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メーカー・卸間EDIの歴史に学ぶ、“徹底して標準を守る”重要性EDIは流通業全体のインフラを目指せ【第2回】

モデムの製造停止により、現行EOSは間もなく使えなくなる。流通BMSの真のメリットを生み出すためには過去の歴史に学び、業界全体で個別仕様を排除していく取り組みが必要だ。

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 世の中は常に変化している。時代にそぐわなくなった古い仕組みは、どんどん新しい仕組みへと置き換えられている。家庭にはブロードバンドのインターネット環境が整い、テレビ放送もアナログから地上デジタルへと変わる。これも時代の流れなのだろう。

 同様の問題が、流通業界でも起きつつある。JCA手順という古い仕様を前提とした卸・小売間EOS(Electronic Ordering System:オンライン発注)が、新たな課題に直面しているのである。JCA手順に必要なモデムが製造停止になったため、現行のEOSは間もなく使えなくなる。このままではビジネスが危うい。「さて、どうしよう?」である。

 24年前、メーカー・卸間のEDI(Electronic Data Interchange)が始まったときも、同じような状況があった。だが、目の前に迫る課題を関係者が協力して乗り越え、現在に至っている。消費財分野のメーカー・卸間で進んできたEDIの歴史を振り返りながら、卸・小売が今後取るべき手段を考えてみよう。

メーカー・卸間EDIの歩み

ネットワークの共同利用に向けて、メーカー8社が結束

 1985年、電気通信事業の自由化により、多数のVAN(Value Added Network:付加価値通信網)会社が誕生した。VAN乱立による業務の混乱を防ぐために、日用品・化粧品業界ではメーカー・卸間のデータの集配信をサポートするVAN運営会社が設立された。ここに大手メーカー8社(ライオン、ユニ・チャーム、資生堂、サンスター、ジョンソン、日本製紙クレシア、エステー、牛乳石鹸共進社)が集まり、ネットワークの共同利用が始まろうとしていた。

 ライバル同士が手を組む──。今でこそこのような話は珍しくないが、当時としては前代未聞の出来事だった。メーカー各社が「標準にのっとった統一性の高い業界共通のインフラ構築」に向けて、心を1つにしたのである。時代に合ったビジネスを行うためには、これまでのFAX・電話に代わる新しいインフラがどうしても必要だったのである。

 そのために、何度も話し合いが繰り返された。日用品・化粧品業界の各社で使えるものにするためには、フォーマットの統一や仕組みの標準化が不可欠だった。同時に、ライバル会社にお互いの情報が漏れないような仕組みや、取引に必要なデータが誤送されないような仕組みも要求された。

 これらの課題が解決された1986年、メーカー8社の合意を得て、メーカー・卸間でn対nの業界標準EDIがスタートした。さまざまな困難はあったものの、扱うデータ種もサービスの種類も年々拡大し、業界共通インフラとして着実に進化していった。共通した仕組みを使うことで、ユーザー各社の業務は効率的かつ迅速で、正確なものへと向上した。

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