時代遅れのRAID認識を改めよう:進化するRAID(前編)
今日のコンピューティングシステムは、RAIDが開発されたころのシステムとは似ても似つかない。RAIDの基本概念を変えつつある新しい技術も登場している。
今日のRAIDシステムは、1980年代のRAID技術のレベルから大幅に前進している。今回から2回にわたり、ワイドストライピングやストレージ仮想化、イレージャーコーディング(※)などの技術がRAIDの基本概念をどのように変えつつあるかについて述べる。
訳注 Erasure Coding:定訳はないようだが、「消失符号」あるいは「消失訂正符号」という訳語も一部で使われている。
RAIDは、エンタープライズデータストレージ業界と最も密接に絡み合っている技術と言っても過言ではない。複数の物理的HDDを1つの仮想ドライブに統合することでパフォーマンスと信頼性を向上できるからだ。今日のRAIDシステムは、1988年に発表された画期的な論文「A Case for Redundant Arrays of Independent Disks(RAID)(独立したディスクの冗長的な配列」で提唱されたRAIDレベルで分類される従来のディスク構成と比べるとはるかに進化している。このため、RAIDの時代は既に終わったと宣言する人も少なくない。しかしデータ保護の分野では、今後もやはりRAID技術が最前線で活躍することは間違いなさそうだ。
編注:2012年2月24日
本記事に関して読者の方からのご指摘をいただき、以下のように訂正させていただきました。関係者の方々にはご迷惑をおかけいたしました。
(訂正前)
今日のRAIDシステムは、1988年に発表された画期的な論文「A Case for Redundant Arrays of Independent Disks(RAID)(独立したディスクの冗長的な配列」
(訂正後)
今日のRAIDシステムは、1988年に発表された画期的な論文「A Case for Redundant Arrays of Inexpensive Disks(RAID)」(安価なディスクの冗長的な配列)
※ 論文の正確なタイトルは「A Case for Redundant Arrays of Inexpensive Disks(RAID)」です。論文の発表当時は、高信頼性で大容量のHDDは高額であったため、「Inexpensive(安価)」なHDDで構築するという意味で使用されていました。しかし、現在ではHDD価格の低下や、より安全性が求められていることから「Independent(独立した・個別の)」と表現されることが多くなっています。
時代遅れのRAID認識
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