Web2.0、大衆表現社会がもたらす文化変容問題:IT変革力【第12回】
Web2.0により大衆=市民は特別な技術を知らなくても膨大な量の情報や知識を表現し、蓄積できるようになりました。しかし、知識や情報を大量に蓄え、溜め込むことは社会にとって良いことばかりとは限りません。Web2.0という大衆表現社会は、文化や企業にどのような変化をもたらすのでしょうか。
今回は、ちょっと高い視点からWeb2.0のもたらす社会的なインパクトを考えてみたいと思います。Web2.0によりライセンス重視からITサービス重視に力点がシフトする結果、IT業界においてはますます標準化(オープン化)が進むとか、そう言った話は横に置いておきましょう。今回はWeb2.0を大衆表現社会と捉えて見たいと思います。
Web2.0は大衆表現社会をもたらす
皆さんはCGM(コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)をどのように理解されているでしょうか。これは社会学的にはネットが大衆表現社会をもたらす、という風に捉えることができます。HTMLとかXMLと言った特別なプログラムを知らなくても、市民はプロフィール=簡易個人ホームページを作ったり、ブログや動画ブログ、SNSで情報発信できるため、膨大な量の情報や知識が文字、音声、動画などの形でインターネットやイントラネット上で大衆=市民により表現され、蓄積される時代が到来したのですね。
筆者も最近、動画ブログのYouTubeを見ていると、著作権の問題は別にしても確かにそういった感を強くしています。
YouTubeには、例えば以下のようなとんでもないお宝動画が登録してあり、驚愕しました。
このイムジン河は、1968年当時の人気フォークグループであるザ・フォーク・クルセダーズが歌っていたものですが、原作が作曲された北朝鮮からの申し入れによって東芝レコードがレコード出版直前に発売を中止した、いわくつきの楽曲です。それ以来、楽曲演奏そのものが日本社会から抹殺され、ファンの目には全く触れることがありませんでした。
分かりやすく言えば社会から抹殺された知識や情報が動画ブログであるYouTubeの発達のおかげで蘇った訳ですね。筆者はここにWeb2.0という大衆表現社会の凄さを感じます。
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