標的型攻撃のリスクが高いユーザーを守る
最強のGoogleアカウント保護機能「Advanced Protection Program」が不正アクセスを防ぐ3つの仕組み
Googleはアカウントのセキュリティシステムに「Advanced Protection Program」を追加した。ユーザーは不正行為に対する守りをどう強化できるのか。専門家が解説する。
Googleは、Googleアカウント関連のセキュリティ強化を図る新しい対策として「Advanced Protection Program」を導入した。同プログラムはどのような機能を提供し、どのような脅威に対応するのか。
GoogleがAdvanced Protection Programを創設したのは、特定の人物が悪質な行為の標的にされていると判明したことを受けた措置だった。
Advanced Protection Programは、ユーザーが自分のアカウントに対するアクセス制限を強化して、不正アクセスの発生を阻止する目的で設計された。Googleはこうした多要素認証の手段を活用することにより、他人がアクセスできる能力を制限し、アカウント復旧のためのより厳格な方式を追加して、どんなことをしてでも自分のアカウントを守らなければならないユーザーのセキュリティを強化している。これは特に、ジャーナリストのようにセンシティブなデータを扱っていて標的にされるユーザーや、利便性よりもセキュリティを重視するユーザーにとって役に立つ。
まず第1にGoogleはセキュリティキーを使って、アクセスを要求しているのがユーザー本人かどうかを確認する、新しい多要素認証の手段を導入した。このキーは標準規格のFIDO(Fast IDentity Online)を使って該当のデバイスでユーザーを認証する方式でなければならない。例えばYubicoのデスクトップ向け多要素認証デバイス「YubiKey」や、Feitian Technologiesのモバイル端末向けツール「MultiPass FIDO Bluetooth」などだ。この二要素認証なら、テキストメッセージや認証用アプリなどを使わなくても、デバイスに対してユーザーを認証できる。このキーは、FIDO利用の登録を済ませたアカウントにしか通用せず、他のWebサイトでは適切なキーが設定されていないことから、フィッシング詐欺を低減できる。
第2に、Advanced Protection Programを使ってセットアップしたアカウントは、サードパーティーアプリ経由でGoogleアカウントにアクセスすることができない。つまり、お気に入りのサードパーティー製メールアプリやカレンダーアプリは、携帯電話でもデスクトップでも使えなくなる。Advanced Protection Programは全般的に、Googleが開発したアプリケーション以外は信頼しないというアプローチを採っている。これは「Chrome」以外のWebブラウザにも当てはまる。もしGoogleアカウントにアクセスしているアプリケーションが、Googleによってネイティブに開発されたものでなければ、Googleのプラットフォーム上で自分のアカウントにアクセスすることはできない。Googleはアカウントセキュリティアクセスの照準を、自社で管理・保護できるソフトウェアに合わせているからだ。
最後に、Googleはキーを紛失した場合のアカウント復旧にも追加的な制限を設けた。アカウントへのアクセスはすぐに復旧することはできず、復旧するまでには数日を要する。この機能は、自分のアカウントが不正アクセスの標的にされているかもしれないユーザーの助けになる。日数がかかるおかげで正規のユーザーは、自分のアカウントに対して攻撃者が不正アクセスを試みていることを察知できる時間的余裕を持つことができる。
Googleはこのサービスの開発において素晴らしい仕事をしており、Googleアカウントの利便性よりもセキュリティを重視したいユーザーは検討する必要がある。ただし同サービスは、悪質な攻撃者によって積極的に不正侵入の標的にされているアカウントのユーザーを想定しており、どんなユーザーにも適しているわけではない。
一般的なGoogleアカウントユーザーにとっては、恐らく二要素認証の方が適しているだろう。だが、Googleアカウントを利用する際のアクセスしやすさが減ってでも、保護手段を追加したいというユーザーにとって、Advanced Protection Programは優れた選択肢だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
3
クラウド資格コレクターは評価されない? 年収1000万を分ける“OSの理解度”
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
6
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
7
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
8
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
9
IT調達担当者が知るべき「IT機器 大インフレ時代の前向きな選択肢」
-
10
2035年までに1億4500万台、急拡大する「フィジカルAI」市場の勝者は誰か
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
6
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー