データに埋もれるエンジニアを救う

Amazon S3を苦しめた“ログの山” 「Iceberg」でログ抽出を数時間から数分に

「Amazon S3」の裏側では膨大なログが生成され、エンジニアはPB級のデータから必要な情報をすぐに見つけられらない状況に陥っていた。数時間を要した検索を、「Apache Iceberg」への移行で数分に短縮した方法とは。

 Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウドオブジェクトストレージ「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)は、写真や医療記録から機械学習モデルまで、世界中のあらゆるデータを預かるインフラだ。その裏側では、サービスを運用、監視するための内部ログが絶えず生成されており、データの保存容量はE(エクサ)B規模に達している。

 この膨大なデータの山から特定の障害原因やレイテンシ(遅延)のスパイクを特定するのは容易ではない。かつてのAmazon S3運用チームは、P(ペタ)B級のログから必要な情報を探すために、JavaScriptで複雑な検索条件や処理を記述・実行していた。しかしデータ量が劇的に増加するにつれて、結果を得るまでに数時間から数日かかるようになり、エンジニアは分析そのものよりもデータを探し出すことに時間を奪われるようになっていた。

 この課題を根本から解決するため、Amazon S3運用チームはデータ管理システムにオープンソースのテーブルフォーマット「Apache Iceberg」を採用した。ログの形式を、テキスト形式から各列(カラム)を個別に記録する「列指向形式」に切り替える大規模な変革だ。結果として、クエリの実行時間を数時間から数分へと短縮し、数千時間に及ぶ作業時間を本来の業務に還元することに成功している。

 これほど巨大で、「絶対に止めることが許されない」システムのログインフラを、どのようにして移行したのか。その背景には、既存システムに影響を与えない工夫と、データスキャン量を最小化する緻密な仕組みがあった。

アプリケーションを変更させない「中継型」の移行戦略

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