オープンソースオブジェクトストレージとは? 注目の新興企業OpenIO:ARMプロセッサを採用(1/2 ページ)
オープンソースソフトウェアをベースとするオブジェクトストレージへの注目が集まっている。ARMプロセッサを搭載するOpenIO「SLS-4U96」の特徴とは?
オープンソースオブジェクトストレージソフトウェアの新興企業OpenIOは、徐々にハードウェアブランドになりつつある。
フランスを拠点とするOpenIOは最近米国サンフランシスコに北米本社を開設した。同社は、自社の高密度サーバレスストレージ(SLS)アプライアンスをクラウドサービスプロバイダーやハイパースケールの企業に売り込もうとしている。
「OpenIO SLS-4U96」(以下、OpenIO SLS)は4Uラックマウント型の製品で、OpenIOのオープンソースオブジェクトストレージソフトウェア「OpenIO SDS」とARMベースの筐体を組み合わせたものだ。この筐体はPBまでスケールアップする。
SDS 16.10は業界標準のサーバで実行し、アプリケーションをストレージインフラで直接実行するグリッドベースのアプローチを採用している。同社によれば、動画共有サイトのDailymotion.comなど、ハイパースケールの企業顧客を数多く抱えているという。
OpenIO SLSは、ARMプロセッサを搭載する「Marvell Armada 3700」システムオンチップを基盤とする。筐体には、「Marvell Prestera」の6ポート40ギガビットイーサネットスイッチをフロントエンドクライアント接続用と背面筐体拡張用に2基備えている。
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筐体内にスケールアウトインフラを組み込む
ARMベースのCPUアーキテクチャは、電力効率を向上するように設計している。ホットスワップ可能なナノノードを最大96個まで1台のOpenIO SLS筐体内に収容できる。各ノードは、組み込み型のイーサーネットスイッチ経由で接続する。
各コンピューティングノードは、専用ドメインとして1台の大容量ディスクを管理し、メタデータに最速でアクセスするために少量のフラッシュストレージを使用する。使用していないディスクはオンボードの電源管理によって電源がオフになる。同社によれば、OpenIO SLSは約30台のドライブの損失に耐え、機能を続けるという。
OpenIO SLSを複数組み合わせ、リモートサイト間の同期レプリケーションを利用する論理拡張クラスタとして管理できる。
「理論的には、低コストのARMプロセッサを薄膜で覆うようにソフトウェアを配置することで、ほぼパフォーマンスに悪影響を及ぼすことなく、実効ストレージのコストが削減できる」とServer StorageIO and UnlimitedIOで上級顧問アナリストを務めるグレッグ・シュルツ氏は話す。「OpenIO SLSには、ストレージI/Oのアプリケーションごとに異なる個性を最適化する興味深い機能が幾つか備わっている。こうした最適化は、パフォーマンス、可用性、容量、経済性に基づいて行われる」
OpenIO SLSの初期バージョンは8TBのディスクをサポートし、68TBまでスケールアップする。イレージャーコーディングによる実効容量は595TBになる。4Uラックは、10個の筐体で11PB以上をサポートする。今後のバージョンのOpenIO SLSでは10TBドライブや12TBドライブを収容すると想定される。
各ナノノードが1台のディスクに相当し、障害発生時には個別に交換できる。一貫したハッシュアルゴリズムもキー空間の再計算も存在しない。新しいナノノードは自動的に検出され、ドライブのバランスの取り直しを必要としないでプールに参加する。
リンク、スイッチ、電源は単一障害点にならないように冗長性を設けている。1つのSLS筐体には、N+1電源を4つ、取り外し可能なファンを5つ備える。
OpenIO SLSはハイパーコンバージドシステムに似ている。ただし、HDDの代わりにARMベースのストレージモジュールが使用される。最大の特徴は、OpenIOソフトウェアによってデータと同じ場所でアプリケーションを実行できることだと語るのは、OpenIOで製品戦略部門を率いるエンリコ・シグノレッティ氏だ。
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