「VMware vSphere」バックアップのための主要テクニックとNGリスト:仮想環境に適したバックアップ手法とは(1/2 ページ)
仮想環境のアーキテクチャと運用は、従来のバックアップ環境とは異なり、特殊なテクニックが必要だ。本稿では、「VMware vSphere」をバックアップする場合の主なテクニックを紹介する。
仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」で扱う仮想マシン(VM)をバックアップするには、仮想化の強みを生かしてバックアップと復元の効率を最大限に高める必要がある。バックアップの対象と方法も把握しなければならない。仮想環境をバックアップする場合は、従来の物理環境で使っているのと同じ原則を用いることができない。
以下ではvSphereのバックアップにおけるベストプラクティスを8つ紹介する。
1.バックアップをゲストOS層で実行しない
従来型サーバでは、ゲストOSにバックアップエージェントをインストールするのが一般的だ。バックアップサーバは、データをサーバにバックアップする必要があるときにゲストOSへアクセスする。だがこの方法は仮想環境では効率が悪い。VMで不要なリソース消費が生じ、パフォーマンスに影響する恐れがあるためだ。同じホストで実行されている他のVMのパフォーマンスに影響を及ぼす可能性もある。
代わりに仮想化層でデータをバックアップすべきだ。つまりゲストOSを関与させずに、イメージレベルのバックアップを利用して仮想ディスクファイルをバックアップするとよい。
これを実施するには、仮想化と連携するよう設計されたバックアップアプリケーションを使用しなければならない。そのためにバックアップアプリケーションでは、ゲストOSやホストを巻き込むことなく、VMの仮想ディスクを直接バックアップできる必要がある。これにより、ゲストOS層でVMをバックアップする際に通常発生するリソース消費がなくなる。さらにVMでワークロードに必要な全てのリソースを利用できるようになる。
2.vStorage APIを活用する
vSphereには外部アプリケーションとの連携ツール「vStorage API」が導入されている。これは仮想インフラストラクチャ構築ソフトウェア「VMware Infrastructure 3」でリリースされた統合バックアップツール「VMware Consolidated Backup」に代わるもので、バックアップ処理をホストからオフロードする。vStorage APIを利用すると、VMの仮想ディスクファイルに簡単にアクセスできるだけでなく、バックアップ速度も向上する。これは最後のバックアップ以降に変更された全てのブロックを追跡する機能「Changed Block Tracking」(CBT)などによって実現する。
CBTの追跡機能により、バックアップアプリケーションはホスト用OS「VMkernel」に対してクエリを実行するだけで変更情報を入手できる。そのため、バックアップアプリケーションで変更データを追跡する必要がなくなり、はるかに迅速な増分バックアップが実現する。
vStorage APIを使うことで、vSphereのバックアップメカニズムが大幅に効率向上する。vStorage APIの機能を最大限に活用すべきだ。
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