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医療機関がIT化を進める真の目的【連載コラム】医療ITの現場から

医療機関は誰のために、何のためにIT化を進めるべきなのか? 10年以上にわたる現場経験を踏まえ、IT化を進める上で大切な4つの視点を紹介する。

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 最近、IT化に取り組まれている医師を取材する機会が増えています。その際には必ず「IT化の目的とその効果」を質問しています。

 電子カルテを例に挙げると、導入目的として真っ先に思い浮かぶのは「ペーパーレス化の実現」でしょう。実際に多くの医師が、かつては電子カルテ導入の目的に「ペーパーレス」を掲げていました。そのため、電子カルテ導入後に紙媒体が少しでも残ると「電子カルテの導入がうまくいかなかった」という気持ちになることが少なからずあったようです(関連記事:診療のカーナビ役を務める電子カルテ)。

 その他、電子カルテを導入すると「受付スタッフの人員を削減できる」「待ち時間を短縮できる」などの効果を期待する医師も多くいらっしゃいました。この2点についても、受付スタッフの残業時間が削減されたり、診察から会計の待ち時間は短縮できたりするという効果は実際に出ていますが、単に導入するだけで完全に実現できるとは言い切れません。

 電子カルテの普及が進むにつれて「ペーパーレスが真の目的ではない」ということが分かってきました。この真の目的を見直すためには「誰のためにIT化を進めるのか」を考える必要があると思います。

 その際に大切なのは、「患者のため」「スタッフのため」「地域のため」「未来のため」という4つの視点です。

1.患者のためのIT化

 患者のためにIT化を進める効果として「来院患者の待ち時間が短縮される」「患者に対する詳しい説明が可能になる」という点が考えられます。これらは、来院患者の多くが不満を持っているとされる「長い待ち時間」や「医師の説明不足」などを改善できることが分かります。

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