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デンソーアイティーラボラトリが見据える自動運転のロードマップとはAIが生み出す自動運転の未来は一本道ではない(1/2 ページ)

高度なセンシング技術を必要とする自動運転。ここで鍵となるのがAI技術だ。デンソーが取り組む自動運転技術の開発やAI技術の活用について、具体的な研究事例とともに解説する。

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 次々に新機能が実装される現代の自動車。その中で目玉機能の一つとなっているのが、自動ブレーキなどの運転支援機能だ。先行車を追尾する速度調整機能や、走行レーンを維持するレーンキープ機能など、さまざまな技術が実用化されている。これらは広義の自動運転技術に含まれる。その先には無人走行車が見据えられるが、その道筋は1つではないようだ。ガートナー ジャパンが2018年4月に開催したセミナーで、デンソーアイティーラボラトリでCTO(最高技術責任者)を務める岩崎弘利氏が、自動運転の要素技術やそれらの実用化ロードマップについて語った。

デンソーアイティーラボラトリ 岩崎弘利氏
デンソーアイティーラボラトリ 岩崎弘利氏

自主研究開発が9割を占めるデンソーアイティーラボラトリ

 岩崎氏が所属するデンソーアイティーラボラトリについて紹介しよう。自動車好きな読者なら、デンソーグループについて多少の知識を持っているかもしれない。デンソーグループは、自動車用の電装や自動車メーカー向けのITサービスを提供してきた。2000年に設立されたデンソーアイティーラボラトリは、グループの中では歴史は浅いが、約30人の研究者が最先端技術の開発に取り組んでいる。研究分野は自動車を取り巻くものが中心だが、研究者の出自は研究所、IT企業、電機メーカーなどさまざま。

 こうした企業の開発部門の多くは、グループ企業や取引先からの依頼を受けて技術開発をするが、デンソーアイティーラボラトリでは自主的な研究開発が9割を占めるという。開発委託を受けるのではなく、親会社であるデンソーに開発提案をし、時にはデンソーとの共同開発もするという。研究の独自性が高く、学会発表も積極的にしているのが特徴だ。

 岩崎氏は入社当初、デンソーでカーナビゲーションソフトウェアの開発に携わっていたという。デンソーアイティーラボラトリに移ってからは、データ同士の関連性を可視化するベイジアンネットワークについて学び、博士号を取得。最近ではデンソーグループ全体のAI技術開発をリードしている。

 中心となるのは「DENSO AI R&D プロジェクト」だ。活動方針は「機械学習をはじめとするAI技術を自動車に取り入れる」と明確。東京に技術者を集結させ、外部の研究施設とも積極的に連携しながら研究を進めている。主な分野は、ADAS(Advanced Driver Assistance Systems:高度運転支援システム)、AD(Autonomous Drive:自動運転)。加えて、自動車の情報や生産工場の情報を集めるIoT(モノのインターネット)などの基礎技術分野の研究にも取り組んでいる。

人間以上の画像認識精度を得て、今度こそ実用化に向けて歩むAI

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