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佐賀県教育システム「SEI-Net」を情報漏えいの舞台に変えた“真犯人”とは?「佐賀県情報漏えい事件」で再考する学校セキュリティ【中編】(1/3 ページ)

17歳少年による佐賀県教育情報システム「SEI-Net」への不正アクセス事件では、実際に何が起き、同県はどう対処したのか。事件は本当に防げなかったのか。分かっている事実から検証する。

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 佐賀県が2013年4月、13億円の予算を投じて導入した教育情報システム「SEI-Net」。前編「17歳少年が不正アクセス 佐賀県教育システム『SEI-Net』を責められない理由」でも述べた通り、佐賀県はその先駆的な取り組みから「教育先進県」と呼ばれ、SEI-Netもその名に恥じない高い志を持ったシステムだった。2016年6月、そのSEI-Netと学校の校内LANへの不正アクセスが発覚した。

 日本では政府や総務省、文部科学省の方針に沿って、全国の自治体や私立学校において教育機関のIT活用が進んでいる。「2010年代中に1人1台の情報端末による教育の本格展開に向けた方策を整理し、推進する」という政府目標の達成に向けて、全国各地でタブレットや無線LANの導入が相次いでいる。

 現状の教育IT活用のほとんどは、授業でのIT活用が中心だ。少ない予算や助成金を使って、電子黒板やタブレット、無線LANなどをどのように導入するかを考えるだけで精いっぱいの状況にある自治体や学校は少なくない。しかも授業でのIT活用が成功したとしても、日本が国家戦略として目指す「IT活用による学力向上」までの道のりの半ばにも達しない。

 佐賀県はこの高みを見据えて、授業用システムと校務システムの構築だけでなく、両者の連係や融合を積極的に進めてきた、極めて珍しい自治体だ。だが、その高い志と相反して、不正アクセスを防ぐための対策は万全だったとはいえない。

「SEI-Net」不正アクセスはこうして起きた

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