予算がなくても最低限やってほしい、学校のセキュリティ対策「3つのポイント」:「佐賀県情報漏えい事件」で再考する学校セキュリティ【後編】(1/3 ページ)
佐賀県の情報漏えい事件をきっかけに、セキュリティ対策の検討を進める教育機関は少なくないだろう。予算的にも人的にも制約がある中、教育機関が実現できる現実的なセキュリティ対策とは何か。
ITの利便性とセキュリティのリスクは表裏一体だ。利便性を享受したければ、セキュリティ対策をおろそかにすることは許されない。このことは、佐賀県の教育情報システム「SEI-Net」の情報漏えい事件によって、教育関係者の心に強く植え付けられた。成績や評価といった学習者に関する情報は、非常に高いレベルのプライバシー情報だ。こうした重要な情報を扱うシステムのセキュリティ対策を軽々しく扱ってよいわけがない。
セキュリティ対策は教育機関にとって非常に重い課題だ。そもそも「教育機関用のセキュリティ対策」はなく、教育機関でも一般企業でも、取るべきセキュリティ対策は大きく変わらない。圧倒的に異なるのは、セキュリティ対策に掛けることができる予算だ。企業は営利を目的としており、その利益がセキュリティ予算の源泉となる。対して教育機関は、当然ながら営利を目的としていない。セキュリティ予算の源泉がないのだ。
企業のIT化の歴史は長く、60年以上前に1951年に世界初の商用コンピュータ「UNIVAC I」が登場し、1950年代には国内企業のコンピュータ導入が始まった。インターネットが普及した1990年後半から2000年代にサイバー攻撃が活発化し始めたことを考えると、企業がセキュリティ対策を進めてきたのは、この20年ほどのことだ。それでも、IT化が遅れていた教育機関と比べれば、企業はセキュリティ対策の経験とノウハウの蓄積において一日の長があると言ってよいだろう。
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