2015年クラウド業界10大ニュース【前編】
クラウド業界の大型買収や統廃合を振り返る、あのサービスはどうなった?(1/3 ページ)
2015年もクラウド業界は目まぐるしく変化した。前編では、DellによるEMCの買収、HPのパブリッククラウド撤退、GoogleとVMwareとの提携といったビッグニュースをまとめた。
2015年のクラウドコンピューティング情勢の変化
この1年で、クラウドコンピューティングを取り巻く状況は大きく変わった。良い動向もあれば、見方次第では悪い動向もあった。
「Docker」コンテナやオープンソースのクラウドプラットフォーム「OpenStack」のように、企業のIT担当者からの評価が高まったテクノロジーもあれば、「HP Helion」のようにパブリッククラウドの激戦市場から撤退したテクノロジーもある。クラウドプロバイダーの間では、米VMwareと米Googleのように、ユーザーに大きく影響する新しい提携や買収が行われた。
2016年を迎える前に、クラウドコンピューティング市場の勢力図を書き換えた2015年の10大事件を振り返ってみよう。
GoogleとVMware、クラウドで提携
2015年2月、それまではクラウド分野のライバル同士だったGoogleとVMwareが提携を発表した。この提携で、それぞれのクラウドサービスを拡充し、パブリッククラウド最大手の米Amazon Web Services(Amazon)に対抗する。
今回のクラウド事業提携によって、VMwareは同社の「VMware vCloud Air」のユーザーに「Google Cloud Platform」の4大機能「Cloud Storage」「BigQuery」「Datastore」「DNS」を提供できるようになった。Googleに有利な提携だと評するアナリストもいるが、両方にメリットがあるという意見が大半だ。GoogleはVMwareのユーザー基盤を介してエンタープライズ市場への進出を拡大でき、VMwareはパブリッククラウド機能を拡充できる。
米調査会社Moor Insights and Strategyの上級アナリストでクラウドサービスとエンタープライズソフトウェア担当プラクティスリーダーのクリストファー・ワイルダー氏は、「この提携は、1社だけでは解決できない問題を2社が協力して解決するというビジネス開発の定義を実証するものだ」と語る。
VMwareの親会社の米EMCは米Dellに670億ドルで買収されるが、それがGoogleとVMwareのクラウド事業提携に今後どう影響するかはまだ不明だ。今のところ、VMwareのvCloud AirユーザーはGoogleとの提携を好意的に受け止めているようだ。
米Creative Solutions in HealthcareのCIO、ショーン・ウィオーラ氏は、VMwareがGoogleと提携したことは、VMwareが今後もクラウドプラットフォーム事業を継続し、可能な限り柔軟に進めていく方針であることを示すものだという。
「VMwareはコンテナ技術の提供を開始し、必要なあらゆる新しいテクノロジーを取り入れ、今回はライバルともいえるGoogleと手を組んだ。ユーザーの利益を考えた賢明な選択は好ましい」(ウィオーラ氏)
HP、「Helion Public Cloud」を終了
2015年、AmazonとGoogleと米Microsoftが支配するパブリッククラウド市場で、他のプロバイダーは苦戦しており、米Hewlett Packard Enterprise(HP)は10月、正式に撤退を発表した。
11月の分社化に先立つ10月、HPはブログで「Helion Public Cloud」を2016年1月31日に廃止する計画を発表した。分社後の新会社Hewlett Packard Enterpriseが、「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」など他のパブリッククラウドプロバイダーとの統合をサポートし、今後はプライベート、マネージド、ハイブリッドのクラウドサービスに焦点を移していく。「Helion OpenStack」や「Helion CloudSystem」など他のHelionクラウド製品は継続されるという。
Moor Insights and Strategyのワイルダー氏は、AmazonやGoogleが支配するパブリッククラウド市場で、他のベンダーが同程度の規模のパブリッククラウドプラットフォームをサポートするのは難しく、HPのHelion Public Cloud廃止の決断はさほど驚きではないと話す。
「大規模なパブリッククラウドは多大なコストが掛かるし非常に難しい。AzureとAWS、Googleの3大ベンダーはそこをしっかりやっている」(ワイルダー氏)
だが、ハイブリッドインフラに絞って前へ進むというHPの決断は、同じ判断をした他のベンダーが成功している点から見ても賢明な選択だろう、とワイルダー氏はいう。
「純然たるパブリッククラウドモデルだけでは何も売れず、従来型サーバやストレージの事業に悪影響を及ぼすリスクがあることを思えば、これは的確な判断だったといえるだろう」(ワイルダー氏)
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