogleのAIモデル「Gemini」を組み込んだ。これによって従業員が撮影した不鮮明な領収書であっても、AIモデルが文脈から不足情報を推論し、経費項目の入力を完了させることが可能になった。

 これは単なる読み取り精度の向上ではなく、AIモデルが「領収書に記載されていない情報」を推論し、エラーを防いでいる。SAP ConcurはGoogleのサービスを用いて、どのように「自律的に思考するAIエージェント」を開発したのか。

読めない文字はAIに推測してもらう

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