もはやクラウド版「Microsoft Office」ではない
新プレゼンソフトも搭載――「Office 365」“前のめり開発”の行き着く先は?(1/2 ページ)
「Office 365」には軽量版コラボレーションのための新機能が用意されているが、専門家からは「一部の機能はまだ最高の状態ではない」との指摘も挙がっている。
米Microsoftは企業ユーザーの日常業務に役立つユーザーフレンドリーなクラウドサービスによって地歩固めを図っている。だが専門家によれば、同社のクラウド版Microsoft Office「Office 365」のロードマップにはまだ改善すべき点があるという。
Office 365はクラウドベースのオフィスアプリケーションスイートであり、Microsoftはこの製品にクラウドコンピューティング事業の希望を託している。Office 365は各種の新機能の試験場にもなっている。ただしOffice 365の今後については不明瞭な部分もある。実際、Office 365の機能には、Microsoftが従来提供しているコンテンツ管理/コラボレーションソフトウェア「Microsoft SharePoint」と重複するものがあり、中には共食いが懸念されるものもある。SharePointもOffice 365ライセンスで提供されており、機能の重複はユーザーにかなりの混乱をもたらしかねない。
生まれたてのアイデアを実装
2015年8月下旬に米国ボストンで開催されたSharePoint関連のカンファレンス「SPTechCon Boston」では、SharePointの専門家であるカナダSharegateのベンジャミン・ノーリン氏が、そうした重複の1例としてOffice 365のグループ機能「Office 365グループ」を挙げた。クラウドサービスとオンプレミス版SharePointとの統合に関するセッションでのことだ。
Office 365グループは、Microsoftのメッセージング/グループウェア製品「Microsoft Exchange」とSharePointを連係させ、さまざまなMicrosoft製品間で略式のコラボレーションを促進するための機能。従来の「SharePointチームサイト」に代わる迅速かつ容易な選択肢として提案されている。ノーリン氏はOffice 365グループの概念は支持するも、機能自体はまだ成熟が足りないとの考えだ。
「目指している方向性は素晴らしい。だが現時点では、まだ生まれたてのアイデアであり、あらが目立つ」と同氏は語る。
ノーリン氏によれば、例えば、Office 365グループでは、各“グループ”にSharePointチームサイトが作成され、ユーザーの目には触れずにバックグラウンドで機能する。この隠れたチームサイトはSharePointのサイトコレクション(所有者が同一で、権限などの管理設定を共有するSharePointサイトの集合)のリストには表示されないが、ユーザーエクスペリエンスを損なう可能性がある。
「自分のグループと同じ名前のチームサイトを作ろうとすると、“その名前は既に使われている”と警告される。今後この点は変更されるだろうが、割と厄介だ」と同氏は語る。
ノーリン氏は概して、“Office 365”は総称的なものであり、この下で多数のMicrosoft製品が連結していると表現。企業ユーザーにとっては従来のエンタープライズコンテンツ管理(ECM)ツールを補うための会社公認の選択肢が追加されたと述べる。
だがSPTechCon Bostonでは、このアプローチに対する専門家の意見は賛否が分かれた。セッションのスピーカーらは、Office 365が着実に前進していることは認めながらも、Office 365のクラウド機能とオンプレミス版SharePointの新版「SharePoint Server 2016」に関する限り、「Microsoftのロードマップは依然分かりづらく冗長ですらある」との考えだという。
SharePointの専門家であるロバート・L・ボーグ氏は2015年8月27日の基調講演で次のように語った。「Office 365の一部の機能は特に新しいものではない。同じことを違う方法でやっているだけだ」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
5
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
6
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
7
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
8
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー