Infrastructure as Codeで変わる運用管理の現場【第1回】
いまさら聞けない「Infrastructure as Code」、一体どんなメリットが?(1/2 ページ)
最近はやりの「Infrastructure as Code」とは何か。「Immutable Infrastructure」とどう違うのか。IT管理者の業務をどのように変えるのか。具体的なシーンとともに解説する。
ITインフラの構築や管理の分野では、驚異的な速度で新しい概念やツールが登場し、進化し続けている。「Infrastructure as Code」(コードによるインフラの構成管理)もその1つだ。本連載では、Infrastructure as Codeの概要からツールの比較、簡単な実践方法をお届けする。
Infrastructure as Codeの概要
Infrastructure as Codeを一言で表すと「コードによるインフラの管理」である。近い言葉として「プロビジョニング」(Provisioning)や「オーケストレーション」(Orchestration)などがある。
これまでのインフラ管理は、サーバを構築し、必要なパッケージを導入し、設定ファイルをITエンジニアが記述するといった手作業が主流だった。例えばWebサーバの「Apache HTTP Server」であれば、パッケージ管理システムの「yum」で「httpd」(Apacheを構成する実行ファイル)を、テキストエディタの「vi」で「httpd.conf」(Apacheの設定ファイル)を記述するなどだ。そのため、手順書や変更管理簿と呼ばれるドキュメントが必要とされてきた。
だが、同じ構成のサーバを複数台構築する場合も、手作業を繰り返さなければならないのか。また手順が変更された際に差分を確認したり、バージョンを管理したりすることはできるだろうか。
Infrastructure as Codeでは、これらの問題を「コード化」によって解決する。インフラをソフトウェアと同様にコード化することで、複数の同じ環境のサーバを同時に構築したり、コード化した手順書をバージョン管理システムの「Git」によって管理したりすることが可能になる。インフラに対するテストコードを記述し、「CI」(継続的インテグレーション、注1)のプロセスと組み合わせることもできる。
※注1 ソフトウェア開発における品質向上の仕組みの1つ。コンパイルやテストなどの処理を定期的に繰り返すことで、バグの早期発見を可能にする。
関連記事
今さら聞けない「ITインフラ」
「Docker」とは何か
インフラ管理者が知っておきたい基礎知識
Infrastructure as Codeを実現する技術
Infrastructure as Codeには多くの技術や実現するためのツールが必要になる。ここではInfrastructure as Codeを「環境構築」と「構成管理」の2つに分類して説明する。
環境構築
環境構築では、サーバ(主に仮想マシン)の構築を自動化、コード化する。最も有名なツールは、HashiCorpの仮想環境構築ツール「Vagrant」だろう。Vagrantでは、プログラミング言語Rubyで記述する「Vagrantfile」というスクリプトに基づいて、「VirtualBox」などのハイパーバイザーで仮想マシンを構築する。
Vagrantfileでは、仮想マシンのホスト名、構築に使用する仮想ディスクイメージのテンプレート、割り当てるCPUやメモリの量、IPアドレスなどのネットワーク設定を記述する。ループ処理で、ホスト名やIPアドレスを連番にして複数の仮想マシンを構築することもできる。以下に、OSにUbuntu、ホスト名は「techtarget」などを設定したVagantfileのサンプルを示す。「vagrant up」とコマンドを打つだけで仮想マシンを作成、「vagrant ssh」でログインできる。
VAGRANTFILE_API_VERSION = '2'
Vagrant.configure VAGRANTFILE_API_VERSION do |config|
config.vm.box = 'ubuntu/trusty64' # Ubuntu 14.04のテンプレートを使用
config.vm.hostname = 'techtarget' # VMのホスト名はtechtargetに設定
config.vm.network :private_network, ip: '192.168.1.2' # IPアドレスは192.168.1.2を付与
config.vm.provider :virtualbox do |v| # Vagrantが利用するVirtualBoxの設定
v.memory = 1024 # VMにメモリを1GB(1024MB)割り当て
v.cpus = 1 # VMにCPUを1コア割り当て
end
end
Vagrantfile
構成管理
構成管理では、パッケージのインストールや設定ファイルの配置を自動化、コード化する。代表的な構成管理ツールに「Puppet」「Chef」「Ansible」がある。Chefでは「Recipe」(コード化した手順書)をRubyで記述する。複雑な処理ができる半面、初心者には難しい。Ansibleでは「Playbook」(コード化した手順書)を「YAML」と呼ばれる構造化テキストで記述するため、プログラミング経験のない情報システム担当者でも使い始めることができる。構成管理ツールはRecipeやPlaybookの手順に従い、SSHのような暗号技術を利用して接続したサーバで必要な処理を実行する。物理サーバ/仮想マシンを問わず、先ほどのVagrantと組み合わせて使用することもできる。
以下に、yumでhttpdパッケージをインストールし、httpd.confを設置するPlaybookのサンプルを示す。モジュールで抽象化されているため、実際のコマンドを記述する必要はない。
- yum: # yumコマンドを抽象化したモジュールを使用
name: httpd # httpdパッケージを作業対象に指定
state: latest # 最新バージョンのパッケージをインストール
- copy: # ローカルから対象ホストにファイルを転送
src: httpd.conf # ローカルの転送するファイルのパスを指定
dist: /etc/httpd/httpd.conf # 対象ホストの転送先のパスを指定
httpd.yml(yumでhttpdパッケージをインストールし、httpd.confを設置するPlaybookのサンプル)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Infrastructure as Codeで変わる運用管理の現場
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[富士ソフト株式会社] 受注業務は既に変革のステージ 出遅れて競争力を失わないためのDX戦略 -
市場調査・トレンド
[富士ソフト株式会社] 受注業務でありがち 「今は困っていない」と見直しを先送りにすることの弊害 -
製品資料
[富士ソフト株式会社] 「B2B EC」選定を製品比較から始めると迷走する理由 -
技術文書・技術解説
[SB C&S株式会社] 「Everpure FlashArray」技術詳細解説資料:概要から認証、サイジングまで解説 -
市場調査・トレンド
[セコムトラストシステムズ株式会社] EDR導入を成功に導くロードマップ:選定/稟議/運用のつまずきを防ぐコツ
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
2
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
3
IT業界の女性は9割が10年で消える 人材枯渇を招く“見えない壁”の正体
-
4
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
5
ChatGPTの「GPT」とは? 仕組みや用途など“ChatGPTの基本”を解説
-
6
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
7
生成AIのルール整備が進む一方で活用は遅れがち? 日本企業のAI利用状況
-
8
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
-
9
ライオンが挑む「守りのIT」脱却:Google Cloudで加速させるデータ駆動型経営
-
10
人間のせいでAIエージェントの生産性が上がらない
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
7
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
8
サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
生成AIの活用を阻む「5つの壁」とは? AIネイティブ組織へ変革を遂げる方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー