「セマンティックピボット」の衝撃

従来のIAMが通用しない 自律型AIが招く「静かなセキュリティ崩壊」をどう止めるか

多くの企業で、AIエージェントなどの「非人間アイデンティティー」が社員数を上回りつつある。だが、従来の権限管理(IAM)では、正当な権限を悪用して目的外のデータに触れる「セマンティックピボット」を防げない。法規制が強まる中、情シスに求められるのは「誰が」ではなく「なぜ」を制御する新時代のガバナンスだ。

 セキュリティ境界としてのアイデンティティーは、もはや従業員だけで定義されるものではない。従業員に代わって行動するあらゆる要素によって定義されるようになっている。その多くには名札も、直属の管理者も、退職プロセスも存在しない。

 大半の大企業では、非人間アイデンティティー(NHI)の数が既に人間のユーザー数を上回っている。「エージェント型AI」の登場は、この課題を単に拡大させるだけでなく、その本質を根本から変えようとしている。

 エージェントとは、自律的な推論能力を持つ実体だ。システムの照会や意思決定、重大なアクションを大規模かつ継続的に、許可を得ることなく実行できる。現在のガバナンスモデルは、こうした存在を管理するようには作られていない。情シスに求められるのは「誰が」ではなく「なぜ」を制御する新時代のガバナンスだ。

エージェント時代のアイデンティティー

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