Elementalの買収額は3億3000万~5億ドルと予想
AWSはPaaSの会社へ、大型買収で加速するAWSのモバイル開発
米Amazon Web Servicesが米Elemental Technologiesを買収した。これはモバイルアプリ開発用のプラットフォームの強化を目指す同社にとって、過去最大規模の買収となった。
米Amazon Web Services(以下、Amazon)は、既存の大手IT企業に対して自社のクラウドサービスの差別化を図るべく、米Elemental Technologies(以下、Elemental)の買収によって新たな拠点を確保した。
モバイル開発サービスの強化を目指すAmazonはElementalの買収額を明らかにしていないが、その金額は3億3000万~5億ドルと報じられている。これは同社がこれまで行った買収の中で5本の指に入る大型買収だ。
「Amazon Web Services」(AWS)の既存サービスである「Amazon Elastic Transcoder」は、Elementalが提供するサービスに近い。どちらも基本的に同じような機能を提供する。動画を放送用フォーマットからモバイル端末に適したフォーマットに変換するのだ。
AWSを利用するモバイル開発者が一定の時間内に行える入力とリクエストの数に制限があるのに対し、Elementalのサービスは「リアルタイムよりも高速な処理」が売り物だ。Elementalは、動画配信管理や帯域幅最適化といった関連分野の製品も提供している。モバイル開発分野における同社の顧客には、英BBC、米Comcast、米ESPN、米HBOの他、モバイルビデオ開発分野の大手企業が名を連ねる。
Amazonの小売事業では、同社の顧客プログラムである「プライム」を通じてストリーミング動画を配信しており、今回の買収によって同プログラムが強化されるものと期待されるが、買収の詳細を述べたElementalの2015年9月3日付(現地時間)のプレスリリースの中で引用されたAmazonの担当者によると、この買収のもう1つの狙いは、Amazonの新しいモバイル開発製品を開発することだったという。
業界アナリストらによると、この買収は、Amazonの戦略の中心がIaaS(Infrastructure as a Service)からPaaS(Platform as a Service)へ大きくシフトしたことを示しているという。その背景には、米IBMや米Microsoftといった既存の大手IT企業がIaaS市場を侵食している状況がある。
米Current Analysisの上席アナリスト、シャーロット・ダンラップ氏は「各社ともPaaSの強化に力を入れている。そのためには、より洗練された高度な開発者用技術と機能が必要だ。Amazonはこのような洗練されたアプリプラットフォームを提供できるようにしたいと考えており、今回の買収もこの狙いに沿ったものだ」と説明する。
ダンラップ氏によると、特にモバイルアプリ向けの動画は、一般消費者と開発者の両方にとって、こうしたアプリの魅力を大きく高めるという。
「Amazonが企業の開発者を引き付けるために行うことは全て、同社の将来に大きなプラスになるだろう。だがElementalを傘下に収めたことが、一般消費者向けアプリやB2B(Business to Business)アプリの開発者にターゲットを絞ることになるかどうかは不明だ」と同氏は指摘する。
AmazonがElementalの買収で手に入れるのは知的財産だけではない。
カナダPund-ITの主席アナリスト、チャールズ・キング氏は「Amazonは商用娯楽動画のストリーミング用プラットフォームを推進してこなかったように思う。Amazonは自分たちが持っていなかったツールと技術をElementalの買収で手に入れるのだ」と話す。
だがAmazonはモバイルアプリ開発フレームワークを持っている。2014年に登場した「Amazon Cognito」サービスだ。これは異なるモバイル端末間でのID管理とデータ同期を可能にする。
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