契約書や顧客リストもローカルに
“シャドー保管”を86.4%が経験 原因はファイルサーバ不調という現実
ファイルフォースは、ファイルサーバや共有フォルダの「処理が遅い」といった不調に関する調査結果を発表した。不調時に正規の保管場所以外へファイルを保存するなどの“代償行動”を経験した人は86.4%だった。
法人向けクラウドストレージを提供するファイルフォースは2026年8月20日、「業務における、ファイルサーバー/共有フォルダの不調に関するアンケート」の結果を発表した。調査は2026年6月、ファイルサーバや共有フォルダを業務で利用する全国の20~49歳の361人を対象に実施した。
調査によると、ファイルサーバの不調時に正規の保管場所以外へファイルを退避するなど、何らかの“代償行動”を取った経験がある人は86.4%に上った。なぜ従業員は会社が定めた保存ルールを迂回するのか。情報システム部門(情シス)が注意すべきポイントを調査結果から見ていく。
91.1%が「ファイルを開く、保存するのに時間がかかる」を経験
まず注目したいのが、従業員が日常的に直面しているファイルサーバの不調だ。
調査では、直近3カ月以内に経験したファイルサーバの不調について尋ねた。その結果、「ファイルを開く・保存するのに時間がかかる」と回答した割合は91.1%だった。そのうち62.3%は週に数回以上経験していた。
この他、「アクセスできない/切断される」は88.9%、「複数人での編集による上書き・競合」は87.0%、「検索しても目的のファイルが見つからない」は85.9%が経験していた。
こうした問題は単なる使い勝手の悪さにとどまらない。不調によって仕事を続けられなくなれば、従業員は別の保存方法を探すことになるからだ。
実際、直近1カ月で「ファイルサーバの不調により業務が滞った時間」を尋ねた質問に「1時間以上」と答えた回答者は15.8%だった。情シスへの問い合わせや再接続、ファイル復旧、代替手段の検討など、不調への対処に1時間以上を費やした人も15.2%いた。
86.4%が正規の保存先を迂回 最多はPCのローカル保存
ファイルサーバが重い、あるいは利用できないとき、従業員はどのように対処しているのか。
「やむを得ず取った行動はない」と回答した割合は13.6%にとどまった。裏を返せば、86.4%は何らかの方法で正規のファイル保管環境を迂回した経験があることになる。
最も多かったのは「業務用PCのローカルに保存」の37.9%だった。次いで、「別フォルダ・別場所に二重保存」(33.8%)、「SlackやMicrosoft Teamsなどのチャットツールの自分宛DMに保存」(31.6%)、「個人所有のUSBメモリ・外付けHDDに保存」(30.7%)、「個人契約のクラウドストレージに保存」(30.5%)、「自分宛のメールに送って保管」(29.4%)が並んだ。
これらのアクションは、一見すると従業員が社内ルールを無視しているようにも見える。しかし、この結果を「従業員のセキュリティ意識が低い」で片付けるのは早計だ。
調査では、「ファイルサーバの不調」に対する個人の考えも尋ねた。その結果、「個人クラウドや個人PCにファイルを保管することは、業務上やむを得ない」と考える回答者は、「そう思う」「ややそう思う」を合わせて61.5%に上った。
この調査結果が示唆するのは、少なくとも回答者は利便性を求めて好き好んで管理外の場所を利用しているわけではないという状況だ。正規の保存環境では業務を続けにくい経験をした結果、仕事を止めないための回避策として選んだ可能性がある。
退避されるのは一時ファイルだけではない
情シスにとって問題なのは、正規の保存先を外れたファイルの中身だ。調査では、代償行動を取った312人に保存したファイルの種類を尋ねた。最多の回答は、「業務マニュアル・手順書」で38.5%だった。
続いて、「自分の作業中のドラフト」(37.5%)、「顧客との契約書や見積書、請求書」(31.1%)、「顧客名簿や取引先リスト」(30.8%)が挙がった。この他にも人事・給与・採用データ、製品の設計書・仕様書・図面、売上・経理・財務データなどが管理外の場所に保管されている実態が明らかになった。
機密情報・個人情報に該当するファイルを含んでいるかどうか尋ねた質問では、「含まれていない」と回答した割合は、わずか3.5%だった。
さらに厄介なのは、一時退避したファイルが一時的なものでは終わらない点だ。
個人のフォルダや保管場所にファイルを退避した254人のうち、「ファイルサーバには戻したが、個人側にも残している」は33.9%、「ファイルサーバに戻さず、個人側にだけ残している」は31.9%だった。これらを合わせると、約66%の回答者は、退避したファイルを個人領域に残していた。「すぐにサーバへ戻し、個人側から削除した」と答えたのは32.3%にとどまる。
「禁止」だけではシャドー保管をなくせない
調査では、正規の保存先を迂回する行動でトラブルを経験したかについても尋ねた。
その結果、「個人PC・個人クラウドに保存したファイルを誤って削除・紛失」について、「実際に発生した」「ヒヤリハットを経験した」と回答した割合は合計58.2%だった。「USBメモリを社外で紛失」は53%、「サーバダウンの間に納期・締め切りに遅れた」は52%、「古いバージョンで業務を進めた/顧客に古い資料を送付」は51%だった。
本稿は、ファイルフォースが2026年8月20日に公開したファイルサーバー不調が生む“見えない損失” 約9割が不調を経験、86.4%が“シャドー保管”へ 最多は「業務用PCのローカルに保存」が37.9%を基に作成しました。
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