インターネット接続デバイスが急増し管理が破綻
「状況は100倍悪い」、IoT時代の最悪シナリオを予測する
インターネット接続型デバイスが企業に押し寄せようとしている。IT部門は情報、セキュリティ、インテグレーションに取り組むために大きな1歩を踏み出さなければならない。
「モノのインターネット」(IoT:Internet of Things)デバイスが企業に押し寄せようとしている。IT部門は、間もなく会社のネットワークにあふれ返る何千という「モノ」に対応するための準備が整っていないかもしれない。
接続型デバイスの数は2020年までに7~10倍に増える見通しだ。その影響でネットワークトラフィックは現在の規模の3~5倍に増加する。米マサチューセッツ州ノースボロで開かれたカンファレンス「M-Enterprise」のセッションで、米ITコンサルティング企業J. Gold Associatesのアナリスト、ジャック・ゴールド社長はそう予想した。
「(IoTに)対応するための備えがある企業はほとんどない。今あるITリソースには多大な負荷が掛かる。ほとんどのIT部門は(新しいデバイスとトラフィックに)対応できず、ITリソースを劇的に増大させる必要が生じるだろう」(ゴールド氏)
従業員が私物のサーバを職場に持ち込む!?
IT部門が懸念すべき新しいデバイスは、PCやスマートフォン、タブレット、Google Glassやスマートウオッチのようなウェアラブル技術の新バージョンの域を越えて拡大する。それにはインターネット接続自動車、リモートセンサーやモニター、氾濫するアクセスポイントやターミナル、スマートアプライアンスなどが含まれる。
いずれ従業員が私物のサーバを職場に持ち込むようにさえなるかもしれない。そうしたサーバはデスク上に置いておけるほど小型で、「大容量ストレージ、強力な処理能力、多大な接続性」を有するとゴールド氏は話す。
会社のネットワークにあふれ返るデバイスの量があまりに増えるため、「(会社のモバイル管理は)全てやり直すようなことになる。ただし状況は100倍悪い」。そう指摘するのは、米ITサービス事業者CSCのグローバルモバイルエバンジェリスト、フィリップ・ウィンスロップ氏。
エンタープライズモバイル管理(EMM)が登場したのは、私物端末の業務利用(BYOD)のトレンドも一因となってモバイルが増えたことによる。だがIoTで入ってくるデバイスはあまりに多様で、それほどの規模に対応できるような標準は存在しないとウィンスロップ氏は言い添えた。
ゴールド氏は、「IoTは企業が持つほぼ全てのシステムを根本から変えてしまうだろう。もし今、ERPが複雑だと思っているのなら、あと3~5年もすればものすごく面白いことになる。対応しなければならないリモートのモノが至る所に存在するようになる」と予想する。
IoTの管理が難しいだけでなく、そうしたデバイスが収集したデータを整理して会社にとって意味のある情報とすることも企業は学ばなければならないと同氏は言う。
「完全なデータ駆動型の組織へと移行しなければならなくなる。そのデータには意味があり、行動につながる。まさに筋肉増強型のリアルタイムエンタープライズだ」
IoTの流入に備えたバックエンドシステムのアップグレード
バックエンドインフラのアップデートは、ITプロフェッショナルがIoTの洪水状態の解決に着手する一助になる。米ITサービス企業Cognizantのデジタルトランスフォーメーション・モビリティ担当上級アナリスト、ケビン・ベネディクト氏によれば、モバイルが顧客とパートナー、従業員を結ぶプロセスの中心的存在に近づく中で、バックエンドとモバイルの統合強化はますます重要性を増している。
「バックエンドシステムがリアルタイムに対応していなければ、会社は行き詰まる。われわれのシステムは明日の現実に対応していない。そのため向こう数年でこの分野に多額が投じられる」(ベネディクト氏)
向こう数年で入社してくる若手従業員にIoTデバイスが浸透していることも、ITの負担を軽減する助けになるかもしれない。デバイスの増加に伴い、こうした若者が就職するころまでにはこの技術に対するユーザーの理解も深まっているはずだ。
「意図的でも自然の流れでも、IoTの浸透や技術への理解は、われわれの助けになる」と前出CSCのウィンスロップ氏。
それでも新世代のデバイスのセキュリティ対策は企業が担わなければならない。データはこれまで以上に多くのデバイス間を移動するようになり、IoTデバイスのOSは多岐にわたることから、これは特に大きな課題になる。
ゴールド氏は「もし銀行から情報が流出すれば、顧客は離れ、罰金を科せられる」と指摘する。
EMMベンダーは管理面とセキュリティ面でIT部門の負担を軽減するために、多様なデバイスのサポートを強化する必要があるとの認識でパネル参加者は一致した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] なぜAIを導入しても効果が出ない? 組織全体で使いこなすための仕組みとは -
製品資料
[プログレス・ソフトウェア・ジャパン株式会社] ネットワーク全体を見える化、フロー分析で実現する広域監視と迅速な異常検知 -
製品資料
[プログレス・ソフトウェア・ジャパン株式会社] SNMPより詳細で、パケット解析より簡単な「トラフィック可視化・分析」の方法 -
製品資料
[プログレス・ソフトウェア・ジャパン株式会社] 重要性を増す“侵入後の可視化” どのように実現すればよいのか? -
市場調査・トレンド
[クラウドストライク合同会社] 回避型攻撃が急速に拡大、連鎖する攻撃を防ぐためのアプローチとは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
4
なぜMicrosoftは「Rust」を標準言語に? AIで進むC/C++書き換えの課題
-
5
負の遺産ではない! 今こそメインフレームを再評価すべし
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
大容量時代でも油断は禁物 Windowsの空き容量を増やす方法10選
-
8
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
9
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
10
毎日2時間の“無駄”を生む「紙とExcel」管理 田中精密工業はどう脱却したのか
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
3
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
4
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
5
顧客対応自動化の要点:RAGとデータ連携で“業務で使える生成AI”にする方法
-
6
マンガで解説:情シスの負担を減らす「MDRサービスのインシデント対応」の中身
-
7
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
8
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
9
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
10
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー