企業の良きパートナー選び、見極めのポイントはどこか:ノーク伊嶋の「中堅・中小企業をITで救いたい!」【第2回】
低迷する経済下でIT運用に悩む企業。そんな企業にとって、経営に直結するITの利活用を提案するパートナーは頼もしい存在だ。昨今提案力が落ちたといわれるが、最適な販売店を選ぶにはどうすればいいのか。
中堅・中小企業が元気にならない限り、日本経済の本当の意味での「底離れ」は難しい。内需拡大が現在の国内経済の暗雲を取り除く最善の策だという声は多い。低迷する市況下で、中堅・中小企業は経営に役立つITの活用を望んでいる。
しかし、自らの力だけではなかなか現状の打開が難しい。そこで、筆者はNECや富士通とディスカッションを行う機会を設け、この命題について考えてみた。果たしてベンダー(=ハードウェアメーカー)は、中堅・中小企業(特に中小企業)の課題解決策のための特効薬を持っているのだろうか? 今回は、ユーザー企業にとって頼りになるパートナー(販売店やベンダー)の見極め方について取り上げる。
オフコン(ターンキー)の基幹システムはなぜ良かったのか?
まず全体の市況感について、現在も景気は良くない状態であり、まだ底を打っているとはいえないことで世間の認識は一致している。ただし企業によって、現在でも積極的にIT投資しているところ、あるいはそうでないところ、両者が入り混じったまだら模様である。例えば、データセンター事業者のような、IT自体がビジネスの中心であるような企業での導入は活発である。また、SNSビジネスを運営している企業は、ユーザーがいまだに右肩上がりの勢いで増えているので、サーバなどの導入スピードは衰えないという。ただしこの点は、企業規模には関係しない現象だ。言い換えると、数年前までの部門導入などの新規導入にブレーキがかかり、リース切れなどの理由でシステムをリプレースする割合が高い。
ここで考えたいのは、どの企業でも利用しているはずの基幹業務システムだ。企業活動の主要なデータ処理を行う業務システムは、企業にとっては最も普遍的なITシステムである。しかし実際のところ、オフコン時代から現在に至るまで、その使い方に大きな変化はない(オフコンそのものをまだ使っている企業も多い)。既存のシステム自体を維持するためのIT導入が目立つのは、心苦しいことだが事実だ。
だが、オフコンをターンキーで使うことに意味がないかというと、決してそんなことはない。実際、ブラックボックス化したオフコンだからこそユーザー企業は素人でも扱えた。システムはブラックボックスにした方がむしろ、ユーザー企業は楽なはずだ。目的の単純化、効果の明確化がオフコンの最も評価すべき部分だ。しかも、企業独自の強みを生かした「カスタムメード」で作り込みもできる。現状、基幹業務システムの方向性は「プロプライエタリ」から「オープン」になり、ユーザー企業は標準的なシステムを導入すべきか、あるいはユーザー独自の強みを生かすシステムにすべきか、ためらう局面にもなっている。
そうしたユーザー企業にとって、頼りになるのが販売店だ。図1を見ると、業務システム購入先の選定理由では「業務をよく理解した担当者がいるから」が40.3%、「過去の取引実績が豊富だから」が40.1%と、いずれも企業の業務システムを熟知した販売店と、オフコンのようなシステムを継続して利用していることが分かる。ユーザーと購入先との信頼関係が極めて重要な要素になっているのだ。
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