運用拡大を阻む「人材の壁」
大企業の半数がAIエージェントを本番運用も…… 7割が抱える“致命的な課題”
大企業で「AIエージェント」の実運用が進んでいる。その一方で、約7割の企業が運用を拡大する上での深刻な障壁に直面していることがパーソルキャリアの調査で分かった。企業を悩ませる課題の正体とは。
生成AI技術の急速な進化を背景に、与えられた目的に対して情報収集から判断、実行までを自律的に遂行する「AIエージェント」が台頭している。企業の生産性向上と新規事業創出を担う中核技術として期待される一方で、実証実験(PoC)から本番運用への移行が進む中、成果を全社に定着させるための体制づくりが急務になっている。
こうした状況を受け、パーソルキャリアは2026年5月20日から5月22日にかけて、大手企業におけるAIエージェントの活用実態を明らかにする調査を実施した。対象になったのは、売上高1000億円以上の企業に在籍する部長職以上の505人だ。
調査結果によれば、回答企業の48.3%がすでにAIエージェントを実際の業務で本番運用していることが判明した。AIエージェントを活用している企業の59.0%が導入の効果を実感していると回答している。
しかし、運用フェーズへの移行が順調に進む裏で、多くの企業が本格的な活用を阻む深刻な障壁に直面している実態も浮き彫りになった。企業が直面している課題の正体とはどのようなものか。
実証実験から「全社展開」への移行が進む現状
大手企業におけるAIエージェントの導入は、一部の先進企業による試行段階を超え、実運用のフェーズに進んでいる。勤務先での導入・活用状況を尋ねた設問において、「一部部署で本番運用」「複数部署で本番運用」「全社展開、経営戦略統合」と回答した企業の合計は48.3%に達した。このうち、全体の20.0%は「全社展開、経営戦略統合」の段階にまで到達している。単なるツールとしての導入にとどまらず、経営戦略と密接に連携した形でAIエージェントが機能し始めていることがうかがえる。
導入の効果についても、肯定的な評価が多数を占めている。PoC導入以上の活用層(317人)を対象とした調査では、「特定の業務、領域では効果を実感できている」が35.0%、「明確な成果が出ており、業務として定着している」が24.0%で、59.0%が具体的な導入効果を実感している。
効果を実感している層(187人)に対して、特に手応えを感じた変化を尋ねたところ、「属人化していた業務ノウハウの形式知化・継承が進んだ」という回答が47.6%で最多となった。AIエージェントは、従来型のシステムがもたらた定型業務の効率化という枠組みを超え、個人の頭の中に暗黙知として存在していた業務プロセスや判断基準を形式知化し、全社で共有可能な資産に変換する役割を担い始めている。これは、AIエージェントが組織知の蓄積という高度なナレッジマネジメントに寄与していることを示している。
運用拡大のボトルネックは「設計・評価人材」の不足
導入の成果が可視化されつつある一方で、活用を全社に波及させ、継続的な成果を生み出すための体制には大きな脆弱性が潜んでいる。AIエージェントの活用を推進する役割や体制の整備状況に関する設問では、「十分に整っている」との回答はわずか19.8%にとどまった。「ある程度整っているが不足感もある」が43.4%を占めており、これらを合わせた約7割の企業が、推進体制に対して強い不足感を抱いている実態が明らかになった。
この不足感の背景にある具体的な課題を探ると、テクノロジーそのものの限界ではなく、人材の壁に行き当たっていることが分かる。AIエージェントの導入・活用に取り組む層(399人)を対象に課題や障壁を尋ねたところ、最も多かった回答は「AIエージェントを設計、評価できる人材の不足」であり、45.9%に上った。
AIエージェントは、従来のソフトウェアのようにあらかじめ決められた手順を実行するだけではなく、目的に応じて自律的に情報収集や判断をする。そのため、導入に当たっては、自社の業務プロセスを深く理解した上で、AIエージェントが適切に動作するようにプロンプトや動作環境を設計する高度なスキルが求められる。AIエージェントが出力した結果や実行したアクションの妥当性を評価し、継続的な改善を図るための知見も不可欠だ。こうした専門性を備えた人材の枯渇が、本格運用の最大の障壁になっている。
外部知見の活用による体制整備の加速が急務
本調査の結果から、大手企業におけるAIエージェントの活用は、導入のフェーズから、いかに成果を持続的に創出するかという実行のフェーズへと移行していることが明らかになった。しかし、その活用を一部の部署から全社規模に拡大し、企業文化として定着させるためには、人材と体制の不足という深刻な課題を克服しなければならない。
AIエージェントを適切に設計し、その成果を評価・推進できる人材の育成には、一定の時間がかかる。こうした仕組みの整備の遅れを放置することは、活用の停滞や投資対効果の低下を招き、ひいては企業間の競争力格差を拡大させる危険性を含んでいる。
こうした専門人材の社内育成には時間を要するため、短期的には外部の人材を活用することは選択肢の一つだとパーソルキャリアは指摘する。不足する役割を補うだけではなく、実務を通じて社内メンバーへ知見を移転することが、体制整備を早期に補完する手段になる。
AIエージェントという革新的な技術を、真の競争優位性に転換できるかどうかは、成果の設計・評価を担う推進体制をいかに早期に確立できるかにかかっている。変革のスピードが加速する中、人材確保と育成に向けた迅速かつ拡張性のある対応が、企業に強く求められている。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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