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2015年は「Docker」のビジネス利用が増加? 注目技術の近未来を予測するサポートやエコシステムが拡大

「Docker」のコンテナとエコシステムは2014年に大幅な成長を遂げた。だが、2015年に企業で大幅な導入が見られる可能性は低い。

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 2014年、あらゆる規模の企業の意識は「Docker」に向けられていた。オープンソースのコンテナテクノロジーであるDockerとそのエコシステムが拡大していることで、業界はDockerのポテンシャルに目がくらんでいる。だが、2015年に企業での大幅な導入には期待しないのが賢明だ。

 2014年にはLinuxアプリケーションをコンテナ化するプラットフォームであるDockerと同時に、さまざまなエコシステムが急速に誕生した。数社の小さな新興企業は、システムのギャップをビジネスチャンスに変えようと取り組んでいる。また、大手/中堅のパブリッククラウドベンダーもDockerとの互換性を確保しているようだ。このようなベンダーには、米Microsoftや仮想化業界最大手の米VMwareなど非Linuxベンダーも含まれる。これは、コンテナによって最も失うものが多い状況だという見方をしている専門家もいる。

 米Forrester Researchでアナリストを務めるデーブ・バルトレッティ氏は「エコシステム全体が非常に速い速度で進化している。Linuxをサポートしていれば、Dockerも比較的簡単にサポートできる」と語る。

 多くのベンダーが、早急にDockerのサポートを提供するようになり、オーケストレーション、複数のコンテナによるデータの共有、運用管理、アプリケーション開発に関する問題の解決に取り組んでいる。このようなベンダーやプロジェクトには、英ClusterHQの「Flocker」、米Mesosphere、Shipyard、米StackEngine、米Google後援のオープンソースツールKubernetesなどがある。

 Dockerの勢力は拡大しているが、そのユーザーは主にクラウド優先のWebベースの企業に限られているとバルトレッティ氏は指摘する。そして、2015年のうちに企業の運用環境にDockerが導入されることはないと予想している。

 「Dockerはまだデータセンターに浸透していない。Dockerの急速な人気上昇の立役者はIT部門ではなく開発チームだ」(バルトレッティ氏)

 開発元のDockerは、Dockerを使用する企業は存在し、運用環境でも使用されていると主張する。これには金融業界の大手企業や米国連邦政府も含まれるとのことだが、詳細は明らかにしていない。また、Dockerを使用している企業数についてのデータも提供していない。オープンソースのソフトウェアという性質上、運用環境で使用するためにダウンロードしたユーザー数を特定するのは不可能だというのがデータを提供していないDockerの言い分だ。

 オープンソースプロジェクトに関する過剰な宣伝は後を絶たない。だが、最初の数年は運用環境で使用される事例はごくわずかだとバルトレッティ氏はいう。

 「Dockerに関するビジネスはまだ多くない。ビジネスチャンスを巡る争奪戦が繰り広げられるのは、これからだ」(バルトレッティ氏)

利用が拡大するコンテナ

 Dockerを使用して成果を上げ始めている企業も存在している。米Weeby.coはソーシャルメディアゲームの開発ツールを提供している。同社はユーザーが驚くほど簡単にツールを使えるようにする方法を探していたため、Dockerのコンテナを基盤としたプラットフォームを構築した。そう語るのは、同社エンジニアのジョー・ブラウン氏だ。

 フロントエンドでは、Dockerを使用することによって開発者はWeeby.co経由で自分専用のクラウドワークスペースを持つことができる。このワークスペースはコンテナ内で分離され、必要なツールは全てプリロードされている。

 「ゲーム開発に伴う単調さをできる限り取り除きたいと考えていた。コンテナによって、それを実現することができた」(ブラウン氏)

 コンテナはWeeby.coが抱えるさまざまな問題を解決した。だが、課題がなかったわけではないとブラウン氏は振り返る。例えば、VM(仮想マシン)とコンテナ間のネットワークとルーティングについて明確な基準が欠如していたことで、開発用のPCとの連動に問題があった。

 「コンテナを実行しているVMのホストOSとの統合は、まだ若干の不備がある状態だ」(ブラウン氏)

 コンテナ/ネットワーク/オーケストレーション群の管理や3層からなるアプリケーションの導入については、依然として課題が残っている。

 とは言うものの、企業はDockerの使用を恐れてはならない。これは特に「ポータビリティ」が成功の鍵を握る企業に当てはまる。そう語るのは、米コンサルティング会社Cloud Technology Partnersで上級統括責任者を務めるデイビッド・リンティカム氏だ。コンテナは、より広範な戦略の一部と見なすのが適切だ。概念実証を行って、他の人にまず使ってみてもらい問題点に取り組むのが最善策だろうと同氏は補足する。

 「多くの人はDockerを救世主だと考えている。だが、アプリケーションとアプリケーションのポータビリティの管理を今より適切に行えるという以外、Dockerには特に目新しいことはない。ただ、その可能性は計り知れない」(リンティカム氏)

 コンテナのポータビリティは、クラウドで開発されたアプリケーションによる囲い込みという問題を取り除くことで大手クラウドベンダーの価格とパフォーマンスの改善を促す可能性がある。

 Weeby.coの製品は、まだβ版の段階だ。同社は米Amazon Web Servicesの「Amazon Elastic Compute Cloud」(EC2)を使用しているため、基盤となるクラウドインフラについて心配していないとブラウン氏は語る。

 「Dockerが素晴らしいのは、どのサービスを採用して、どのホスティングサービスを使用しているかはさほど重要ではないことだ。選択したサービスが希望通りに機能しなければ、簡単に別のサービスに切り替えることができる」(ブラウン氏)

空白を埋める

 そもそもDockerの導入には障害があるという見方をしている企業も存在する。PaaSベンダーである米WaveMakerは、その1社で、Dockerのコンテナで同社のクラウドサービスを運用している。Dockerはデフォルトの設定では使うことができず、ユーザーは、さまざまな問題に配慮しなければならない。現状、セキュリティ、ストレージ、オーケストレーションなどの欠陥は広範なエコシステムによって補完されている。そう語るのは、WaveMakerのCEO、サミル・ゴーシュ氏だ。

 Dockerは、独立系ソフトウェアベンダーと単一のアプリケーションスタックを実行しているWebベースの企業の支持によって勢力を増している。だが、企業は異種ワークロードにDockerを統合するという大きな課題に直面しているとゴーシュ氏は指摘する。

 「古いレガシーアプリケーションは、このような統合を前提に設計されていない。移行できるアプリケーションはあるかもしれない。だが、現実には新しいアプリケーションを採用して、全てのアプリケーションをDockerに配置することになるだろう。この作業には時間がかかる」(ゴーシュ氏)

 コンテナは、開発者に高速なパイプラインを提供するという可能性を秘めている。また、運用担当者が基盤となるインフラを気にすることなくソフトウェアに対する管理を強化できる可能性も秘めている。だが、Dockerには幾つかの根深い問題がある。そのため、データセンターのVMで問題なく実行されているアプリケーションを2015年のうちにコンテナに強制移行する理由はないかもしれない。OpenStackとDockerの大きな違いは、既に大手クラウドプラットフォームでコンテナが大きな規模で使用されている点だと同氏は補足する。

 「Dockerに対する世間の期待は大きい。Googleがコンテナベースになれば、当社も、その状況に便乗することを検討すべきだろう」(バルトレッティ氏)

Dockerの1人勝ちではない

 成功に競争は付き物だ。米CoreOSは独自のコンテナランタイム「Rocket」を構築する計画を立てている。同社は、シンプルでカスタマイズ可能なコンテナプラットフォームという世間から寄せられている期待にDockerが応えられないと考えている。コンテナは決して新しいテクノロジーではない。だが、これまでのコンテナとは違う点があるとDockerは主張する。それは、Dockerがコンテナを適切に実行してアクセスできるようにすることで、コンテナが抱えていた厄介な問題を解決したことだ。

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