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「Facebook銀行」にアイルランド当局が「いいね」? 電子マネー市場に参入かFacebookで電子マネーの送金可能になるか

米Facebookが金融サービスの提供に向け、アイルランドの規制当局から承認を得る見通しだ。インターネット企業の市場参入が続けば、金融業界の再編が始まるかもしれない。

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 米Facebookは金融サービスの提供に向けて、アイルランドの規制当局から間もなく承認を得る見通しだ。

 銀行以外の金融機関、いわゆるノンバンクが提供する金融サービスが増加する中、銀行業界の再編が始まるかもしれない。例えば、英Royal Bank of Scotland(RBS)といった銀行は見る影もなくなり、より動きの速い競合企業に市場シェアを奪われていく可能性がある。

 英紙Financial Timesによると、アイルランド中央銀行は間もなく、Facebookを電子マネー機関として承認するという。電子マネー機関では、電子マネーの保存や送金といった金融サービスを消費者に提供することができる。

 またFacebookは、オンラインやスマートフォン経由での国際送金サービスを提供する新興企業との提携も検討していると報じられている。

 昨今、従来型の銀行は消費者からの受けが悪く、規制もますます厳しくなっている。その一方で、インターネット企業にとっては、これまで銀行が提供してきた一部の金融サービス参入するビジネスチャンスとなっている。

 加えて、銀行ではレガシーシステムが依然として稼働しており、市場の変化に迅速に対応することを難しくしている。RBSなどの大手銀行で大規模なシステム障害が相次いでいることも、印象をさらに悪くしている。

 メインフレームを中心としたレガシーシステムからの脱却については、規制当局もその優位性を認識している。そして、ITに関してはインターネット企業の得意とする分野だ。

 銀行における度重なるシステム障害を受けて、金融サービスの規制を行うプルーデンス規制機構(PRA)で最高経営責任者(CEO)を務めるアンドリュー・ベイリー氏は、レガシーシステムを破棄・刷新することで、銀行は恩恵を享受することができるだろうとの考えを示した。「継ぎはぎ状態で構築された非常に複雑なアーキテクチャではなく、レガシーシステムの解体・再構築といった思い切った取り組みが必要だ」

 テクノロジーが企業DNAに染み付いたインターネット大手の中に、イノベーションの妨げとなり得るレガシーシステムを抱える企業はない。それとは対照的に銀行業においては、ITはコストと見られがちである。

 金融市場への参入を狙っているのは、Facebookだけではない。銀行のリテール業務は今後、さまざまなインターネット企業との競争に直面する可能性がある。消費者は信頼性が高く、IT基盤が強固なWebサービスを利用する。例えば、米PayPalや米eBay、米Amazonなどのインターネット企業が金融市場に参入すれば、顧客を引き付けられるだろう。実際、各社のシステムは、個人や企業に関する詳細な情報を既に保持しており、決済や金銭の処理に対応している。

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