テレワークで始める業務革新、鍵はユニファイドコミュニケーションにあり:テレワークを支えるユニファイドコミュニケーション
在宅勤務をはじめとするテレワーク(社外で働く労働形態)が国内でも広がりを見せている。UCを活用すれば、オフィス外でも職場と同等の環境を手に入れられる。テレワークで具体的に必要なUC製品を検討してみよう。
職場など一定の場所に縛られずにどこでも仕事ができるテレワークが、近ごろ各メディアで取り上げられてきている。経済産業省でも2010年8月16日に公開した「クラウドコンピューティングと日本の競争力に関する研究会 報告書」において、「テレワークの拡大による生産性や労働参加率の向上は、潜在GDP成長率を0.3%押し上げる期待がある」と報告しており、今後テレワークは急速に普及する可能性を秘めている。
テレワークを行う場合、日常的なオフィス業務がオフィス外でも執行可能かどうかを検討することになる。またその際には、社内外の人とのコミュニケーションも考慮する必要がある。本稿では、テレワークを行う際のコミュニケーションを実現するユニファイドコミュニケーション(以下、UC)製品をシチュエーションごとに紹介するとともに、そのための製品選定ポイントについても説明する。なお、UC製品を使用するにはネットワーク環境が必要になるが、各シチュエーションでは既に必要となるネットワークインフラ、機器(VPNやIP-PBXなど)が既に整っているという前提で記述する。
テレワークシチュエーション別UC
業務PCが使用できるケース
オフィス業務をテレワーク環境で行う場合、その利用可能範囲を決定するのが業務PCの使用の可否である。企業向けUC製品の多くが専用アプリケーションをインストールするタイプのものであり、業務PCが使用できるか否かでその実現可能なコミュニケーションが大きく変わってくる。業務PCが使用できる場合は、オフィスとほぼ同様のコミュニケーションが実現すると思ってよい。
該当シーン | 在宅勤務、客先常駐、出張先オフィスやホテル・空港、外出中の喫茶店など |
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使用可能なUC製品 | 電子メール、ソフトフォン、インスタントメッセージング(IM)、画面共有、Web会議、プレゼンス、ビデオ、携帯電話 |
ここでは一例として、在宅勤務時にどのようなコミュニケーションが行われているかを見てみよう。
社内の人とコミュニケーションを取ろうと思った場合、相手のプレゼンスを確認し、IMで都合を聞く。問題ないようであれば、ソフトフォンを使い、クリック・ツー・コール(Click to Call:任意の人を選択しそのまま1クリック)で通話を開始する。説明用に自分のPC画面を見せたいときは、その画面共有を行い、必要なら後でそのファイルやURLをメールで送信すればいい(IMでも可)。参加者が複数名いる場合は、Web会議やソフトフォンを使ってミーティングを行うことも可能だ。着信についても、ソフトフォンをPCに常駐させていれば、社内/社外からを問わず自番号に着信することで通話できる。外出中、喫茶店などでのPC作業時には、ソフトフォンではなく携帯電話へ着信転送させることも可能だ。
このシーンでUC製品を利用する際に注意すべきポイントは、すべてオフィスと同様のアプリケーションが使用できるといっても、多少ネットワーク依存してしまうということだ。企業内ネットワークにVPN経由でアクセスした場合、当然ながら帯域は絞られることになる。従って、ビデオ通話ができなくなる環境もあるだろう。また、リモートアクセス時のファイアウォール設定が強化され、画面共有などのアプリケーショントラフィックがブロックされる可能性もある。
製品購入に際して検討しなければならないポイントは、オフィスに導入する際の検討事項にほぼ包含される。具体的には、合計何台のサーバが必要になるのか、各アプリケーションの機能の差はどの程度か、GUIを含めた使いやすさはどうかといったことだ。特に必要なサーバ台数は、各ベンダーの設計思想により異なってくる。この点は結局ランニングコストに跳ね返ってきてしまうので、よく確認した方がよいだろう。これらすべてのUCソリューションをまとめて導入するのであれば、最初から確認するような内容だが、段階的な導入の場合は見落としがちになるからだ。
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