CIOは「企業を変える戦略」の前に「ITIL」を実践し、信頼を回復せよ:初出勤日に得た教訓(1/2 ページ)
アイデア豊富なCIOなら出勤初日に他の幹部たちに対して戦略上のイニシアチブを提案したくなるかもしれない。それを実行に移せば、より上位のポジションに昇進する可能性がある、と。だがしかし……。
あなたはこの会社でCIO(最高情報責任者)として勤務する初日を迎えた。会社はあなたに、全面ガラス張りのオフィスを提供している。きちんと閉まるドアの付いたオフィスだ。最新の人間工学を取り入れたイスもある。デスクの天板は上下に移動させられるので立ったままで作業をすることもできる(ここで思わず素朴な疑問。それなら立派なイスは何のためにあるのか)。今日の午後には社内で他部門を統括する最高幹部たちとの初めての会議が控えている。あなたが戦略的なCIOであるという第一印象を彼らに与えるには絶好の機会だ。あなたは会社のIT施策をどう変えるのかについて、この会議でプレゼンテーションを披露するように事前に依頼されていた。どのようにしてITシステムからより多くの事業的な価値を生み出すつもりなのか。自社の先見性を高めるために何を実行するのか。大規模組織の中でどのようにしてイノベーションを推進するのか。幹部たちが最も高く関心を寄せているのは、「前任者との違い」だ。前任者はわずか4年でそのポジションを離れた。
さて、プレゼンの準備はを整った。核心は、次に挙げる3つの戦略的イニシアチブだ。
- ビッグデータを活用すべき時期が来た:セールスとマーケティングの各部門の施策に的を絞って機械学習と予測分析を効果的に活用し、大きな成功を目指せば必ずホームランが出る。
- 社内環境をモバイル対応にする:社内システムを全てモバイル対応の環境に変換すれば、新興企業に注目しがちのミレニアル世代のコンシューマー(一般消費者)も逃さずつなぎ止められる。
- とにかくムダを省く:コスト削減と効率向上を全社的に徹底すればイニシアチブの1つや2つを実施する予算はねん出できる。営業経費の中でITに割く費用の割合も大幅に縮小される。
いよいよ本番だ。プロジェクターのスイッチがオンになる。16対9の高解像度ディスプレイに対応させたスライドが想定通りに表示されることは確認した。ワイヤレスマウスには新しい電池を入れた。画面にはプレゼンのタイトルが書かれたスライドの表紙が表示されている。会議室はあなたへの期待で満ちあふれている。だが、出番を控えて緊張しているあなたを前にして、事件は起こった。
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