Oracle Database / Exadata Summitリポート
オラクルが示すビッグデータ活用の課題とは?
昨今BI/DWH分野で話題となっている「ビッグデータ」。これまでの分析対象、分析環境とは何が異なるのか。日本オラクルのイベントで語られたビッグデータの課題をまとめた。
日本オラクルは10月25日、「Oracle Database / Exadata Summit ~オラクルのBig Data/In-Memory戦略」を都内で開催した。本イベントは、主に10月3日(米国時間)にサンフランシスコで開催された「Oracle Open World 2011」で話題となったビッグデータ関連のソリューションや事例を、国内にも紹介するものである。
本稿では本イベントで、オラクルコーポレーション データベース・サーバテクノロジー担当 シニアバイスプレジデント データベース製品開発総責任者 アンディ・メンデルソン氏が登壇した基調講演の模様をリポートする。
ビッグデータの活用事例
メンデルソン氏はまず幾つかのビッグデータ活用の事例を紹介した。例えば、ヘルスケア業界では、患者に心拍数のモニターを付けて、日常生活を送りながら心拍数を測る。そのデータのほとんどは通常値で特に心臓には問題ないことが分かる。しかしその患者の調子が悪くなったときに、モニターはそのイベントをキャプチャーしている。意味のないデータがほとんどの中から、「心臓が苦しい」場合を示す特定のデータだけを抽出し、それを診断する。「ビジネスバリューのないデータの中から重要なデータを取り出す重要性。これがビッグデータの1つの特徴だ」とメンデルソン氏は強調する。
また、流通小売の場合では、ロケーションベースのサービスがビッグデータ活用の例だ。ビッグデータ時代では、住所や性別、年齢だけを用いたマーケティングでなく、「携帯電話のGPS機能を利用して顧客が今どこにいるのかを収集し、自社の店舗に近づいてきた顧客にリアルタイムにクーポンを送信するといったことが可能だ」。また、FacebookやTwitterなどの情報を収集することで、顧客にどういった嗜好があるのか、何が嫌いなのかを分析することで、マーケティング情報にし、販売を伸ばそうとしている。
「Facebookを利用するリテーラーが世界中で増えている。ソーシャルメディアデータ活用はビッグデータ活用のもう1つの特長だ。非構造化データ、写真、あるいはテキスト、そういったデータを深く理解することで、販売を伸ばすことが可能になる」
ビッグデータの特徴は4つの「V」
しかし、このようにセンサーやモニター、ソーシャルネットワークから取得するデータを活用するためには、そのデータがどのようなものなのかを知る必要がある。メンデルソン氏はビッグデータの特徴は4つの「V」だと強調する。
- Volume……データの量
- Velocity……データの高速性
- Variety……データの多様性
- Value……データの価値
中でも重要かつ新しい考え方が「Variety」「Value」だ。ただ大きいだけではなく、センサーなどからリアルタイムかつ高速に収集するデータ、ブログやソーシャルネットワークといった新しいタイプのデータを指す。その多様なデータの中から高価値のデータがどこにあるのかを細かく見ていかなければならない。価値のあるデータだけをデータウェアハウス(DWH)にためることこそが、ビッグデータ活用の第1歩となるという。
ビッグデータのライフサイクルごとの課題
メンデルソン氏はビッグデータのライフサイクルを以下4項目で示す。そしてそれぞれのサイクルで課題が存在していると指摘する。
- 情報の取得(Acquire)
- 体系化(Organize)
- 分析(Analyze)
- 意思決定(Decide)
情報の取得における課題
- 大量で価値が不明瞭なデータを処理する必要がある
- アプリケーションを頻繁に更新する必要がある
- スケールアウトする必要がある
ある小売業のマーケターが、「店舗に近づいてきた顧客にクーポンを送りたい」という素晴らしいマーケティングアイデアを持っていたとしよう。しかし、既に実店舗やECサイトで取得済みの顧客情報で顧客を特定し、それをGPS情報やマーケティングキャンペーンのデータベースと連携させ、どのようなクーポンをどのような人に送るべきかを見極めたいとなると、うまく連動させるにはデータベースのスケールアウトが必要になるだろう。すなわち、「スケールしてもパフォーマンスを一定に保つデータベースを確保する必要がある」。
体系化における課題
- 既にOracle DBを使っている
- ビッグデータを分析、活用したいと考えている
- DWHのSLA(サービスレベル保証)には影響を与えたくない
Webサイト、ブログ、Twitter、Facebookといった膨大な情報の中から、有用なデータだけを統合してDWHに格納し、分析する場合、最初にサンドボックスをアナリストのために作らなければならないが、そのためには膨大な時間がかかってしまう。「ビッグデータを体系化するためには、迅速にデータの分析のためにサンドボックスをプロビジョニングし、かつDWHのパフォーマンスを保つ必要がある」のだ。
抽出における課題
- ビッグデータを容易に分析できるように変換しなければならない
- Hadoopのコードでの開発はあまりしたくない
- Oracle DWHへ迅速にデータを格納したい
ビッグデータ活用で注目を集めているHadoopだが、課題がないわけではない。「ブログ、ソーシャルネットワーク、プロモーション結果のデータの中を“泳いで”、プロモーションで何が起きているかを理解するには、Hadoopが最適だ。しかし超並列処理プログラムを書ける開発者はそれほど多くはない。非構造化データの中から必要なデータだけを抽出してDWHにロードするという超並列処理を、簡単に実行できるプラットフォームが重要になる」
分析における課題
最終的に価値のあるデータだけを抽出してDWHに入れることができたとしても、それを分析するにはまだ幾つか課題がある。
- 全てのデータへアクセスする必要がある
- R言語を利用して統計分析をしたい
- ラップトップでの分析はセキュリティとスピードの観点で問題がある
「統計解析のためのRは、ノートPCなどのシングルサーバ環境で動作させるにはセキュリティとパフォーマンスの面から問題があった。高度な分析をインタラクティブかつ高速に、データベースの中で処理できることが重要だ」
意思決定における課題
- この分析をどうやってビジネスに生かしていくか
- 硬直化するダッシュボード
「ダッシュボードは問題点を分かりやすく明示的に表示するだけでなく、問題点を再発させないためにどういう対策が取れるのか、再発させないためのコントロールをする役割を担わなければならない」
ここまでの抽出・体系化・分析のプロセスで、小売業の例で言えば、「メインアイテムとよく併売されているアイテムが欠品している場合、メインアイテムの売り上げも落ちる」といったことが分かるようになる。そこで必要になるのは分析の結果を基に、すぐに意思決定のアクションを超すことができる環境だ。
「分析をしながら在庫量が少ないことが分かったのであれば、基幹システムの発注処理と連動させてその場で発注処理できることが重要になる」
以上、メンデルソン氏が基調講演で語った、ビッグデータ活用における課題に着目して紹介してきた。同イベントでは本稿で取り上げた各課題に対するオラクル製品が併せて紹介されている。
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