一般的な移行作業では、変換ツールが移行元のデータを変換し、ネットワークを経由して移行先に適用する。そのため、移行が完了するまで常時ネットワークへの負荷が掛かる。一方、ShadowProtectでは、まず移行元のバックアップイメージを取得し、それを移行先の環境にリストアする。その際、ネットワーク経由の移行の他に、外付けHDDを使った移行を選択でき、ネットワーク負荷を回避することができる。さらにデータ圧縮によりバックアップイメージのサイズは6割程度まで小さくなるため、移行に要する時間は、仮想化製品ベンダーのツールと比べて3分の1程度だという。
小寺氏は「物理環境から仮想環境への移行は、1世帯で暮らしていた一軒家から、複数世帯で暮らせるマンションへの引っ越しに似ています」と語る。一般的な移行ツールは、作業用のサーバを用意して移行ツールをインストールする姿から「自分で運搬用の車両を用意しなければならない」、ShadowProtectは、既に取得したバックアップイメージを移行先でリストアする姿から「引っ越し業者を利用する」のような違いがあるという。前者であれば、梱包(こんぽう)などの事前準備やレンタカーを手配するなどの手間が必要であり、トラブル時には自分自身で解決しなければならない。対して後者であれば、既に梱包済みであり、別途運搬用の車両を用意する必要がないため、簡単かつ早く実施できる。
ShadowProtectでは仮想環境への移行に役立つ2種類の製品を用意している。サーバにインストールして利用する「ShadowProtect Server」と、サーバへのインストールが不要でUSBメモリから起動が可能な「ShadowProtect IT Edition」だ。それぞれライセンス料と利用期間が異なる。ShadowProtect Serverではサーバ1台当たり1ライセンスとなっており、移行後も継続してバックアップソフトウェアとして利用が可能である。対してShadowProtect IT Editionは、使用者に対するサブスクリプション(期間)ライセンスとなっており、使用期間でライセンス料金が変わる。使用期間中は、無制限の台数のサーバやPCで利用可能である。
「移行後も継続的なバックアップ/リストアの運用を行うのであれば、当然ながらデータ保護のためにもShadowProtect Serverを採用すべきです。しかし、既存システムの仮想化やハードウェア移行だけが目的であり、さらに移行対象のシステムが多い場合には、ShadowProtect IT Editionにコスト的なメリットがあります」(小寺氏)
ShadowProtectを既存システムの延命に利用している国内企業を紹介しよう。その1社が、金属材の微細加工から大型加工までの幅広いモノづくりを手掛ける千田精密工業である。同社ではメンテナンス性を高めるべく、自社開発した生産管理システムの刷新を決断。新たに導入したサーバを「Microsoft Hyper-V」により仮想化し、その上で新システムを稼働させた。また、ShadowProtect Serverを利用して旧システムを同一の仮想環境に移行した。その成果は過去のデータへの柔軟なアクセスや、並行稼働による事業継続性のさらなる向上などに明確に表れているという。
「ハードウェアの性能向上と仮想技術の進化によって、単一サーバ上で複数システムを稼働することは、もう難しくはありません。特に中堅・中小企業にとってShadowProtectによるシステム延命策は、コスト面でも最適な解決策といえます」(小寺氏)
HIR機能を原動力にバックアップとシステム移行の両面で利用が急増しているShadowProtect。データの重要性の周知に伴い、今後ユーザーの裾野はさらなる広がりを見せそうだ。
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アイティメディア営業企画/制作:TechTarget編集部/掲載内容有効期限:2015年6月26日