余剰在庫と手作業を終わらせるLCM
従業員の「Macを使いたい」が招く“運用のわな” Sansanに学ぶ調達改革
エンジニアの要望に応えて「Mac」の導入を進めるものの、調達の遅れや手作業での台帳管理はIT部門の業務を圧迫しかねない。余剰在庫という「運用のわな」に直面したSansanの解決策を探る。
AIツールの普及や学生時代から「Mac」に親しんできた世代の台頭によって、「社用PCにMacを選びたい」という声が現場から上がるようになった。企業にとって従業員のパフォーマンス向上は喜ばしい半面、IT部門にとっては「『Windows』搭載PCとMacという別種類の端末管理」という負担を生む。
名刺管理クラウドサービスを手掛けるSansanは、社用PCとしてWindows搭載PCとMacを選択できるようにした結果、Macの比率が全体の約半分にまで膨れ上がっていた。ここでIT部門を直撃したのが、複雑な調達プロセスとリードタイムの長期化だ。従来は発注から納品までに1.5~2カ月を要していたため、同社は常時1〜2カ月分の在庫を先行確保する「見込み発注」を余儀なくされた。しかし、これが問題を招くことになる。最新モデルを求めるエンジニア層のニーズと先行確保した在庫が合致せず、不要な余剰在庫を生む要因となってしまったのだ。数十台単位で入荷するMacのシリアル番号の読み取りや台帳登録、管理番号の発行、返却時の初期化といった作業も運用負荷を増大させ、担当者の負荷を増大させていた。
こうしたデバイス調達のオペレーション負荷と余剰在庫の課題を解決するために、Sansanが目を付けたのがデバイスのライフサイクル管理(LCM)をワンストップで支援するサービスだった。
Mac調達の“負の連鎖”をどう断ち切ったのか
Sansanは、増加するMacの調達費用削減と運用負荷の軽減を目的に、デバイスのLCMサービス「UTORITO」を採用した。2026年8月18日、同サービスを提供するTooが発表した。残価設定型リースの活用で調達費用を15〜20%削減した他、専用Webポータルによる管理の一元化でIT部門の業務負荷を大幅に軽減した。
Sansanでは従業員が社用PCとしてWindows搭載PCとMacを選択できるが、近年、AIツール活用の広がりや学生時代からMacに慣れた人材の増加によって、Macの比率が全体の約半分に達していた。従来は「Apple Store」で購入後にリース会社と契約するリースバック方式を取っており、調達手続きが複雑で発注から納品までに1.5~2カ月を要していた。そのため、常時1〜2カ月分の在庫を先行確保していたが、最新モデルを求めるエンジニア層のニーズと合致せず、余剰在庫を生む要因になっていたという。数十台単位でMacを入荷する度に発生する手作業でのシリアル番号の読み取りや台帳登録、管理番号の発行、さらには返却時の初期化などの運用負荷も増大していた。
これらの課題を解決するため、複数のLCMサービスを比較検討し、UTORITOを選定した。UTORITOは、デバイスの調達からキッティング、保守、回収、データ消去までをワンストップで支援するサービスだ。Sansanが評価したのは、Webポータルを通じて在庫確保やリース開始申請、キッティング依頼などを一括で実施し、利用中のデバイスや在庫状況を可視化できる点だ。残価設定型リースである「Apple Financial Services」(AFS)の活用によって費用を抑えられることや、他社ではオプションになりがちなキッティングや返却時のデータ消去が標準サービスに含まれている点も決め手となった。水ぬれや物損も含めて上限額内で何度でも修理可能な付帯の修理保証によって、予算外の費用が発生しにくく予算の見通しが立てやすい点も採用を後押しした。
UTORITOへの移行によって、新入社員への貸与やリプレースを中心に、現時点で調達コストが15〜20%程度削減されたという。キッティングやリースシール貼りなどの細かな手作業をアウトソースしたことで、担当者の業務負荷が大幅に軽減された。Webポータルを活用した申請プロセスの標準化によって、運用の属人化を防ぐ効果も得られている。2026年8月時点では263台を運用しており、追加で141台を発注している。
Sansanでデバイス運用を担当する高野巨希氏は、「今後はUTORITOの活用でさらなるMac調達・運用の標準化と効率化を進めたい。将来的には、UTORITOのWebポータルによる納期の確認や、従業員情報・資産情報との連携など、より広い範囲での一元管理にも期待している」と話す。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHUB.News」に掲載された「Sansan、TooのLCMサービス採用でMacの調達コストを約20%削減 運用負荷も軽減」(2026年8月19日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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